飛距離の秘密は左足かかとの動き プロのスイング、ここを真似すべし!【L・トンプソン編】
【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
男子ツアー選手のような球筋で格の違い
彼女の飛距離の秘密は左足のかかとにある! 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
多数の注目選手がいる中、多くのギャラリーを引き連れていたのはディフェンディングチャンピオンのレクシー・トンプソン(米国)だった。
レクシーといえば米LPGAのメジャー大会「ANAインスピレーション」で、視聴者からの指摘によって4打罰を受けた事件もあり、いつも以上にメディア、ギャラリーの注目度は高かった。期待された連覇は逃したものの、2位タイとなりその存在感を示した。
レクシーの“世界レベル”のプレーは予選ラウンドのペアリングによって際立った。
予選ラウンドは昨年の日本ツアー賞金女王イ・ボミ、日本を代表するロングヒッターの渡邉彩香というペアリング。
ドライバーショットでは常にイ・ボミを30ヤード以上オーバードライブし、観客は驚きの声をあげていた。渡邉との飛距離の差はレクシーがわずかに先に行く程度だったが、球のスピン量、弾道の高さなど球筋の質では圧倒的にレクシーに軍配が上がった。ライナー性のピンをデッドに狙うアイアンショットは、男子ツアー選手のような球筋だった。世界レベルのスキルとパワーで日本ツアー勢との格の違いを見せつけていた。
飛距離アップにはレクシーの地面反力打法
そのヒントはインパクトの彼女の左足かかとの動きにある。
レクシーはインパクトで両足が伸び、左かかとが浮く。日本ではインパクトでひざが伸びたり、かかとが浮く動きような動きは打点が定まらない原因として修正される「悪癖」とされる動きだが、レクシーを12歳から指導する名コーチ、ジム・マクリーンは彼女のこの動きを修正しなかった。むしろ長所として活かす方向でスイング構築を行ってきた。
近年の米国ゴルフティーチング界ではこの「伸び上がる」縦方向の動きが飛ばしには欠かせないと言われている。
「足で地面を押し、その反力を得ることでクラブヘッドを加速することができる」
ゴルフバイオメカニクス(生体力学)の権威、Dr.ヤン・フー・クウォン教授は、自らの研究データを基に地面反力を用いたスイングをPGAツアー選手に指導している。クウォン教授自身も年齢53歳、身長170センチの一般的な体型のゴルファーでありながら、310ヤードを放つ。地面反力を活かしたスイングを実践してから飛距離を伸ばしているという。
飛距離不足に悩むゴルファーはレクシーの左足のかかとの動きをマネすると良いだろう。体重移動を意識するあまり、横方向への過度な移動によって腕を振るスペースがなくなり、振り遅れなどによって飛距離をロスしているケースを見かける。
レクシーの左かかとの動きを真似するポイントは、ダウンスイングで地面をしっかりと押すことだ。伸びる動きに意識が向きがちだが、地面反力を使うためには足で地面を押す動きが必要になる。その動きを体感するためにバックスイングで左足かかとを上げる、ヒールアップをお薦めする。ダウンスイングで左足かかとをヒールダウンし、地面をしっかり押した後、今度はその反力を使って上方向へ伸びる動きを行う。左膝が伸びる動きを我慢することなく、ジャンプしながら打つような感覚でスイングしてみるといいだろう。伸び上がるタイミングは思いのほか早く行った方がいい。インパクトで伸びるのでは遅く、ダウンスイング後半で伸び上がるくらいでちょうど良いタイミングとなる。
スイングの相性の問題でフックグリップの人はこの動きを取り入れるとシャンクやプッシュの原因になる可能性があるが、ヘッドを走らせながらリリースするタイプの人はヘッドスピードが上がり飛距離を伸ばすことができるだろう。
※この記事は2017年5月17日にスポーツナビで配信した記事を再掲載したものです
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