“大谷シフト”は有効なのか? 相手チームの思惑と打撃停滞の背景
相手が警戒するのは大谷の長打
大谷は相手シフトの裏をかき、バントを試みる場面も 【Getty Images】
「それは、ウチのデータ部門が分析した結果でもある」
大リーグで一番シフトを多用するのはアストロズの39.3%(左打者に対しては61%)。一番頻度が低いのがエンゼルスで3.3%(同8.2%)。シフトについては、チーム間でもこれだけ考え方に温度差があるのである。
アストロズとエンゼルスのどちらが先を行っているかだが、大谷に話を戻すと、今のところは結果に大きな差があるだけに、今後、シフト比率が上がっても不思議はない。
大谷は先月、シフトに対して何度かバントを試みて揺さぶりをかけたが、おそらくそれで相手がシフトをやめることはないだろう。バントヒットなら、むしろ歓迎。相手が一番警戒しているのは、大谷の長打なのである。
相手にとって悩ましいのは得点圏で大谷を迎えた場合。大谷の得点圏打率は3割6分1厘と高いが、得点圏でのシフトが10回なのに対し、シフトなしは26回。さすがにランナーがいる場面では大胆なシフトを敷きにくい。そして大谷はそのシフトなしのケースで.590という驚異的なwOBAを誇る。よって8月2日、大谷は先頭打者として代打に起用されたが、ソーシャ監督は、「得点圏の方が理想」と口にしたのだった。
2点差。得点圏に走者が進んだら大谷――。この日の試合展開では、そうした思惑通りには、いかなかった。