なぜロングアイアンは右に行くのか?
【(C)publicdomainq】
打てない理由としては、多くの方が「ロフトが立っているから」とか「長いから」といった点を言っていますが、そのとおりであればドライバーやユーティリティのほうが打てないはず。
実はロングアイアンが打てない本当の原因はクラブMOIにあるのです……。
ロングアイアンが打てない本当の原因はクラブMOIにあった!?
【(c)Gridge】
今まではクラブごとの打ちやすさなどについて物理的な側面から分析をすることはありませんでしたが、“クラブMOI”という、クラブの慣性モーメントに着目し物理的に分析することで、クラブMOIの違いによって実際に球筋までが違ってくるということがわかっています。
このグラフはQTなどで頑張っている岩崎プロのクラブ全体の慣性モーメント=クラブMOIをグラフにしたもので短くなるに連れてクラブMOIが低くなっていることがわかります。
プロだけでなく一般アマチュアのクラブも、従来のスイングバランス合わせで作られているとこうした右下がりのグラフになります。
スイングバランス合わせで作ったクラブのほぼ100パーセントが、長くなるにつれてクラブMOIが高く=振り心地が重くなります。
ロングアイアンは物理的に右に行く
【(c)Gridge】
試打を納得するまでやってみて、一番結果の良かったアイアンセットを買う。
それでバッチリだと思っていたのに、実際に打ってみると5番アイアンは右にしか行かないしピッチングウェッジはヒッカケばかり。
せっかくアイアンセットを買ったのに、結果が良いのは7番だけ。
5番アイアンは右にしか行かないのでほとんど使うことはないし、ショートアイアンを打つ時はヒッカケに気を使って右向いて打ったり……。
実はこの症状ってクラブMOIが大きく関係しているのです。
先程の岩崎プロのクラブMOIデータを見ていただければ一目瞭然ですが、ロングアイアン等のクラブMOIが高いクラブ=振るのにより一層のチカラが必要。
ショートアイアンなどのクラブMOIが低いクラブ=振るのにチカラが少ししか必要ない。
ということになります。
人が出せるチカラってそれほど変えられる訳ではありません(試打専門のプロなどは除く)から、クラブMOIが高いクラブ=ロングアイアンは振るためのチカラを出し切れず振り遅れることとなります。
結果的にロングアイアンなどのクラブMOIが高いクラブは、Cの位置で当たることになり、ボールは右に行くこととなります。
逆にショートアイアンはクラブMOIが低く振り過ぎてしまうので、Aの位置で当たってヒッカケばかりになるのです。
試打クラブのほとんどは7番アイアンですから、7番アイアンは良くても4番・5番アイアンや9番、PWになると右に行ったり左にヒッカケたりする。
実はこれって物理的に見て当たり前のことだったのです……。
ロングアイアンで球が上がらないのは……
【(c)Gridge】
「クラブMOIが高い=振るのにより一層のチカラが必要=チカラが出せない場合に振り遅れる」のですから、ロングアイアンでは上図の1の位置で当たることになります。
多くのゴルファーはロングアイアンで球が上がらないと言いますが、その原因はクラブMOIにもあるのです。
ショートアイアンになると、同じ力加減で振った場合は逆に振り過ぎてしまうことになります。
クラブMOIが低い=振るのに少しだけのチカラで済む=出すチカラが一定だと振り過ぎてしまう。
ということになりますから、図の3の位置で当たることになります。
ロングアイアンで球が上がらない原因も、ショートアイアンで球が上がり過ぎる原因もクラブMOIが大きく関与しているのです。
ショートアイアンのヒッカケもクラブMOIが原因!
番手によってスイングを変えずに済むというだけでもゴルフが今以上にシンプルになっていきます。
実際にクラブMOIマッチングを行うためには専用の計測器や力学的な計算なども必要です。
計測器がなく、計算ができなくてもMCI BLACK(フジクラシャフト)などのクラブMOIマッチング用ともいえるシャフトである程度の振り心地を揃えることは可能ですが、やはりMOIマッチングの専門知識と経験のあるゴルフ工房にクラブMOIマッチングを依頼されるのが良いとおMOIます。
クラブMOIマッチングができる工房はまだそれほど多くはありませんが、少しずつ増えています。
ご興味のある方はJCMOのWebSiteからお問い合わせをお願いします。
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