今年のスプリンターズSは高速決着!? 差しタイプよりも逃げ・先行組に期待

JRA-VANデータラボ

北九州記念の上位3着以内馬

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 ここからは北九州記念、キーンランドC、セントウルSの前哨戦3レースの内容を見ていく。表5は北九州記念の上位3着以内馬。小倉芝も過去数年は以前のように高速決着とならない傾向が見られたが、今年は前半からハイペースで高速決着となった。

 前半32秒4のハイペースでラブカンプーが道中2番手で粘る中、内目から差し切ったのがアレスバローズ。同馬は2走前のCBC賞でも1分7秒0の速いタイムで勝利しており、高速馬場への適性の高さを示している。2着にはダイメイプリンセスが入り、アイビスSDの上位2頭がここでも馬券圏内に入った。

キーンランドCの上位3着以内馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6はキーンランドCの上位3着以内馬。こちらはモレイラ騎手騎乗のナックビーナスがスタートから主導権を握って、逃げ切り勝ちを決めた。2・3着にも道中内目を通った馬が入り、直線で外が伸びにくい状態だった。ナックビーナスの前半3Fは33秒7で徹底先行タイプがおらず、すんなりとハナを切れたのが大きかった。

セントウルSの上位3着以内馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後にセントウルSの3着以内馬一覧。重馬場で時計が掛かるコンディションで、中団からレースを進めたファインニードルが差し切ってセントウルS2連覇を決めた。ハナ争いでネロに絡まれたラブカンプーは前半33秒3のハイペースで逃げて2着。前が止まる展開になり、ファインニードルには絶好の展開となった。ラブカンプーは近2戦ともにきついハナ争いに巻き込まれているが、どちらも馬券圏内で粘れている

結論

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 今年のスプリンターズSの出走予定馬は表8のとおり。

 1番人気に支持されそうなのは高松宮記念を制して、前哨戦のセントウルSも勝利したファインニードル。ただし、不安な点は大きく2つある。まずは時計の掛かる馬場への適性が高いこと。今年挙げた3勝はいずれも1分8秒台と時計の掛かる馬場だった。2つ目は休み明けを好走し、間隔が短い2戦目ではパフォーマンスを落とす傾向にある点だ。昨年はセントウルSを快勝したが、スプリンターズSでは12着に敗れている。オープン入りしてからは1着か4着以下かハッキリしており、馬券圏内を外してもおかしくないと見る。

 他で上位人気が想定される中では昨年の覇者レッドファルクス、昨年2着で春の高松宮記念も2着のレッツゴードンキも時計が掛かった方が良績の出やすいタイプといえる。

 前哨戦3レースの中で今回に最も直結すると見ているのが北九州記念組だ。このレース4着だったグレイトチャーターがセントウルSで上がり最速の3着と着順を上げている点からも評価できる。北九州記念を勝ち切ったアレスバローズは表5で述べたように重賞連勝中で、高速馬場への適性が高い。以前より前半ハイペースでも楽に追走できており、今回も不利がなければ勝ち負けできる可能性が高い。

 また、好位から2着に入ったダイメイプリンセスも高速1200mの適性が高く、有力。昨秋の中山・初風特別では前半32秒9のハイペースで2番手につけて勝利している。ハイペースでも我慢できる先行力は強みだ。また、近2戦ハイペースで競りかけられながらも好走しているラブカンプーも有力だが、状態面はきっちりチェックしておきたい。

 テンが速いラブカンプーの出方次第だが、ハナに行けた場合のセイウンコウセイも注意しておきたい。前走の函館スプリントSでは前半33秒1のハイペースで逃げて、ナックビーナスを完封。昨年の高松宮記念を制しており、引き続き怖い一頭だ。他では先行力があって、中山芝では馬券圏内を外していないナックビーナスはもちろん押さえておきたい。

 今回は瞬発力がある差しタイプよりも、前で踏ん張れる逃げ・先行タイプの粘り込みに期待して馬券作戦を組み立てたい。

文:ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。

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