知念雄×なかやまきんに君 ラグビー&ボディビル、競技を超えたトレーニングのこだわり【異色対談・前編】
ラグビー&ボディビルの「使える筋肉」とは?
真剣な表情で対談に臨むきんに君。トレーニングへの真摯な姿勢から編み出されたこだわりは、本記事では収まらないボリュームに達した 【撮影・佐藤まりえ】
知念 うちのチームでいったら1つ目がベンチプレス、2つ目がスクワット、3つ目が腕や肩というように3つのブロックがあって、各ブロックの間にキャッチやパスといったスキル動作を入れています。僕であれば、負荷の軽いスクラム動作を入れながら、直前にやったスクワットで刺激を入れたお尻の筋肉に(負荷が)きてるねとか、トレーニングした部位を実際の動きの中でどのように使うかを確認しながらやっています。
「使える筋肉」「使えない筋肉」という言い方は確かにありますが、筋肉はすべて使えると思っているんです。
きんに君 そうですよね。競技に合う筋肉かどうかですよね。
知念 個人的には「使える頭」にしていくことが大事なんじゃないかと思っていて。陸上(競技)でもトレーニングで高重量を上げる人がいるんですが、競技成績とイコールじゃないケースがいっぱいありました。でも高重量を上げられるということは、筋肉自体は使えているということ。どうすればパフォーマンスにつなげられるかを考えることが大切だと思っています。
きんに君 僕は筋トレ歴約25年ですが、始めた当時は「使わない筋肉を鍛えてどうするの?」と言われたこともありました。ボディビルやボディメイクの世界では、見える筋肉が使える筋肉であり、評価につながります。
――ボディビルで評価につながる「見える筋肉」を大きくするために意識していることはなんですか?
きんに君 筋肉が成長する条件は、筋トレ(運動)と食事(栄養)と睡眠(休養)の3つです。これがそろったときに筋肉は一番発達するので、これら一つひとつの質をいかに上げられるかが大切です。
筋トレでいったら重いものを持つだけでなく、さっき言ったように自分にどんな方法が合うかを試していく必要があると思います。食事も同じで、例えば同じ食品を食べても、人それぞれ感想や体の反応は違います。筋トレのあとの食事で卵、鶏肉、牛肉のうちどれを食べればいいのか、こういったことでも自分に何が合うのかを追求することが、より効果的な筋肥大につながっていくんだと思います。
知念 僕の場合は、ここ3年くらいで体に対して敏感になり始めましたが、今出てきた食べ物の反応は、自分の中でもすごく考えるようになったというか、考えたらどんどん面白くなっています。
「体づくり」という目的では、ボディビルでもラグビーでも同じだと思います。激しくトレーニングしても、早く疲労が抜けなかったら次のトレーニングが十分にできない。そこで、疲労を回復させるためには何を食べればいいのか。朝から鶏むね肉なのか、シンプルにご飯とみそ汁なのか、年齢や個人の感覚によっても違うので、今の話はめちゃくちゃ面白いです。
きんに君 ボディメイクの世界で体をしっかり仕上げる人は日ごろの努力が違います。今言ったトレーニングの質を追求したり、食事にこだわったりと、やっぱり研究熱心な人が成長しています。僕自身、今もずっといろいろと試している感じで、完璧につかみきれていませんが、試行錯誤しながら重ねていくしかないと思っています。
知念 僕も、自分に合うものをこれからも追求していきたいです。
取材構成/ライトハウス
<後編は30日に公開>