選手名鑑ツッコミどころ大賞2018・セ編 マイコラスの穴は夫婦で埋める?
野上は夫妻でマイコラスの穴を埋められるか? 【写真は共同】
ちなみになぜ写真名鑑号を使うかというと、どこよりも早い時期に出版される老舗の名鑑だということ、そして手軽に安価に手に入ることなどが挙げられる。また、2年前の同企画でも使ったので、定点観測の意味合いも大きい。
広島編:革命分子が登場?
だが、試しに10年前の写真名鑑号を開いてみると、広島にも「愛車」の項目はしっかりあり、「ベンツ」「セルシオ」など自由に書かれている。しばらくなかったのは、ベースボール・マガジン社による“忖度”か。この際おもしろいので、「好きなウインナー」とか「好きな乳酸菌飲料」の欄を作って、北海道日本ハムや東京ヤクルトの動向を見てみたい。
あと一岡竜司の趣味欄が、過去2年は「PS3でゲーム」だったのが、今年は「ゲーム」に変わっていた。ゲーム界の諸行無常をこんなところで感じるとは。
阪神編:めざせ“甲子園のジョー”
「高校3年の夏の福井大会での最後投げた球で捕手のキャッチャーミットが破れたシーン」
彼の「丈一郎」という名前は“浪速のジョー”ことボクシングの辰吉丈一郎にあやかって名付けられたそうだ。パンチングミットではなくキャッチャーミットを破る丈一郎。かっこいい。
しかし指名後の会見で牧は「“甲子園のジョー”はまだ早い。“都のジョー”にしてください」と謙虚に語ったという。出身地が京都だからだ。ちなみにJR京都駅から阪神・甲子園駅までの距離は在来線で約57キロ。中間地点は茨木駅(28.2キロ)のあたりだ。
「都のジョー」から「甲子園のジョー」に至る過程はこんなカンジ? 【イラスト:カネシゲタカシ】
そして、北條史也の思い出のシーンも負けず劣らずドラマチックだ。
「高校1年生の冬、強化練習で疲れ果て同級生たちと雪の上に倒れ込んで見上げた青森の夜空と『頑張ろう』と励まし合ったこと」
北條が大ブレークすれば、ファンによる“聖地巡礼”もありそうだ。「北條のあんときの夜空を見ようツアーin青森」、阪急交通社あたりでどうだろうか。
あと鳥谷敬の番記者寸評に「正遊撃手も狙う!?」と書いてあるのって、完全にイジってますよね……?
横浜DeNA編:山本祐大のあり得ない成長曲線
「社会人2年目の日本選手権出場を決めた試合、6回から登板、先頭の投ゴロをエラーして野手から罵声を浴びた」
社会人が衆人環視のなか罵声を浴びる屈辱。思い出のシーンにわざわざ挙げているのはギャグなのか、それとも本気の恨みからか。
また、ドラフト9位の捕手・山本祐大の思い出も、なかなかである。
「17年、BCLの群馬戦に中学以来となる捕手として出場し、4捕逸を記録してしまったこと」
4捕逸……こっちは罵声やむなし。いや、飛んだかどうかはしらないが。ちなみに山本の寸評に「高校卒業後から本格的に捕手に転向した変わり種」とある。17年に4捕逸、その秋に捕手としてプロ入り。ちょっとあり得ない成長曲線だ。サクセスモードか?
巨人編:小林は「一躍お茶の間のスターに」
また、大竹寛の推定年俸(5250万円)が、広島・一岡の年俸(5300万円)に抜かれたのをみて、さらにしみじみする。FA加入した大竹の人的補償で一岡が広島に移籍したのが14年。しかしいまや年俸の差はわずか。ここからデッドヒートだ。
そしてFAといえば、巨人には埼玉西武から野上亮磨がやってきた。その寸評には「マイコラスの穴を埋めることが期待される」とある。マイコラスの穴を野上が、妻・ローレンさんの穴を石川梨華さんが埋められるのかに注目したい。
ドラフト7位ルーキーの村上海斗は血液型欄に「B」と書き、「その中でも『RH−』なんです。希少性高いです!」と元気にアピール。調べたところ、その出現率は1000人に1人。たしかにレアだ。今後活躍すれば献血キャンペーンの仕事も来るだろう。
中日編:全体的におとなしいのはなぜ?
「背水の陣」(浅尾拓也)
「不本意なシーズンに」(平田良介)
「期待の若手からの脱却は果たせなかった」(高橋周平)
そんななか、阿知羅拓馬の「ひげを蓄えイメチェン」という、どうでもいい記者寸評が癒やしとなる。実際写真でみると、どこの豪族かというほど蓄えられており、古風な名前と相まって大河ドラマ感がすごい。
それにしても中日選手の名鑑プロフィールは全体におとなしすぎる印象。うかつに変なこと書くとボスに撃たれるとかあるのだろうか。とにかく、もうちょっと元気が欲しい。
東京ヤクルト編:個性的な特技のオンパレード
大下佑馬「フォークリフトの運転」
平井諒「ホームヘルパー2級」
三輪正義「危険物取扱者乙4類」
なるほど、ツブシが効きそうな特技ばかりだ。もし彼らが選手をクビになっても、大下がヤクルトの倉庫で働き、平井がケガ人続出のベンチを支え、三輪がブチ切れたバレンティンを取り押さえる。そんな未来が想像できる。
ほかにも「魚の骨をキレイに取れる」(由規)とか、「耳を動かせる」(久古健太郎)とか、ゆるい特技のオンパレードだ。それらを胸張って「特技」と書けるのは、ヤクルトのアットホームな雰囲気のおかげだろう。
最近の選手名鑑は各社どんどん個性を打ち出しており、選ぶのも楽しい。いよいよ始まるペナントレースのお供に、ぜひ一冊!
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