NFLが見えてきた!松井理己がNFLインターナショナルコンバインで40ヤード走4.41秒の好タイム
【©X LEAGUE】
ロンドンで10月3〜4日に行われたNFLインターナショナルコンバインで社会人アメリカンフットボール・Xリーグの富士通フロンティアーズのエースワイドレシーバー(WR)松井理己(25)が40ヤード走で4.41秒という好タイムを出し、アメリカとカナダ以外の国からNFL選手を誕生させようというNFLの国際戦略「IPPプログラム」の候補生となる可能性が広がった。
「夢を見ているようです」
万全の体調でコンバインに臨んだ松井はそう語った。ロンドン特有の曇り空でやや肌寒さを感じた4日、トッテナムホットスパースタジアムではフィールド種目の計測が行われた。前日の室内種目がベンチプレスや垂直跳びなどの身体能力を測るものだったのに対し、フィールド上では主にスピードとクイックネスの問われるテストが行われた。
ランニングバック(RB)やタイトエンド(TE)と一緒にスキルポジショングループで計測を行った松井は40ヤード走だけでなく、3コーンドリル、ショートシャトルでもグループトップの数値を出し、ライバル選手たちから称賛と祝福を浴びた。
40ヤード走で1度目は4.51秒、2度目で4.41の好タイムを出した松井理己 【X LEAGUE】
40ヤードを4.41秒で走るというのは驚異的だといっても過言ではない。誤解を恐れずに例えるなら、陸上の100メートル走で9秒台を記録することに匹敵する快挙だ。ちなみに今年2月に行われた、主にNCAA選手が対象のNFLコンバインで松井同じポジションであるWRのカテゴリーにあてはめると、32選手中9位タイに相当する。
NFLが行うコンバインでは40ヤード走のタイムが重視される。その分野で好記録を出したことは大きな意味を持つ。
また、普段のアメフトの練習でも対アメリカ人を想定したイメージトレーニングを心掛けるようになり、意識して同じ富士通に所属している外国人選手と対戦したり、彼らの動きをよく見て自分と何が違うのかを考察したりしてきた。その積み重ねが「本番」で発揮された形だ。
オーバーショルダーのパスキャッチではライバルたちから歓声が起きる 【X LEAGUE】
本人によれば全メニューが終わった後にコーチに呼ばれ、予定にはなかったドリルをいくつか行ったそうだ。それだけコーチの関心度も深くなったということだ。
パスコースドリルでは間近で見ていた、元ペイトリオッツのGMスコット・ピオーリ氏に呼び止められて「NFLではすぐにディフェンス選手がファンブルを狙いに来るから、ボールをキャッチしたらすぐにしっかりとホールドしなさい」と直接アドバイスを受ける場面もあった。ピオーリ氏は2000年代にペイトリオッツで敏腕GMとして鳴らした人物で、名将と名高いビル・ベリチックヘッドコーチとともに常勝軍団を作った功労者の一人とされる。
「(金曜日に)ロンドン入りした時はどうなることかと不安もあったが、自分がどういう選手なのかをアピールすることができた。日本人がこんなにも動けると証明できたことは誇りに思う」と語る松井。コンバインに参加する前に比べてNFLに対する印象が変わったかと尋ねるとこんな答えが返ってきた。「NFLは行ってみないとわからない世界。このコンバインにはアメリカのNCAAのトップが参加しているわけではないが、自分が日本でやってきたことが通用するとわかった。一つ上のステップを目指すことで世界が開けると感じた」
全種目終了後、記念撮影で使った国旗をまとってインタビューに応える松井 【X LEAGUE】
日本人選手では李卓(オービックシーガルズRB、現在CFLのモントリオール・アルエッツに所属中)が2021年のIPP候補生になったのがただ一つの例だ。
さて、6日には帰国の途に就く松井だが、休んでいる暇はない。彼の所属する富士通フロンティアーズが9日に神戸市の王子スタジアムでアサヒ飲料クラブチャレンジャーズと対戦するからだ。ロンドンで見せたスピードを今度はXリーグの舞台で発揮する番だ。
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