リリースを早め、ヘッドを加速させる プロのスイング、ここを真似すべし!【J・トーマス編】
【Getty Images】
今季最後のメジャーに優勝したトーマス
今季メジャー最終戦の全米プロゴルフ選手権、最終日最終組の1つ前を回る松山英樹は、一時首位に立った。しかし、同組のジャスティン・トーマス(米国)に後半逆転を許し、悔し涙を流した。
優勝したトーマスはこれがメジャー初制覇。弱冠24歳で年齢は松山の1つ下だ。ショットの飛距離と、思い切りのよいパッティングを武器にする選手である。
トーマスのスイングはインパクトの際、左足が地面から離れるくらい浮くのが特徴。ダウンスイングで地面を踏むことで、体の回転を速くすることができる。フィギュアスケートのジャンプの際、一度沈み込んでから思い切り氷上を蹴って回転を加速させるが、原理はこれと同じだ。
自分自身の筋力だけでは回転を速めることができないジュニア選手や女性選手によく見られるスイングである。トーマスは自身の力で回転を速くすることに加え、この地面を蹴る動きで体の回転を速くしているのだ。
トーマスの飛距離の原動力はリリースの動き
リリースを早めて、ヘッドスピードに加速を加える 【Getty Images】
一般的に手首とクラブヘッドの関係は、ハンドファーストの形が理想とされる。なぜならボールがつかまりやすく、さらにインパクト時にボールを押し込むことができるからだ。手首の角度が浅くなる動きは「リリースが早い」「手首がほどけている」などと敬遠されがちだが、トーマスはクラブヘッドのリリースを早くすることで、ヘッドを加速させて飛距離につなげている。
手首の角度をキープしたままインパクトまでクラブヘッドを下ろしてくるよりも、ダウンスイングで遠心力が働いたクラブヘッドをその力に任せて開放させたほうが、よりヘッドスピードは速くなる。その力を利用するためにダウンスイング時、左腕が地面と平行になる段階で手首の角度を緩やかにリリース(開放)するのだ。
ただアマチュアは手首の角度をリリースさせようという意識だと手首をこねてしまったり、逆に手元に力が入りクラブヘッドを減速させてしまうミスが起きやすい。
そこで、トップから手を下ろしてくる際、左腕が地面と平行になった時点で、手元の動きを減速させる意識を持つとよい。さらに言えば手元を下ろす動きを止めてしまってもよい。手元の動きが止まると、円弧の末端に当たるクラブヘッドが反動で加速をする。スイング中には手元にもヘッドにも大きな力がかかっているので、実際に手元が止まることはない。
この時、手元を下ろす動きを止めるためギュッとグリップや手首に力が入りがちだ。これはヘッドの動きを制限するもので、ヘッドスピードが落ちる原因となってしまう。力は抜いたまま手元の動きのみを止めるのがポイントだ。
重要なポイントは2つ
1、左腕が地面と平行になったタイミングでクラブヘッドをリリースする。
2、リリースするには手首の角度変えるのではなく、手元を下ろすのを止める意識を持つ。
1のタイミングがずれ、リリースが早くなるとフェース面が急激に閉じる動きになりヒッカケが出る。逆に遅ければ、フェースがいつまでも返らずプッシュアウト気味の球が出てしまう。トーマスのように足で地面を蹴って体の回転を速くさせるタイプのスイングなら、地面を蹴る動きと手元を止めるタイミングを同時にすると、インパクトでフェース面がスクエアな状態に戻ってきやすくなる。
※この記事は2017年9月7日にスポーツナビで配信した記事を再掲載したものです
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