アスリートが「最強だと感じた瞬間」とは? アスリートトークバトル VOL.1

構成:スポーツナビ
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提供:BOATRACE

無意識で殴りあって、逆転勝ちで2度目の王者へ

2度の世界王者に輝き、K-1 MAXで一時代を築いた魔裟斗さん 【t.SAKUMA】

DJケチャップ 続いては、魔裟斗さんからお願いします。

魔裟斗 僕が思った『最強の瞬間』というのは、2008年に2度目のK-1チャンピオンになった時ですね。2003年に初めてチャンピオンになったんですけど、2008年まで5年間、チャンピオンになることができなかったんです。2004年、2005年、2006年とかになってくると、まあ「もう魔裟斗はそろそろダメだろう」みたいなことを言われ始めるんですよね。

宮下 周りからね。

魔裟斗 「もう終わった……」みたいにマスコミに書かれたりもするわけなんですよ。まあ、そのあたりにやっぱり「なにクソ!」「もう1回俺はチャンピオンになるんだ」みたいな、そういう思いを持って3年計画くらいで体を作り変えていって。その集大成でようやく2008年にチャンピオンになることができたんですけど。
 その試合も決勝戦では、第2ラウンドにダウンを取られたんですよ。意識がなくなるようなダウン取られたんですけど、そこからまた無意識で殴りあって、そこから逆転勝ちした試合だったんです。あの瞬間は最強だったんじゃないかなって思うですよね。

DJケチャップ どういう瞬間ですか? もうちょっと想像超えるんですけど。

魔裟斗 僕は左フックを打ったんですけど、相手も左フックを打ってきたんですよ。一瞬、相手のパンチのほうが早く入ったんですよ。だからカウンターになって、それで崩れ落ちるように倒れたんですけど。そこからあまり記憶がなくて、まあカウントエイトぐらいで立ち上がって。その無意識の中でも殴りあって、逆に僕のパンチを当て返して逆転勝ちしたんです。

宮下 体が覚えてるというか。無意識でできるぐらいやり込んだからこそ、(反応)出来るってことですね。

魔裟斗 あとは「もう絶対に今年こそは勝つ」っていう気持ちの持ち方があったので。だから、そういう場面でもやれたんじゃないのかなと思うんですよね。

DJケチャップ いや、まさに『最強の瞬間』。そんなことはあります? 無意識のうちに。

宮下 今、魔裟斗さんの話を聞いて(思い出したんですけど)、僕は人生で2個、記憶のないレースがあるんですね。1個はオリンピックを決めた日本選手権の決勝と、(もう1個は)メドレーリレーでメダルを取らせてもらったオリンピックの決勝なんですけど。ピストルが鳴って、やっぱり記憶がないんですよ、(ゴールに)着くまで。でも、その泳いだ時のVTRを見ると、今までコーチに言われて目指してきた泳ぎっていうのができてるんですよ。だから、無意識の中でやってるっていうのは、僕も同じ経験があります。

DJケチャップ ボートレースはないでしょう?

徳増 勝つレースっていうか、思った以上のレースをしている時っていうのは考えてないですね。すごくスローモーションに見えますし、ほんの一瞬なんですけど、その風景が10秒とか。まあ10秒は言い過ぎか。1秒〜2秒ぐらい止まって、5秒ぐらいには感じますよね。

DJケチャップ いやあ、すごいね〜。通じるものがある3人ですね。

チャンスを生かすために常に準備するのがレーサーの仕事

昨年の『グランドチャンピオン』を制した現役トップレーサーの徳増秀樹選手 【(C)BOATRACE】

DJケチャップ さあトークバトル第1ラウンドは『最強の瞬間』。ラストは徳増さん、参りましょう!

徳増 そうですね、僕が最強だったレースって言えば、まあやっぱり去年、SGの『グランドチャンピオン』を勝ったときですね。とにかくモーターがすごかったです。もう誰と足合わせしても、これは負ける要素がないなっていうぐらいのモーターだったんですよね。でもまあ気になる部分があったんで、その辺をちょっとずつちょっとずつ調整してって、良かったやつを完璧に仕上げました。この時は「誰と走っても負けないな」と思いました。

宮下 やっぱりあるんだなそういう時って。

DJケチャップ へえ〜、すごいな! でもそのモーターに合うプロペラの組み合わせだったり、スタンバイも上手くいったということでしょう?

徳増 スタート力を生かすのにちょっとしづらいセッティングだったので、それをこう自分向きにちょっとずつちょっとずつ調整をしていって。それが2日目、3日目ぐらいに直り出して。それで準優勝戦ではもう完全に仕上がってたんで、「もう絶対に負ける要素はないな」っていうことで。まあレース走らせてもらって。それでうまいこといって、最後の優勝戦の時はもうその準優勝戦の状態を維持してレースに臨みました。

DJケチャップ もうこれ皆に言えることは、『最強の瞬間』になる前からある程度の感覚がもう備わっているんですよね?

徳増 なるべくしてなってるんじゃないんですか? 皆さん。そうなるように自分を追い込んでいるし。

宮下 でも抽選じゃないですか、モーターが。だからやっぱりレーサーって運を持ってないと、どんなに実力があってもダメなモーターだったら勝てないわけですよね?

徳増 そうですね、ダメな時の方が多いですよね。だからいいモーターが来た時に、そのチャンスを生かせるかどうか。そのチャンスを生かすために常に準備をしておくっていうのが、僕らの仕事だと思ってます。

(ここでトーク終了のゴング)

DJケチャップ 第1ラウンドはドローです! こんなの決められませんよ、誰が最強なのか! トークバトルはまだまだ続きます。

<次回、VOL.2「最高のお宝」編に続く>

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