山根視来が見た62分間の新しい景色。本大会デビューのコスタリカ戦で味わった悔しさと手応え

川崎フロンターレ
チーム・協会

【©JFA】

子供の頃から夢に見ていた舞台――。

FIFAワールドカップカタール2022の日本代表メンバー入りを受けてそう語っていた山根視来が、コスタリカ代表とのグループステージ第2戦でスタメン出場。クラブ在籍中では史上6人目となるワールドカップ本大会での試合出場を果たした。

大目標だったピッチには立った。だが、試合は0-1で敗戦。チームとしても本人としても悔しさが残る結果になってしまった。試合後には初出場に際して「もちろんうれしさはありました」としながら、「今日の相手は自分の特長を出しやすい相手ではあったので、もう少し自分のところから何かを起こせればよかった」とコメントしていたのが印象的だ。

この試合、森保ジャパンは引いて守る相手を崩せず、逆にミスが重なる形で失点を許して痛恨の黒星。山根は4-2-3-1の右サイドバックで先発し、前半途中から「ちょっと単調になっていたので変化を加えるために山根に高い位置を取らせた(吉田麻也)」として3-4-2-1の右ウイングバックに入った。

初戦のスペイン戦から、山根視来を含めてスタメンを5人変更した日本代表。 【©JFA】

コスタリカは5バックを採用しながら左サイド攻撃に重点を置き、日本の右サイドを攻略しようとしてきた。システム変更はそこへの対応策だったが、プレスに行くタイミングをチームとして統一できず、相手の堅守と攻めに出てきた際の圧力に手を焼く時間帯が長くなり、山根も得意の攻撃参加で存在感を出すことができなかった。

そんな中でも“らしさ”を感じさせたシーンはあった。13分、吉田麻也のロングフィードを前線の堂安が頭で落とし、タイミングのいいオーバーラップで拾って縦関係にある堂安に預けてフリーでペナルティエリア内へ。これは堂安のクロスが流れてしまったが、彼の持ち味である神出鬼没さを垣間見せたシーンだった。続く18分には中央でのショートカウンターに合わせる形で、最後方から長い距離をオーバーラップ。鎌田大地のスルーパスに大きく膨らみながらゴールライン際へ走り込んでクロスを入れたが、これは惜しくもラインを割ってしまう。山根自身も攻撃力やフィニッシュワークに絡むプレーを評価されてのメンバー選出であることを理解し、「自分に求められている役割は分かっている」と意識していただけに、得意の攻撃面で貢献し切れなかったのは悔やまれるところだ。

代表デビューとなった韓国戦から1年8ヶ月でたどり着いた世界の舞台。 【©JFA】

一方、1対1の守備では確かな成長を感じさせた。印象的だったのは5分のプレー。右サイドでボールを持った相手に背後からしっかりと寄せてバックパスを誘引。そこから再度パスを回されて仕掛けられたが、素早くプレスバックして粘り強く体を密着させて、相手に前を向かせなかった。2度目の寄せは惜しくもファウルを取られてしまったが、相手の攻撃の起点を潰すために球際の厳しさを体現した。いずれも本大会開幕前のベネズエラ戦、カナダ戦で課題とされた守備の間合いをキッチリと改善したもので、世界標準で相手から自由を奪う距離感をワールドカップの舞台で表現できたことは、本人にとっても一つの大きな手応えになったはずだ。

酒井宏樹の負傷離脱もあり、今後も右サイドバックで出場機会が巡ってくる可能性は十分。特にスペインとの第3戦は、展開次第で攻め出ることが求められる状況になるかもしれない。日本代表が新しい景色を見るための戦いを続ける中、山根にとってはピッチ内外で見えるものすべてが新しい景色。大舞台でのプレーが選手に急成長をもたらすケースは多い。果たして山根はコスタリカ戦で得た62分間の経験と教訓をいかなる糧にできるのか。日本代表の戦いとともに、彼の成長と進化にも注目しておきたい。

「フロンターレ組」では守田英正もこの試合でワールドカップ初出場。 【©JFA】

川崎フロンターレ在籍中のFIFAワールドカップ出場選手(☆印は試合出場)

2010年 南アフリカ大会
GK 川島永嗣(☆)
MF 稲本潤一(☆)
MF 中村憲剛(☆)
FW 鄭大世(☆/朝鮮民主主義人民共和国代表)

2014年 ブラジル大会
FW 大久保嘉人(☆)

2018年 ロシア大会
MF 大島僚太

2022年 カタール大会
DF 谷口彰悟
DF 山根視来(☆)

※データは2022年11月28日現在
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著者プロフィール

神奈川県川崎市をホームタウンとし、1997年にJリーグ加盟を目指してプロ化。J1での年間2位3回、カップ戦での準優勝5回など、あと一歩のところでタイトルを逃し続けてきたことから「シルバーコレクター」と呼ばれることもあったが、クラブ創設21年目となる2017年に明治安田生命J1リーグ初優勝を果たすと、2023年までに7つのタイトルを獲得。ピッチ外でのホームタウン活動にも力を入れており、Jリーグ観戦者調査では10年連続(2010-2019)で地域貢献度No.1の評価を受けている。

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