「こんなの壁なんて言ってられません」 堂安律の2018年を振り返る

中田徹

年内ラスト3試合は不満足の結果に

フローニンゲンで大きく成長、新生日本代表でもレギュラーを手に入れつつある堂安律 【Getty Images】

 エクセルシオール戦(現地時間11月2日)で魅せた、狭いスペースでの巧みなトラップからのボレーシュート。ヘーレンフェーン戦(11月11日)での豪快かつ美しい軌道を描いたシュート。そしてNAC戦(12月2日)は、自ら攻撃の起点を作り、ペナルティーエリアに走り込んでこぼれ球を押し込んだ。「ごっつあんゴール」と言えなくもないが、『パス・アンド・ゴーで危険なエリアに入ってシュートを決める』という型は、堂安律(FCフローニンゲン)が目指していたもの。理想の形のゴールだった。

 今年最後の3試合、もっともっと堂安はゴールを決め、もっともっとフローニンゲンは勝ち点を重ねる――。そんな期待を、ファンのみならず、本人も抱いたことだろう。だが終わってみると攻撃陣が湿り、VVVフェンロに0−0、エメンに1−2、フォルトゥナ・シッタルトに0−0と、チームとしては勝ち点2を上乗せするに留まり、堂安個人としても満足のいく結果を残せなかった。

「もう少し何かできたかなと思います。いろいろ試行錯誤しながらやろうとしましたが、難しかった。受け入れがたい結果ですけれど、前を向いていきたいです」と語った。

ゴールだけでなく、出場時間も大幅増

 これで、オランダリーグはウインターブレークに入る。堂安にとって2018年という年は、フローニンゲンのエースに成長し、森保一が監督に就任して以降、日本代表でのプレーで強烈な印象を残したものになった。

「1年間を通してみると、昨シーズンの後半戦から今シーズンの前半戦にかけて、9点か10点取れたと思うんです。そういう意味では、充実した1年でした。去年、最初の半年、本当に苦労しましたからね。年明けからの試合は、本当に気持ちよくプレーさせてもらった。ただ、ここ2、3試合はすごく残念ですね」

 オランダリーグのスタッツを見ると、堂安は昨季後半戦で6ゴール、今季前半戦で4ゴールを決めている。

 年間で見れば二桁ゴールという結果も素晴らしいが、出場時間も誇っていいだろう。アーネスト・ファーバー前監督(現PSV育成責任者)率いた昨季は、25節のNAC戦から10試合連続フル出場を果たした。

 デニー・バイス監督が就任した今季は2試合途中交代があったものの、それはスーパーゴールを決めたエクセルシオール戦とヘーレンフェーン戦の後半アディショナルタイムのこと。アウェーのエクセルシオール戦では労いの交代。ホームのヘーレンフェーン戦ではスタンディング・オベーションを受けるための交代だった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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