足の親指をつかんで伸ばすポーズから片足のサイドプランクポーズへのステップ

ヨガジャーナルオンライン

ヨガジャーナルアメリカ版から、毎回異なるポーズをご紹介する「YOGA PEDIA」。今回は、足の親指をつかんで伸ばすポーズ(ウッティターハスタパーダングシュターサナ)から片足のサイドプランクポーズ(エーカパーダヴァシシュターサナ) へのステップや軽減ポーズをご紹介します。教えてくれたのは、ノア・マゼヨガを起こしたノア・マゼ先生。

ウッティターハスタパーダングシュターサナとは

ポーズの由来:Utthita = 伸ばす hasta = 手 padangustha = 足の親指 asana = ポーズ
足の親指をつかんで伸ばすポーズ
ポーズの効果:足、足首、脚、腰、体幹を強化する。足首を安定させる。集中力、自信、バランス感覚を養う。

完成までのステップ

1. 両足を揃えてターダーサナ(山のポーズ)で立つ。足の内側と外側をマットに均等に押しつける。背骨全体を引き上げる。前方を見て、両腕を体側で伸ばす。

2. 息を吐きながら、左脚を押し下げて、骨盤を右に回転させずに腰の右側をできるだけ外に向ける。左手を腰に持っていく。

3. 息を吸いながら、右膝を外側に曲げて引き上げ、右手の親指と人差し指で右足の親指をつかむ。左の膝頭を強く引き上げて大腿四頭筋を働かせ、膝をまっすぐ伸ばす。

4. 右膝を曲げたまま、右脚を90度の高さに上げる。骨盤または右太腿を右に回転させずにできるだけ引き上げる。お尻の右側を外旋させて骨盤を水平に保つ。上体を引き上げる。息を吸いながら、上体はまっすぐに保ったまま、右脚をできるだけ伸ばす。

5. 左脚の膝頭を引き上げ続けながら、左脚でしっかり立つ。腰の左側を正中線のほうに引いて筋肉を引き締め、骨盤を左に押し込めずにお尻の右側を外旋させる。腹筋を働かせ続ける。右の上腕を外旋させる。左手を腰に当てたまま前方を見る。この姿勢を5 〜 8回呼吸する間保つ。

6. 息を吸いながら右膝を曲げ、息を吐きながら右手を離してターダーサナに戻る。反対側も同様に行う。

ウッティターハスタパーダングシュターサナ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

NG:立っている脚のほうの腰に体重をかけないこと。こうすると、脚が正中線からずれてしまう。つまり、臀筋が働かず、腰の外側と骨盤が不安定になってしまう。

ウッティターハスタ パーダングシュターサナのNG/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

NG:上げている脚のほうに骨盤を上げすぎてはいけない。骨盤はできるだけ床と平行にしよう。骨盤が上がってしまうと、上げている脚が内旋して、ハムストリング、腰、骨盤が不安定になる。

ウッティターハスタ パーダングシュターサナのNG/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

ウッティターハスタパーダングシュターサナの軽減ポーズ

腰やハムストリングが硬い場合は...

足の指の付け根にストラップをかけてみよう。腰やハムストリングが硬いと、足の親指をつかんで上体をまっすぐにしたまま、両脚を伸ばせない。ストラップの分腕が長くなるので、足をそれほど高く引き上げなくても柔軟性を高めることができる。ストラップで小さな輪を作り、ターダーサナで立っているときに右手にその輪を持っておく。右脚を右側に回転させて、膝を曲げ、足の指の付け根に輪をかける。それ以降は前ページのインストラクションに従う。ストラップを使うとバランスがとりやすくなるので、ポーズを長く保てるようになり、腰がよく伸びる。

ウッティターハスタパーダングシュターサナの軽減ポーズ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

腰やハムストリングが硬いのにストラップがない場合は...

膝を曲げたまま練習してみよう。インストラクションの3の足の親指をつかむところまで行ったら、必要なだけ膝を曲げる。足を横に動かし、骨盤を安定させて、体を前方や左右に傾けずに上体を均等に引き上げる。

ウッティターハスタパーダングシュターサナの軽減ポーズ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

バランスがうまくとれず、何度挑戦しても倒れてしまう場合は...

壁を利用してみよう。腕の長さ程度壁から離れて、左側を壁に向けて立つ。左手を壁に当てて、インストラクション通りに全過程を行う。ポーズに入ると、腕がやや曲がった状態になる。壁のほうに傾きすぎないようにしよう。体が安定したと思ったら、壁から手を離してバランスをとってみよう。必要に応じて、少し戻って再度挑戦してもよい。

ウッティターハスタパーダングシュターサナの軽減ポーズ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

完璧を手放そう

ウッティターハスタパーダングシュターサナは、今月のポーズに至るための中間ポーズだ。難しいと感じたとしても、同じような人は大勢いる。倒れてもあきらめてはいけない。倒れることはプロセスの一部だ。焦らずにターダーサナで数回呼吸しよう。背筋を伸ばして立とう。しっかり立とう。もう一度集中して再挑戦だ。ポーズを師とすれば、体力、集中力、自信、バランス感覚を得られるはずだ。マットの外でこのポーズから教訓を学び取って、困難な状況にあ
っても落ち着いて力強く敏感であり続けなければならないときにその教訓を活かそう。人生では、精一杯努力しても「倒れる」こともある。それでいい。だからこそ私たちはヨガの練習と呼んでいるのだ。マットの上の練習は、マットの外での実践に向けたトレーニングだ。

エーカパーダヴァシシュターサナのための3つの準備ポーズ

体幹と腰の外側を強化し、太腿の内側とハムストリングをストレッチしよう。

1.アルダナーヴァーサナ (半分の舟のポーズ)

ポーズの効果:腰の屈筋、体幹の深部筋肉、腹壁のまわりのあらゆる筋肉を強化する。

アルダナーヴァーサナ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

やり方

ダンダーサナ(杖のポーズ)で座り、脚は前に、上体は上にまっすぐ伸ばす。頭の後ろで手を組み、息を吐きながら、仙骨で座って上体を後ろに傾けていき、開いたV字になる。骨盤底と下腹部を強く働かせながら、両脚を床から引き上
げて鼻の高さまで上げる。両脚をしっかり閉じて、引き続き体幹の筋肉と骨盤底を働かせながら、下腹部を胸骨に向かって引き上げる。肩甲骨を耳から離して、左右の肘を離す。5 〜 8回呼吸する間保つ。息を吐きながら脚を下ろして、数回呼吸する間休む。あと2回繰り返す。

2.ウッティタートリコナーサナ(三角のポーズ)

ポーズの効果:ハムストリングと太腿の内側をストレッチする。大腿四頭筋と腰の外側を強化する。

ウッティタートリコナーサナ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

やり方

山のポーズで立つ。息を吸いながら、両足を120センチ程度離すように踏み出す。両腕を肩からまっすぐ横に伸ばす。左右の足首の間隔が手首の間隔と同じになるように足の位置を調整する。左足をやや内側に向け、右足を90度外に向ける。膝頭を引き上げる。息を吸いながら、背骨を引き上げる。息を吐きながら、上体を右に傾けながら、骨盤を左に傾けて、右手を床に置くか、すねの外側に置いたブロックにのせる。左腕を上に伸ばす。腹部を左上に向ける。この姿勢を5回呼吸する間保ったら、反対側も同様に行う。

3.アルダチャンドラーサナ(半月のポーズ)

ポーズの効果:ハムストリングと太腿の内側をストレッチする。腰の筋肉を強化し、バランス感覚を養い、心に静けさをもたらす。

アルダチャンドラーサナ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

やり方

三角のポーズの右側に戻る。息を吐きながら下を見て右膝を曲げ、左足を内側に踏み込み、右手を床に置くか、足の小指の20 〜 30センチ先に置いたブロックにのせる。息を吸いながら左脚をマットの縦の縁と平行になるように上げる。右膝を伸ばす。お尻の右側を左脚のほうに引き寄せる。左腕を上に伸ばす。体幹を働かせる。バランスがとれたら、頭を左手のほうに向けて上を見る。5〜8回呼吸する間保つ。息を吐きながら下を見て右膝を曲げ、左脚をゆっくり下げる。反対側も同様に行う。

エーカパーダヴァシシュターサナとは

eka = 1 pada = 足または脚 Vasistha = ヴェーダの伝統における著名なリシ(聖者)の名前 asana = ポーズ
片足のサイドプランクポーズ

ポーズの効果:体幹を安定させ、手首、腕、肩を強化する。バランス感覚と意志の力を養う。

完成までのステップ

1. プランクポーズに入る。肩の外側が手首中央の上にくるようにする。左右の人差し指が平行になるように手を外に向ける。人差し指の指関節をマットに押しつける。肩甲骨を広げて、下のほうに滑らせる。

エーカパーダヴァシシュターサナへのステップ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

2. 右手の内側を強く押し下げ、右上腕を外旋させ、肩甲骨を耳から離し、右かかとを床のほうに回転させることによって、ヴァシシュターサナ(サイドプランク)に入る。右足の中央と右手首の中央が一直線になるようにする。左脚を右脚の上にのせる。両足の外側をスネの外側のほうに引き上げて、ターダーサナの足をつくる。右の上腕二頭筋を引き締め、肘を過度に反らさないように注意しよう(肘を反らしすぎる傾向のある人は、肘を少し曲げよう)。左腕をまっすぐ上に伸ばす。安定していると思ったら、左手のほうを見る。5 〜 8回呼吸保つ。

エーカパーダヴァシシュターサナへのステップ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

3. 体を安定させてサイドプランクを5 〜 8回呼吸する間保てたら、腰の左側を外旋させ、左膝を曲げて親指をつかむ。お尻の左側を右足のほうに動かし、腰の左側を外旋させ続ける。

エーカパーダヴァシシュターサナへのステップ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

4. 足の親指をつかむかストラップを足にかけて、左脚を上に伸ばしながら、体の右側を斜めにまっすぐ伸ばす(頸椎はニュートラルに)。はじめは下を見てバランスをとり、バランスがとれたら前方を見る。首に緊張を感じなければ、頭を上に向けて左足のほうを見る。力強さを維持するために、右の上腕を外旋させ続け、ウエストの両側を内側に引き込み、下腹部を内側に引き込んで上に引き上げる。この姿勢を5回呼吸する間保つ。息を吐きながら、左脚を下ろしてプランクポーズに戻る。反対側も1 〜 4まで同様に行う。

エーカパーダヴァシシュターサナ/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

NG:骨盤を床のほうに下げないこと。「腰の沈み」はハムストリングの硬さや臀筋の弱さが原因となっていることが多い。上の脚を伸ばすと骨盤が沈む場合は、足にストラップをかけるか上の脚を少し曲げてみよう。

エーカパーダヴァシシュターサナのNG/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

NG:骨盤を床から引き上げすぎて斜めの線を「崩さない」こと。斜めの線より高く上げられるかもしれないが、そうすると必要とされる体幹の筋力が小さくなってしまう。

エーカパーダヴァシシュターサナのNG/Photo by Rick Cummings 【Photo by Rick Cummings】

安全に行うために

体重を支えている腕を安定させるには、手の内側を強く下に押しつけ、上腕二頭筋をアイソメトリックで(つまり腕を動かさず)押し上げて働かせよう。肘が反る場合は、肘を5 〜 10度曲げよう。上腕を外旋させて左の肩甲骨を押し下げよう(つまり、左の肩甲骨を耳から離そう)。


教えてくれたのは...ノア・マゼ先生
2003年にノア・マゼヨガを起こした。2012年にはロサンゼルスにヨガマゼヨガスクールを設立し、オンラインと直接指導で指導者養成を行っている。ノア・マゼのカリキュラムは、厳密なアラインメントとヴィンヤサの理論を組み合わせたものとなっている。14歳でヨガを始めて、リチャード・フリーマン、パタビ・ジョイス、ジョン・フレンド、マノウーゾ・マノスに師事した。現在でもあらゆる流派の指導者からヨガを学んでいる。


Photos by Rick Cummings
Styling by Jessica Jeanne Eaton
Hair&make-up by Beth Walker
Translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.50掲載
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著者プロフィール

世界のヨガ情報を発信するニュースメディア。ボディメイクに役立つポーズや不調を解消するメソッドのほか、ファッション、ヘルシーフード、ヨガを愛する著名人へのインタビューなど、ビューティ&ヘルス系の最旬トピックスを配信します。

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