青森山田のバスケス・バイロンが抱く夢 いわきFCから目指す欧州クラブとチリ代表

中田徹

黒田監督「バスケスには良い意味での強い欲がある」

 卒業後、バスケスが進むのは「フィジカル革命」で知られる、いわきFCだ。東北1部リーグに昇格したばかりの同チームは、練習場のいわきFCフィールド、クラブハウスのいわきFCパークといった素晴らしい施設を持つ。だが、バスケスなら、もっと上のカテゴリーでサッカーを続けてもいいはず。どのような思いで、彼はいわきFCに加入するのだろうか。

「僕の国籍はチリです。Jリーグには外国人枠があり、昨季は登録が5人までだったので、なかなか自分は獲ってもらえなかった。外国人選手を獲るなら、やっぱり経験のある助っ人。即戦力じゃないといけない。そこが自分にとっては不利でした。いわきFCの環境は日本でトップなので、そこで体を鍛えて、次はJ1か海外でプレーしたいです」

 チリの名門・コロコロで活躍したアルトゥーロ・ビダルやアレクシス・サンチェスを、バスケスは6歳の頃から見て憧れていたという。チリがコパ・アメリカを15年、16年と連覇した時、バスケスはテレビの前で祖国を応援した。17年のコンフェデレーションズカップ決勝でドイツに敗れてしまったが「チリがあそこまで行って、FIFAランキングも上がっていったことを誇りに思います」と胸を張る。

「メッシのいるアルゼンチンと違って、チリはパッション(情熱)とハートでサッカーをするんです。将来、何が起こるかは分かりませんが、今のところ気持ちはチリにあります」(バスケス)

 黒田監督は、バスケスに対する期待と課題について、こう述べた。

「いわきFCはウエイト強化に重きを置いているし、彼はいろいろな意味で体を作っていかないといけない。技術的には高いものを持っている選手。メンタルをコントロールする部分が、まだまだ子供なところがある。南米の子らしく、ちょっと遊び心があったり、何としてでも自分がやろうとするような、良い意味での強い欲があります。『いわきFCですぐにでも試合に出て、Jリーグのクラブから声が掛かるように頑張れ』と言っています」

 いわきFCからJリーグへ。その先に、バスケスはヨーロッパでプレーすることと、チリ代表としてプレーすることを夢見ている。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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