トップで“タメ”を作り飛距離アップ! プロのスイング、ここを真似すべし!【S・ガルシア編】

吉田洋一郎

【Getty Images】

メジャーを制するために必要な「運」

ガルシアの“タメ”を真似して、飛距離アップを実現しよう 【Getty Images】

 6月15日(現地時間、以下同)から米国ウィスコンシン州にあるエリンヒルズ・ゴルフコースで開幕する第117回全米オープン。欧米のブックメーカーではダスティン・ジョンソン(米国)、ロリー・マキロイ(北アイルランド)、ジョーダン・スピース(米国)など世界ランキング上位の「本命」選手の勝利を予想している。

 だが、ここ最近のメジャー競技ではメジャー未勝利の「伏兵」選手がタイトルを手にしている。4月に行われたマスターズ勝者、セルヒオ・ガルシア(スペイン)もその一人だ。

「セルヒオ・ガルシアがメジャーで勝つことができなかったのは、ほとんどが運やタイミングの悪さが原因だ」

 キーガン・ブラッドリー(米国)やレクシー・トンプソン(米国)などのメジャーチャンピオンを育てたトップインストラクター、ジム・マクリーン氏はガルシアに必要なものは「運」だったと語った。

 ガルシアはアマチュア時代からエルニーニュ(スペイン語で「神の子」)と呼ばれ、PGAツアー屈指のアイアンショットを武器に数々の記録を打ち立てる活躍をしていたが、37歳になるまでメジャーでの勝利に縁がなかった。

 2017年マスターズの最終日、4月9日はセベ・バレステロスの60回目の誕生日。今は亡き同郷スペインのカリスマ、バレステロスがガルシアに最も足りなかった「運」をもたらしたのだろう。ジャスティン・ローズ(英国)との一騎打ちを制しメジャー初勝利を挙げることができた。

 今季のメジャー第2戦、全米オープンではどの選手に「運」が味方するのだろうか。マスターズに続き感情を揺さぶる試合を期待したい。

飛ばない原因、アーリーリリース

 飛距離が出ないスイングをするアマチュアに多く見られるのはタメ(手とクラブの角度がついた状態)がほどける「アーリーリリース」の状態だ。アーリーリリースになるとインパクトですくい上げるような動きとなるため、理想的なクラブと左腕が一直線になるハンドファーストのインパクトができず、最大飛距離を発揮することが難しくなる。飛距離をロスしてしまうだけではなく、打点が安定せずトップやダフリなどのミスも出る。このアーリーリリースの原因はトップからボールを打ちにいってしまうことだ。ボールを打つ意識が働くと、手でトップから直線的にボールに当てに行く動きとなり、クラブヘッドが先行しタメがほどけてしまう。



 アーリーリリースのアマチュアはガルシアのダウンスイングをマネするといいだろう。

 ガルシアのダウンスイングはプロの中でも非常にタメが深い部類に属する。この深いタメがあることで、PGA屈指のアイアンショットだけではなく、300ヤードの飛距離も生み出している。

 本来このタメを作る動きは下半身の動きに連動して自然にできるのが理想だ。しかし、多くのアマチュアは必要以上に上半身に力が入るなどして間違えた動きをする場合が多いため、まずはダウンスイングで適切な力を加える方向を理解することをお薦めする。

 タメをつくるために、切り替えしで手元を目標と反対側に動かす意識を持つといいだろう。

 目標と反対側にある壁を押すような気持ちで力を加えることで手首の角度がほどけることを抑制することができる。目標と反対方向に力を加えることで、腕が伸び体の開きが抑えられる感覚が生まれるだろう。この動きは切り返しのほんの一瞬の動きなので、プロの連続写真のマネをして過度に長くタメをキープすると振り遅れてダフるミスが出るので気をつけたい。この動きを下半身の動きと連動させることで軌道も適切となり、最大の飛距離を発揮することができるようになるだろう。

※この記事は2017年6月15日にスポーツナビで配信した記事を再掲載したものです
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著者プロフィール

シングルプレーヤーを目標達成に導くゴルフスイングコンサルタント。世界で最も有名なゴルフインストラクター、デビッド・レッドベターから世界一流のレッスンメソッドを直接学ぶ。毎年数回ゴルフ先進国アメリカやヨーロッパに渡り、PGAツアー選手を指導する一流インストラクターに直接学ぶなど、心技体のゴルフ最新理論に関する情報収集と研究活動を行っている。実際に教えを受けた著名ゴルフインストラクターの数は100名を超える。監修した書籍「ゴルフのきほん」は30,000部のロングセラー。ゴルフ雑誌、スポーツ新聞にて連載を3つ持ち、世界のゴルフティーチングに関する情報発信を行っている

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