飛距離を生む「右ひざ」の動き プロのスイング、ここを真似すべし!【D・ジョンソン編】
【Getty Images】
オーガスタで他を圧倒していたDJ
第1ラウンド前日に腰を強打し棄権となったジョンソン。メジャー大会での不運は続く…… 【Getty Images】
マスターズ開催前の練習日である火曜日、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの8番ホール・パー5でジョンソンはパトロン(マスターズ独特の観客の呼び名)に圧巻のプレーを見せつけていた。彼の放ったドライバーショットは右バンカーの先端310ヤードを優に越え、アゲンストにもかかわらず350ヤードのビッグドライブをたたき出していた。練習ラウンドを一緒に回っていた“飛ばし屋”ブルックス・コエプカ(米国)を30ヤード以上オーバードライブした一打にパトロンたちは驚きの声を挙げていた。
出場試合3連勝中と絶好調でオーガスタに乗り込んできたジョンソンがマスターズで優勝争いをすることを誰もが確信していた。マスターズ前にPGAツアー選手を指導する有名コーチたちに話を聞いても、断トツでジョンソンを優勝候補に挙げていた。DJは水曜日までオーガスタで無敵だったのだ。
メジャーでの度重なる不運
そして、ゴルフ専門チャンネル『ゴルフチャンネル』をはじめとするメディアが、ジョンソンに関する一報に大騒ぎとなる。悪天候のため早めに引き上げたジョンソンが、宿泊先の階段を踏み外し、腰を強打したのだ。
翌日スタートギリギリまで出場を試みるものの欠場を余儀なくされた。あの雷雨がなければ、欠場することはなかったかもしれない。ジョンソンの不運にパトロンたちは驚きと落胆を隠せなかった。
ジョンソンとしてはメジャーでの不運はこれだけではない。2010年の全米オープン、3日目を終えて2位に3打差をつけ首位に立ちながらも、最終日に82の大乱調で勝利を逃し、15年の全米オープンでも最終ホールのパー5で2オンに成功しながらも優勝を決める4メートルのイーグルパット、プレーオフが決まる1.5メートルのバーディパットを外し3パットで勝利を逃した。
また、10年の全米プロではバンカーと認識せずソールしたことでペナルティを受けてプレーオフ進出を逃し、16年の全米オープンでは勝利したもののラウンド中に罰打保留状態のままプレーを余儀なくされた。
そして今回のケガによる棄権。これほどまでにメジャーの舞台で悲劇に見舞われる選手は多くはないだろう。だからこそ、メジャーでD・ジョンソンに声援を送る観客は多い。次回の連覇がかかる全米オープンでは「DJ!」の大合唱が聞こえるに違いない。
DJのスイングから飛ばしの秘訣を学ぶ!
トップ・オブ・スイングでは左手の甲が手のひら側に折れ、右手は出前持ちスタイルになり、フェース面は空を向く強烈なシャットフェースになる。そして、インパクトはおへそが目標方向に向くほど腰が回転した状態で迎える。天性のセンスと身体能力を生かしたスイングをマネすることは難しく見える。
しかし、世界一の選手をただの変則スイングと片づけてしまうのはあまりにももったいない。アマチュアでもD・ジョンソンのスイングから取り入れるべきところはたくさんある。
特に飛距離を出したい人、上半身に力が入ってしまう人は下半身の使い方、特にバックスイングでの右ひざが伸びる動きをマネすると良いだろう。
今までのゴルフスイング理論ではバックスイングで右ひざが伸びるのはタブーと言われてきた。右足をがっちり踏ん張って右足で体重を受け止めるように意識している人も多いだろう。確かに横への移動が多い人は踏ん張る意識が必要な場合がある。
しかし、回転力を生かしたスイングをする場合、右ひざを伸ばした方がバックスイングでの体の回転がスムーズになる。特に体の固い人はバックスイングで下半身を止めて上半身をねじるのではなく、右ひざを伸ばしながら楽に体を回転させてあげることで体への負担が少なくなる。
そして、バックスイングでスムーズな回転をすることで、ダウンスイング以降の回転力が増し、飛距離アップにつながるのだ。この下半身の動きを取り入れることで、上半身の力みが抜け、飛距離が伸ばすことができるだろう。
※この記事は2017年4月27日にスポーツナビで配信した記事を再掲載したものです
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