こすり球対策には左手の使い方 プロのスイング、ここを真似すべし!【J・スピース編】

吉田洋一郎

【Getty Images】

マスターズの大崩れがもたらした全英V

こすり球を解消するにはスピースの左手の使い方を真似してみよう 【Getty Images】

 第146回全英オープン最終日、ジョーダン・スピース(米国)が13番で練習場から第3打目を打つことになった時、通算12アンダーで優勝すると思った人はいなかっただろう。

 8アンダーの首位タイで迎えた13番のティーショットは反射的に頭を抱えるほどのプッシュアウトとなった。このホールをボギーで耐えたが、13番終了時点で5ボギー1バーディの7アンダーとスコアを崩し、8アンダーのマット・クーチャー(米国)に守り続けてきた首位を明け渡した。

 2016年のマスターズでは最終日のバックナインで崩れた。そのきっかけが11番のプッシュアウトだった。右の林に入れてボギーとし、12番では2度池に入れ「7」。優勝を逃す結果となった。

 昨年のマスターズと同じようにドライバーをプッシュアウトしてから挑む14番パー3。
 ティーグラウンドでマスターズの悪夢が頭によぎったことだろう。だが、今回はマスターズと同じ轍を踏むことはなかった。ティーショットをピンそばに付けるスーパーショットでバーディを取り流れを変えた。

 緊張した場面では上半身の動きが強くなったり、タイミングがずれるものだが、スピースはメジャーの優勝争いを念頭に傾向と対策を入念に準備してきた。ラウンド中の修正によって、残り5ホールで1イーグル、3バーディの5アンダーと神がかり的なプレーでマスターズのリベンジを果たしたのだ。

スピースを真似るポイント

 フラフラと右に力なく飛んでいくこすり球。この飛距離も方向性もロスするこすり球はフェースが開いて当たることが原因だ。上半身に頼ったカット軌道、振り遅れたインサイドアウト軌道のどちらでも力なく右へと曲がっていく球となる。多くのアマチュアが悩まされているこのこすり球をなくすためには「フェースを閉じる動き」が必要になる。

 こすり球をストレートボール、そして力強いドローボールに変えるためにジョーダン・スピースのスイングを真似すると良いだろう。



 スピースの真似をするポイントは左手の使い方にある。スピースのコーチ、キャメロン・マコーミック氏はスピースのスイングで最も大事な要素は左手の甲の感覚だという。スピースの利き手である左手の甲でフェース面を感じながらスイングをすることで、どのポジションからでもフェースをスクエアに戻し、正確なインパクトを実現させるのだ。

 アマチュアがスピースのこの動きをマネする場合、左手甲でフェース面を感じながら左腕を反時計回り方向に回すことをお薦めする。そうすることでフェースがインパクトに向けて徐々に閉じ、スクエアに戻るのだ。更にダウンスイングでシャフトが寝て、振り遅れることも防げるので右方向へのミスが少なくなる。

 この動きを行う時に気を付けたいのはタイミング。反時計回りのローテーションするのが早いと引っかけ、遅いとプッシュアウトをしてしまうので気を付けたい。ダウンスイングで左手が地面と平行になったポジションから、徐々に左腕を反時計回りに回転させることでフェース面がスクエアな状態でインパクトを迎えることができる。

 こすり球を修正するためにインパクト周辺で腕をローテーションさせたり、ヘッドを返そうとして上手くいっていない人はぜひ試してみてほしい。つかまった力強い球が打てるはずだ。

※この記事は2017年8月3日にスポーツナビで配信した記事を再掲載したものです
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著者プロフィール

シングルプレーヤーを目標達成に導くゴルフスイングコンサルタント。世界で最も有名なゴルフインストラクター、デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回ゴルフ先進国アメリカやヨーロッパに渡り、PGAツアー選手を指導する一流インストラクターに直接学ぶなど、心技体のゴルフ最新理論に関する情報収集と研究活動を行っている。実際に教えを受けた著名ゴルフインストラクターの数は100名を超える。監修した書籍「ゴルフのきほん」は30,000部のロングセラー。ゴルフ雑誌、スポーツ新聞にて連載を3つ持ち、世界のゴルフティーチングに関する情報発信を行っている

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