連載:WBCで話題!あの代表選手のいま

侍ジャパンの前に立ちはだかった“ドヤ顔”左翼手 メキシコ代表のあの男が導いたMLB史に残る快進撃

村田洋輔

大舞台に強い「お祭り男」の注目度が上昇中

WBCの勢いそのままにレイズ快進撃の立役者の1人となっている 【(Photo by Vaughn Ridley/Getty Images】

 開幕6戦目、同6日のナショナルズ戦では1回裏2死三塁のピンチで、メキシコ代表のチームメートだったジョーイ・メネセス(元オリックス)の長打性の当たりを好捕。「イージープレーだよ」と謙遜したアロザレーナだが、レフトにある自軍ブルペンからは「腕組みポーズ」とともに大声援が浴びせられ、「チームメートが応援してくれているのはとても嬉しい。彼らを喜ばせるプレーができてよかった」と笑顔を見せた。

 開幕8戦目、同9日のアスレチックス戦では5回裏に藤浪晋太郎から2点タイムリー、8回裏にはダメ押しの2号2ランを放ち、1試合4打点の活躍で11対0の大勝に大きく貢献。開幕11戦目、同12日のレッドソックス戦は今季初のノーヒットに終わったが、翌日の開幕12戦目ではレッドソックス先発のクリス・セールから初回に3号先制3ランを放つなど、またしても1試合4打点をマークし、キャッシュ監督は「我々の打線はバットがよく振れている」と充実感を滲ませた。

 そして開幕13戦目、同14日のレッドソックス戦では一挙7得点のビッグイニングとなった5回裏に3対3からの勝ち越しタイムリーを放ち、お馴染みとなった「腕組みポーズ」を披露。この試合でレイズは開幕13連勝を達成し、MLBの歴史に新たな1ページを刻むことになった。

 開幕14戦目、同15日のブルージェイズ戦に敗れ、開幕14連勝の新記録樹立こそ逃したレイズだが、開幕19試合を消化した時点で16勝3敗とMLBトップの成績を残し、ヤンキースとオリオールズに4.5ゲーム差をつけてアメリカン・リーグ東部地区の首位を快走している。

大舞台でインパクトを残すアロザレーナ。メキシコのお祭り男は今季MLBでどんな活躍を見せてくれるだろうか 【Photo by Scott Taetsch/Getty Images】

 アロザレーナは出場18試合のうち、無安打がわずか2試合しかなく、同19日のレッズ戦で4号ソロを放つなど、WBCから続く好調をキープ。打率.333、4本塁打、18打点、OPS.929の好成績を残し、打率でリーグ7位、打点で同4位タイにつけるなど、レイズの快進撃の立役者の1人となっている。

 WBCにおいて、攻守両面の溌溂(はつらつ)としたプレーや「ドヤ顔」、「腕組みポーズ」といったパフォーマンスで世界中の野球ファンに大きなインパクトを与えたアロザレーナ。まだ新人だった2020年にポストシーズン新記録となる10本塁打を放つなど、大舞台での勝負強さはすでに証明済みであり、チームが開幕から好調であることを考えると、今度はワールドシリーズという秋の大舞台で主役となる可能性も十分にある。今後もアロザレーナのプレーから目が離せない。

(情報はすべて日本時間4月21日の全試合終了時点)


(企画構成:株式会社スリーライト)

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著者プロフィール

神戸出身。2001年、イチローのマリナーズ移籍をきっかけに本格的にMLBに興味を持つ。2016年からMLBライターとしての活動を開始し、2017年から日本語公式サイト『MLB.jp』編集長。2021年にはSPOZONE(現SPOTV NOW)で解説者デビュー。ジャンカルロ・スタントンと同じ日に生まれたことが密かな自慢。

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