妙高で充実の走り込みができた青学大 目指すは2度目の「学生駅伝3冠」

月刊陸上競技

原監督「箱根はほぼほぼ勝てる」

2年生の吉田圭太(写真)がインカレで好成績を残すなど、各学年で足並みがそろい、磐石なチームとなってきた 【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 特に今年は1年生に元気があるそうで、飯田貴之、湯原慶吾、早田祥也、高橋勇輝の4人は指揮官の信頼も厚い。今季前半は故障で出遅れていた主力選手たちも復帰し、主将の森田歩希、橋詰大慧(ともに4年)が積極的に練習を引っ張っている。

「橋詰、小野田(勇次)、森田など、今年は4年生が充実していますね。他にも3年生の竹石(尚人)、鈴木(塁人)、2年生の吉田圭太が順調で、各学年で足並みがそろってきました」(原監督)

 前回の箱根5区で両ふくらはぎをつりながら区間5位タイで走破した竹石は、菅平で毎年行われる「坂上りT.T」(21キロ走でラスト2.7キロの上りをフリー)で歴代最速タイムを樹立。これまで青学大の山上りを歴任してきた神野大地(現・東京陸協)や貞永隆佑の記録を超え、チーム関係者からもポテンシャルの高さを評価されている。

 5000メートルのチーム上位10人平均は2年前の学生駅伝3冠達成時に匹敵し、それはチーム内でも自信につながっているという。

 1次合宿時点で梶谷、林の主力2人が故障明けの影響で別メニュー調整だったが、それでも指揮官は「大きな故障者を大量に出さない、直前にインフルエンザがまん延しない限りは、(箱根駅伝は)ほぼほぼ勝てるんじゃないかな」と焦りはない。三大駅伝経験者が9人も残り、さらに新戦力も台頭してきたことで、今年も駅伝シーズンの中心的存在となることは間違いなさそうだ。

「今年は突出したエースがいない一方で、Aチームのメンバーは他校のエースと戦える選手が多いので、全体のチーム力には自信があります」(森田)

橋詰は5000m青学大記録を更新

一色恭志の持っていた青学大記録を塗り替えた橋詰大慧 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

 今季のチーム目標は「学生駅伝3冠」。この偉業を複数回達成したチームは過去に存在せず、それだけ偉大な記録にチャレンジすることになる。主将の森田は警戒しているチームとして、昨年の出雲と全日本で先着を許した東海大と、箱根で往路優勝した東洋大を挙げた。

「東海大は3年生世代が強力ですし、(5000メートルで)13分台ランナーの数もウチより多い。東洋大は前期シーズンに西山(和弥/2年)選手と相澤(晃/3年)選手が日本選手権(10000メートル)で入賞しているので、この2校がライバルになってくるのかなと思います」(森田)

 前回の箱根で7区区間新の快走を見せた林奎介(4年)は「最低でも11月の全日本大学駅伝、正月の箱根駅伝、この2本は大事な区間で優勝に導ける走りをしたい」と話し、今季5000メートルで一色恭志(現・GMOアスリーツ)の持つ青学大記録(13分39秒65)を2年ぶりに塗り替える13分37秒75をマークした橋詰も「昨年度の田村和希さん(現・住友電工)のように前半区間で他を圧倒したい」と、最後の学生駅伝シーズンに対する意気込みを口にした。

 今年は青学大陸上競技部が創部100周年を迎え、チームスローガンには「新緑の団結〜刻め100ページ目〜」を設定。奇しくも今年度は出雲駅伝が第30回大会、全日本大学駅伝が第50回大会、箱根駅伝が第95回大会と、“メモリアル”が重なった記念すべき年だ。前人未到の偉業達成はなるか。(文・松永貴允)

2/2ページ

著者プロフィール

「主役は選手だ」を掲げ、日本全国から海外まであらゆる情報を網羅した陸上競技専門誌。トップ選手や強豪チームのトレーニング紹介や、連続写真を活用した技術解説などハウツーも充実。(一社)日本実業団連合、(公財)日本学生陸上競技連合、(公財)日本高体連陸上競技専門部、(公財)日本中体連陸上競技部の機関誌。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント