【浦和レッズスペシャルインタビュー】「圧倒的にホーム」で決勝進出を決めるため、江坂 任が最適解を探し続ける
【©URAWA REDS】
その指示は決して利己的ではない。我を押し通すためのディスカッションではない。
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「チームとして一番いい選択ができた方がいいと思うので、そこは一番意識しています。特に攻撃でいい侵入の仕方やいいゴールへの向かい方を共有した方がいいと思っています。後ろと前で分裂してしまうことが一番よくないので、真ん中をやっている立場として、後ろと前をつなげたいと思っています」
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加入当初は「慣れてきた」という言葉とは裏腹に、トレーニング中は黙々とプレーする印象だった。だが、今はもうその記憶自体が間違いなのではないかと疑うほどだ。
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特に関根や汰木とは気が合う。10月22日に埼玉スタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ 第33節 柏レイソル戦では、関根にPKを譲った。
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「いろいろな選手と近くでプレーしましたし、分かり合えてきたこともあります。自分のプレーを分かってもらえていることも大きいですね。特に関根や康也とは仲良くやっているので、試合でも何となく分かりますし、感覚が合いますね」
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それは、試合や状況によって変わるから。攻撃を組み立てる選手でもあり、フィニッシャーでもある。ビルドアップの際に自陣に引くこともあれば、前線に張ることも、サイドに流れることもある。
攻撃だけではなく守備でもチームに貢献し、トレーニングでも素早い切り替えからのプレスでボールを奪えば嬉々とした表情で攻撃に転じ、かわされれば声を上げて悔しがる。
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卓越したボールコントロールや両足ともに抜群の精度を誇るキック。味方と相手の位置を見ながら、あるいは感じ取りながらスペースを見つけ出す能力。
少し乱暴な表現をすれば、『何でもできる』からこそ、江坂は漠然としたプレーの理想は持たず、常に状況に応じた最適な形を探し、見つけることができるのだろう。
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たとえば小泉と組むときは最前線の位置に入り、ワントップとしてプレーする。一方で純粋なストライカーではない江坂が最前線に入ることで、ゼロトップと表現されることもある。
だが、江坂にとっては『0か1か』ではない。『0でも1でもない』わけでもない。「0にも1にもなるという感覚」だ。それもやはり、試合の状況によって変わる。立ち位置やプレーを状況に応じて変化させられる、最適解を探すことができる江坂は、「ポジションはあくまで最初の立ち位置」と表現するリカルド ロドリゲス監督のサッカーに適したプレーヤーだ。
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「自分が攻撃のアクセントになるところと、フィニッシャーになるところをうまく使い分けられていると、いいゲームができている感覚があります。そこが出せている試合、(柏)レイソル戦やガンバ(大阪)戦はいいゲームだったと思います」
一方、シーズンの佳境を迎えても、悔しさが残る試合もあった。
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そしてそれは、天皇杯でまずは準決勝を突破するために必要なこと。YBCルヴァンカップ準決勝の2試合を含め、チームとして今季5試合目、自身がレッズに加入してからは4試合目の対戦となるセレッソ大阪を破るために必要なこと。
「(2-0で勝利した9月18日の) J1リーグは良かったですが、(YBC)ルヴァンカップでは研究されて、守備のやり方もブロックを引き気味にしてきました。それを攻略することでもう一つ上のレベルに行けると思いますし、それをしないと研究されたチームには難しくなると思います。固い守備をどう崩すか、どう破るかは自分たちが一番チャレンジしなければいけないところだと思っています」
天皇杯は中立開催だが、準決勝の会場は埼玉スタジアム。江坂は中立開催ということを否定するかのように、「圧倒的にホームですよ」と言って笑った。
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清水戦は28,000人を超えるファン・サポーターが作る雰囲気に圧倒された。だからこそ勝てなかったことを悔やみ、次こそは、強く思う。
18年天皇杯決勝のゴール裏 【©URAWA REDS】
ファン・サポーターとともに、今季限りで去るチームメートへのおもいも背負いながら、
決勝へ進む。そのために江坂は、埼スタのピッチで最適解を探し続ける。
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