羽生結弦、フリー逆転のカギは4回転アクセル 波乱と衝撃の男子SPを無良崇人が解説
4位以下の選手も五輪の舞台で眩い輝きを放つ
SPは99.51点と高得点で4位につけた車俊煥。四大陸選手権を制した実力を示した 【Photo by Matthew Stockman/Getty Image】
5位のモリシ・クビテラシビリ選手(ジョージア)は、ダイナミックなジャンプで迫力が伝わってくる選手です。これまでジョージアの男性選手にトップ選手はいなかったので、今後の活躍を楽しみにしています。
ジェーソン・ブラウン選手(米国)は、本当に「素晴らしい」の一言に尽きる演技でした。「これぞジェーソン」という安定感のある滑りです。演技構成点は、鍵山選手や宇野選手を凌いで47.29点で2位。得点にふさわしい内容でした。
フィギュアスケートの何たるかを感じさせてくれるのがブラウン選手の滑りです。1つひとつの要素ではなくてすべての動きのつながりでプログラムを表現していて、全身から訴えかけるものがありました。4回転で点数を稼ぐのではない彼の強さを感じます。97.24点で6位となり、最終グループ入り。ジェーソンの真骨頂と言える演技が見られました。
地元・中国の金博洋選手は、自国開催の五輪で本当に頑張りました。彼の「4回転ルッツ+3回転トウループ」が奇麗に決まったのを見て、さすがだなと思いました。ずっとケガで苦しんでいたので、やっとここまで戻って来られたのだと感慨もひとしおでした。やはり彼の4回転ルッツは別格です。この高難度ジャンプ時代のきっかけともなった4回転ルッツの先駆者です。そしてチェン選手のようなコンパクトで高さのある4回転ルッツとは違い、彼の場合は後ろにビューンと跳びます。飛距離が素晴らしいですね。中国の方々の前で実力を示すことができて、本当に良かったと思います。
最後に新型コロナウイルスで陽性反応が出たビンセント・ジョウ選手(米国)ですが、団体戦の演技後のPCR検査で発覚したとのこと。個人戦は棄権となりました。五輪に来るためにやってきた日々を考えると、いたたまれない気持ちです。世界選手権までは日数あるので出られると思うので、そこで挽回する気持ちで頑張ってほしいと思います。
フリーが終わってみないと何も分からないのが五輪
無良崇人(むらたかひと)
【写真:本人提供】