桜花賞1枠不振…ライラックに不吉データ チューリップ賞組の順位逆転はある?

JRA-VANデータラボ

前走チューリップ賞からの好走馬

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 好成績を残すチューリップ賞組の好走馬は表5の17頭。特に13年以降に好走馬が増えているが、傾向が大きく変わったのは14年以降で、該当9頭すべてがチューリップ賞で4番人気以内、そして7頭が3着以内。同レース4着以下からクルミナルとコンテッサトゥーレが馬券に絡んだ15年は、チューリップ賞が重馬場、桜花賞は良馬場で行われた年だった。また、その14年以降に「チューリップ賞4番人気以内かつ3着以内」を満たした馬は【3.2.2.0】と全馬が馬券圏内。今年のチューリップ賞1〜3着馬はすべて3番人気以内だったため、そのまま桜花賞でも上位を独占する可能性も十分にあり得る。

阪神JF、チューリップ賞の着順・人気別、桜花賞成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 冒頭にも触れたように、今年のチューリップ賞1〜3着馬は、昨年同コースで行われたG1・阪神JFでも1〜3着を占めていた。そこでチューリップ賞に加え、阪神JFでの人気・着順別の桜花賞成績を見ておきたい。

 まずチューリップ賞については、1着から3着まですべて2勝ずつを挙げ、好走確率にも極端に大きな差はない。そのため、チューリップ賞1〜2着馬よりも3着馬に妙味がある(回収率が高い)という結果が出ている。その他では、チューリップ賞と阪神JFの3着馬、そして阪神JFの3番人気馬はそれぞれ好走1頭ずつと、他の上位馬、上位人気馬に比べると苦戦している。

前走チューリップ賞以外からの好走馬

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は、前走チューリップ賞以外からの好走馬13頭である。このうち9頭は前走5番人気以内の1着馬、そして2頭はフィリーズレビューの1番人気・2着馬(本年は該当なし)だった。08年に大波乱を演出したレジネッタ、エフティマイアは傾向から外れるため、思い切った穴狙いにかじを切るならこだわる必要はないが、まずは前走を上位人気で勝ってきた馬を重視したい。

新馬戦着順別桜花賞成績

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 最後に表8は、新馬戦で勝った馬と敗れた馬の成績をまとめたものである。表の右に記したように、特に近年は新馬戦優勝馬が目立って活躍しており、過去5年では3着以内15頭中12頭を新馬戦1着馬が占めていた。残る3頭は、13年2着のレッドオーヴァルが前走チューリップ賞7着(1番人気)、14年3着のヌーヴォレコルトは前走チューリップ賞2着、そして昨年2着のリスグラシューが前走チューリップ賞3着。つまり、過去5年の3着以内馬は15頭すべて「新馬戦1着馬か、前走チューリップ賞組」である。また、過去10年で見ても単複の回収率は新馬戦1着馬が89、115%に対し、2着以下に敗退した馬は60、51%と差がついている。

結論

 上位人気はまずまずで、近年は中位人気の健闘も見られる桜花賞。前哨戦の中でもやはりチューリップ賞組が中心となり、中でも最近は同レース4番人気以内で馬券に絡んだ馬の安定感が光っている。別路線では、5番人気以内で勝ってくるか、フィリーズレビュー1番人気・2着馬が大半を占める。また、ここ5年は別路線なら新馬戦1着が条件だ。加えて、1、2枠は苦戦しているため、枠順抽選の結果にも注目したい。

 まず今年はチューリップ賞の上位3頭がいずれも3番人気以内と、近年の信頼できるパターン(表5本文)に入っているため、ラッキーライラック、マウレア、リリーノーブルの3頭は有力だ。中でも注目したいのは、3着に敗退したリリーノーブル。表1で記したように、今回1番人気よりは2〜3番人気のほうに妙味があることや、表6の中ではチューリップ賞2番人気3着、阪神JF2着と、阪神JFの3番人気以外は好材料が揃っていることが好材料になる。またラッキーライラックも、配当妙味が薄いこと以外は特に減点はない。そしてマウレアは、チューリップ賞3番人気や阪神JF3着が、あまり良くない結果が出ている。ただ繰り返しになるが、近年はチューリップ賞を上位人気で馬券に絡んだ馬は、桜花賞でも馬券圏内を外していないため、他の組を一歩リードしていると考えたい。

 その他の組の中では、新馬戦を勝ち(表8)、前走も勝ってきた(表7)レッドサクヤが筆頭格だ。対して、上位人気必至のアーモンドアイは新馬戦で敗れている点が減点材料になる。また、シンザン記念以来というステップは判断が難しいが、間にレースを挟んだ馬であれば同レース連対馬が好結果を出しているため(表4本文)、この「シンザン記念連対」を高く評価するなら上位の一角と考えてもいいだろう。なお、表2で記したように1〜2枠は苦戦しているため、枠順抽選の結果も見て最終的な判断は下すようにしたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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