川除大輝、板を踏まれて転倒も「実力不足」 スプリント種目で決勝進出ならず

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平昌大会の経験から、フォームの修正に着手

川除は4日の開会式で日本選手団の旗手を務めた 【Photo by Ryan Pierse/Getty Images】

 4日の開会式で日本選手団の旗手を務めた川除は、高校2年生の時に18年平昌パラリンピックに初出場。混合10キロリレーで4位も、個人種目のスプリント1.5キロ、フリー20キロでは9位と、あと1歩のところで入賞を逃す結果に悔しさを残した。

「入賞を目標にしていたので、9位という結果がとても悔しかったですね。出し切れない部分がありましたし、技術的にまだまだ足りないと感じました」

 平昌パラリンピックでの経験を糧に練習を積み重ね、19年ワールドカップ(W杯)札幌大会で優勝。その年の世界選手権ロング・クラシカル(20キロ)で金メダルに輝き、わずか18歳で世界の頂点まで駆け上がった。

 この4年間はフォームの修正に着手した。走る際に重心が後ろになり、上半身が起きてしまっていた課題を克服するために、筋トレや体幹トレーニングを積極的に取り組み、ブレないフォームを実現させた。

冬季パラ男子史上最年少の金メダルを獲得

今大会の川除は、最初の種目の20キロクラシカルで冬季パラ男子史上最年少の金メダルを獲得した 【Photo by Carmen Mandato/Getty Images】

 そうした努力が実を結び、北京パラリンピックでは最初の種目の20キロクラシカルで冬季パラ男子史上最年少の金メダルを獲得。今回のスプリントでは転倒するアクシデントもあり、惜しくも決勝には届かなかった。報道陣から決勝に進めなかった要因を問われた川除は、次のように明かした。

「実力不足ですね。海外の選手に比べてスピードが足りなかったと思うので、今持てる力は出し切れて終われたと思います。決勝に行けなかったことはすごく悔しくて、満足はしていないですけど、出し切れたことに関しては今までやってきたことが無駄ではなかったのかなと思います」

 板を踏まれて転倒したことについて、言い訳することなく、冷静に結果を受け止めた川除。残るは12日の男子12.5キロフリーと最終日の混合10キロリレーが待っている。

「ミドル(男子12.5キロフリー)では事前合宿でしっかりと高地でのトレーニングをしてきたので、後半は(トレーニングの成果が)生かせるレースになると思います。リレーでは今回のスプリントと次のミドルで得た経験を、日本チームのためにしっかりと繋(つな)げたいと思います」

 上位を狙っていたスプリントで悔しい思いをしたものの、川除はすぐに前を向いていた。残るレースで今回の悔しさをきっとぶつけてくれるはずだ。

(取材・文:赤坂直人/スポーツナビ)

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