【新日本プロレス】棚橋が飯伏に勝利し3年ぶりのG1制覇 「逸材、完全復活」で王者返り咲き

高木裕美

ミステリオの登場に武道館熱狂

ミステリオ(右)が大阪城ホール大会以来の参戦。武道館のファンを魅了した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、WWEスーパースターのレイ・ミステリオJr.が、KUSHIDA、謎の覆面プロレスラー戦国炎舞とトリオを結成。オカダ・カズチカ&SHO&YOH組と対戦した。

 ミステリオは6.9大阪城ホールに続き2度目の新日本参戦。スマホゲームとコラボした戦国炎舞は、“戦国のかぶき者”前田慶次をモチーフにしたコスチュームに面頬を装着しており、その正体は不明ながら、どこか見覚えのある雰囲気を醸し出している。

 一方、オカダは久々にガウン姿で入場。自ら先発を買って出ると、ミステリオと対峙(たいじ)するが、場内からは「619」コール。ミステリオが619を狙おうとしたところをかわすと、オカダにブーイングが起こる。その後もオカダは戦国炎舞の面頬をはぎ取ろうとしてブーイング。ミステリオがSHO&YOHに2人まとめて619を決めようとしたところをドロップキックで阻止して大ブーイングと、武道館に集まった1万人以上を敵に回してしまう。

 正体不明の戦国炎舞はヒップアタックを繰り出すたびに大歓声が起こる。ミステリオがオカダにフライングボディーアタック。オカダがフラップジャック。ミステリオはYOHにスイング式DDT、SHOにはウラカンラナを見舞うと、KUSHIDAと戦国炎舞が同時に場外へのノータッチトペを発射。孤立したYOHにミステリオが619を炸裂させ、スワンダイブ式のダイビングボディープレスで圧殺。時空を超えたトリオが勝利をつかんだ。

オメガのIWGP王座に石井が挑戦アピール

IWGP王者のオメガ(左)に石井が挑戦をアピール 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPヘビー級王者のケニー・オメガは、高橋裕二郎&チェーズ・オーエンズとのBULLET CLUB ELITEで、CHAOSの石井智宏&矢野通&ジェイ・ホワイト組と対戦。G1公式戦で敗れた2人と6人タッグ戦で“再会”を果たすと、試合後、石井がIWGP王座挑戦を表明した。

 オメガは8.4大阪で石井に、8.8横浜では矢野にいずれも敗北。試合内容的には、石井とはベストバウト級の激闘、矢野とは迷勝負の末の乱入劇と、まったくの真逆にはなるものの、この2敗が響き、3年連続の決勝進出を逃した。

 CHAOS内で浮いた存在となりつつあるジェイは、矢野に一方的にタッチするなど、不協和音は隠せず。オメガはオーエンズと共に矢野に合体股裂き攻撃で恨みを晴らすと、さらには3人でCHAOS軍をとらえ、裕二郎ダンサーのピーターさんを中心に囲んでの股裂き連係。矢野は背後からオメガの髪をつかむ相変わらずの反則行為を見せる中、石井はオメガにチョップ、パワースラムで闘志をアピール。オメガの目の前でオーエンズをラリアットからの垂直落下式ブレーンバスターで沈めると、試合後、IWGPベルトを手にし、オメガに手わたしながら王座挑戦をアピール。オメガも客席に向かってベルトを見せ、期待している観客の反応を確かめると、リング上から石井とにらみ合った。

 シングルで文句なしの3カウントを奪っている石井なら、王座挑戦の資格は十分。次期シリーズ中にも、タイトルマッチ実現となりそうだ。

内藤とみのるの遺恨が再燃

G1では当たらなかった内藤(手前)とみのるの遺恨が再燃か 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの内藤哲也&EVIL&SANADA&BUSHI組は、鈴木軍の鈴木みのる&ザック・セイバーJr.&金丸義信&エル・デスペラード組に快勝するも、くすぶっていた遺恨が再燃。G1では別ブロックだった内藤に対し、みのるが不満と怒りをぶつけた。

 内藤とみのるは4.29熊本でIWGPインターコンチネンタル王座を賭けて対戦し、内藤がデスティーノで王座を奪取。「新日本のお宝をすべていただく」と宣言していた「プロレス界の王」から、大事なお宝を奪った上、クリス・ジェリコに奪われて海外流出を許してしまった。

 みのるは内藤ただ1人を標的に定めると、鬼の形相でエルボー、ヒザ固めから開始3分でスリーパーからゴッチ式パイルドライバーを狙うと、さらにヒザ蹴り、ナックル、ぶら下がり式腕十字固め。前日の公式戦で内藤に勝利しているザックも腕へのキックでボスをアシストする。さらに10分過ぎにはヒザ攻めから場外でのサブミッションへ。リング上では金丸のウィスキーミストをかわしたSANADAがSkull Endで勝負を決めるも、試合終了のゴングが鳴ってもみのるは締め上げたまま離さず。セコンドが強引に引き離すと、なおも荒ぶるみのるは、若手に次々と襲い掛かって憂さを晴らした。

急きょ決定のタイトル戦は王座移動に

BULLET CLUB OGがNEVER無差別級6人タッグのベルトを奪取。しかしベルトをメイ社長の目の前に投げ捨てて退場するという暴挙 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 急きょタイトルマッチに変更されたNEVER無差別級6人タッグ選手権試合では、BULLET CLUB OGのタマ・トンガ&タンガ・ロア&石森太二組が、マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン&マーティー・スカル組から王座を奪取するも、ハロルド・ジョージ・メイ社長に対し、またも暴挙を働いた。

 当初はノンタイトル戦で発表されていたが、タンガの要求にマットが応じたことで、メイ社長もその場で了承。タイトル戦としてゴングが打ち鳴らされた。7月にBULLET CLUB分裂後、新日本マット初参戦となった石森は、自らをスカウトしたBULLET CLUB OGへの忠誠をアピール。王者組はヤングバックスの好連係&スカルのテクニックで序盤は優勢に立つも、何度も誤爆を誘われた上に合体技のインディーテイカーも阻止され、ペースを握れず。スカルがタンガに得意の指折りを狙おうとしたところ、実際の試合権利を持つトンガが背後から襲い掛かってガンスタンでフィニッシュ。王座移動となった。

 勝利したにも関わらず、BULLET CLUB OGはたいして喜びも見せず、トンガがマットにガンスタン、タンガがニックにエイプシットを決めると、せっかく手に入れたベルトをメイ社長の目の前に投げ捨てて退場。前日は公式戦への試合介入を体を張って阻止したメイ社長は、連日のBULLET CLUB OGの狼藉に、この日は席から立ち上がって憤りをあらわにした。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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