連載:プロ野球ファンが考える「○○ファン」ってこんな人!

“○○そうなファンNo.1”で11冠を達成したのは個性豊かな関西勢 12球団ファンに聞くイメージ調査<総括編>

カネシゲタカシ

阪神ファンとオリックスファン、どちらも関西人気質が色濃くでている 【カネシゲタカシ】

 スポーツナビでは2021年12月25日から2022年1月7日にかけて、プロ野球各球団ファンに対するイメージ調査を実施。これまで各球団ファンのイメージを全5回にわたって紹介してきた。最終回となる今回は「○○そうなファンNo.1」のアンケート結果を踏まえた総括を掲載する。

阪神ファンとオリックスファンで“11冠”達成!

 さて「○○そうなファンNo.1」の総括だが、最初に断っておきたい。とにかく阪神とオリックスのイメージが強烈だった。なんせ全15項目のうち6項目で阪神が1位。そして5項目でオリックスが1位に。つまり関西連合軍で7割超のアンケートを制する極端な結果が出たのだ。

まずは阪神がトップに輝いた6項目をご覧いただこう。

【スポーツナビ】

「お祭り騒ぎが大好きそう」(得票率66.76%)は2位ヤクルト(9.89%)に大差をつけて独走。「応援中の人格が変わってそう」(46.23%)でも2位ロッテ(10.79%)に4倍以上の差をつけた。さらに「ビールが好きそう」、「遠征やグッズにお金をかけそう」、「占いやゲン担ぎに命をかけてそう」が加われば、そりゃあ地球の裏の助っ人も「タイガースファンは熱狂的だと聞いている」と答える。そして「隣席のファンとすぐ仲良くなりそう」もわかる気がする。関西のおばちゃん、イニングごとにあめちゃんくれそう。

 つづいてオリックスがトップに輝いた5項目を見てみよう。

【スポーツナビ】

 自虐ネタが大好きで、負けても切り替えが早そうで、強じんなメンタルを持ってそう……。よく訓練されたオリックスファンの勇姿が浮かぶ。アンケートの自由回答で「本当に優勝おめでとう!」と多くの方が添えていた気持ちもすごくわかる。また「隠れファンが多そう」(16.61%)でも首位に。実際、去年の優勝で信仰を告白したオリファンが大勢いたのかもしれない。

 ただアンケートを精査すると阪神ファンも「自虐ネタが大好きそう」だし、「強じんなメンタルを持ってそう」だ。思えば阪神も長い暗黒時代を経て今があるし、カーネル・サンダースの呪いも嬉々(きき)として話す。阪神ファンとオリファン、ノリは違えど根は同じ。両ファンが濃いというより、そもそも関西人が濃いのだ。
 

地方球団ほど女性にやさしい?

12球団それぞれにそれぞれの良さがあり、そこには地域の気質が影響しているようだ 【カネシゲタカシ】

 では残り4つの項目はどうだったか見てみよう。

【スポーツナビ】

「ファン同士の団結力」で首位を勝ち取ったのはロッテだ(32.38%)。2位は阪神で26.41%。甲子園を応援で圧倒できる黒い軍団がアンケートでも存在感を見せた。そして「お金持ちで裕福そう」と「球場グルメにうるさそう」は巨人がトップに。チームが裕福でもファンはそうじゃないという指摘は当然あるが、東京の物価を考慮するとそう間違ってない気もする。「お金持ち」2位のソフトバンクもチケット代はやや高いと言われる。

 そして「女性ファンの居心地が良さそう」では1位広島(27.83%)、2位日本ハム(14.33%)、3位ソフトバンク(12.12%)という結果に。地方球団ほど女性ファンに優しいのかもしれない。ちなみに本連載ではアンケート結果をもとに12球団ファンをイメージイラスト化した。ここでは「男性が多い」が優勢だった球団は男性を、「女性が多い」優勢の球団は女性をメインに描いている。ご参考までに。
 

結論。「ファンの気質≒地域の気質」である

 今回の連載中は「おおむね当たっている」という評判をSNS等で多くいただいた。あくまでもイメージ調査とはいえ、わりと実態に近いのではないか。だとすれば、結論として言えるのは“ファンの気質≒地域の気質”という、単純だが忘れがちな事実だ。

 たとえば地方球団ほど郷土愛は強い。しかし「熱狂」は必ずしもセットにならない。広島やソフトバンクは両方を兼ね備えるが、楽天や日本ハムは「熱狂的」よりも「おとなしい」が優勢となる。そしてこれらは“地域の気質”そのものだといえる。西に行くとにぎやかで、北へ行くとおだやかだ。阪神やオリックスは関西人気質だし、中日ファンは名古屋人気質だ。関東の球団も、やはりそれぞれの地域性が出る。

 当たり前といえば当たり前だが、しばしばこの事を忘れる。たとえばSNS。素性のわからない他球団ファン同士のいざこざが後を絶たない。だがお互いの“気質”を手がかりに相手を理解し付き合えば、我々(われわれ)はもっと仲良くなれるのではないか。今回のイメージ調査はぜひそういうことにも役立ててほしい。
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著者プロフィール

1975年生まれの漫画家・コラムニスト。大阪府出身。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にてデビュー。現在は『週刊アサヒ芸能』(徳間書店)等に連載を持つほか、テレビ・ラジオ・トークイベントに出演するなど活動範囲を拡大中。元よしもと芸人。著書・共著は『みんなの あるあるプロ野球』(講談社)、『野球大喜利 ザ・グレート』(徳間書店)、『ベイスたん』(KADOKAWA)など。

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