【選手名鑑】ヌっ、ヌエストラセニョーラデファテマ高校!? 外国人選手の長~~い出身校名を“超訳”してみた

カネシゲタカシ

エスコバーは“ベネズエラの名古屋”出身?

 つぎは“男ハ黙ッテ投ゲルダケ”の決め台詞でおなじみのDeNA・エスコバー。ベネズエラの「インスティテゥト・ディオセサノ・バルキシメト高校」出身である。これが名鑑によっては「・」なしで表記されるため、混乱度がより高い。

 まず「インスティテゥト」はスペイン語で「教育機関」。日本語だと「学院」のようなニュアンスか。続いて「ディオセサノ」は「教区の」。教会の行政範囲のことだ。そして「バルキシメト」は地名。ベネズエラで人口4番目の都市だという。これらを踏まえて“超訳”してみた。

 「名古屋教区学院高校」

 日本で人口4番目の都市といえば、東京23区部、横浜市、大阪市に次ぐ名古屋市だ。バルキシメト=名古屋。とたんに親しみがわく。名物の“キシメト”がうまそうだ。

インスティテゥト・ディオセサノ・バルキシメト高の部活終わりに食べた懐かしの味(妄想です) 【イラスト:カネシゲタカシ】

 そして最後はキューバ出身、日本ハム・マルティネスの「コマンダンテ・マヌエル・ピティ・ファハルド体育大」を調べてみよう。まず「コマンダンテ」はスペイン語で「司令官」だが、キューバでは主に「カストロ議長」を指すそうだ(某国の“将軍様”みたいなものか)。続いて「マヌエル・ピティ・ファハルド」はキューバ革命の英雄の名前。そして「体育大」だ。

 おそらくだが、これはデスパイネ(元ソフトバンク)らを輩出した名門「マヌエルファハルド国立体育大学」と同一ではないだろうか。翻訳による表記のゆれと思われる。いずれにせよ人名がついた大学という意味では「北里大学」や「津田塾大学」に近い。ていうかもう「コマンダンテ・マヌエル・ピティ・ファハルド体育大」、略して「コマ大」で良いだろう。駅伝強そう。

実は日本の学校名も大差はない?

 中南米系の学校は元の発音のまま選手名鑑に記載されることが多く、それが難解さにつながっているようだ。例えば田中将大の「駒大苫小牧高校」なんかも、英語版のウィキペディアでは「Komazawa University Tomakomai High School」とスマートに訳されているが、これが「Komazawa Daigaku Fuzoku Tomakomai High School」、ましてや区切りなしの「Komazawadaigakufuzokutomakomai……」なら途端に大混乱だ。

 ちなみに日本で最も長い高校名は「金沢大学人間社会学域学校教育学類附属高等学校」だという。石川県の超進学校で、残念ながらプロ野球に出身者はいない。野球部は平成の30大会で1勝30敗と県内ワーストだそうだ。いつかここからメジャーリーガーを輩出し、MLBの選手名鑑編集者を大いにびびらせてほしい。

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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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