キタサン有終の美をデータも後押し 逆転あるなら3歳スワーヴ&クロニクル

JRA-VANデータラボ

有馬記念出走馬の前走レース別成績(過去10年)

表3 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 前走JC組以外の馬を調べるため、前走レース別成績をまとめてみた(表3参照)。好走馬の多くを占めるJC組とは対照的に、少数ながら高い好走率を誇るのが菊花賞組と天皇賞(秋)組。菊花賞組はほぼ勝ち馬となっており、昨年のサトノダイヤモンドのようなケースだ。天皇賞(秋)組はJCをパスしていることになる。好走馬はドリームジャーニーやマツリダゴッホ。東京芝2400mよりも中山芝2500mを好むタイプが多い印象だ。

 あとはきついローテーションで、毎年いるタイプではないが凱旋門賞組。基本的にはG1からきている馬が有力だ。ただ、回収率の面では異質のローテーションにも注意。マイルCSや中日新聞杯から3着馬が出ている。15年優勝のゴールドアクターは前走アルゼンチン共和国杯制覇から、一気のG1制覇となった。主流とは言えない別路線組でも気になる馬がいれば思い切って狙う手はありそうだ。

結論

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 それでは今年の有馬記念を占っていくことにする。出走予定馬は表4の通り。

 まずはここがラストランとなるキタサンブラックについて。前走はジャパンCで3着と敗れたが、データ的には悲観する必要がない。同レースで5着以内には踏ん張っており、ここでは主力となる。ジャパンCを勝ったシュヴァルグランの方が、難易度が高いG1・連勝(JC→有馬記念)に挑むことになる。キタサンブラックは5歳馬。年齢的にはギリギリ持つところ。14年に勝利したジェンティルドンナと状況が似ているように感じる。実績は明らかに上位ながらグランプリ制覇の実績はなく、なおかつ5歳馬。ラストランで有終の美を飾っており、今回、劇的なシーンが生まれる可能性は十分あるとみる。

 そのほかのJC組からの巻き返しもあってはおかしくないが、6着以下から勝ち切るまでの道のりはかなり困難だ。勝機があるとすれば別路線組。なぜならば今年は菊花賞馬の参戦がない。天皇賞(秋)などの別のG1組も今一つという印象だ。

 前走アルゼンチン共和国杯を勝ったスワーヴリチャードにやはり注目が集まる。鞍上はM.デムーロ騎手の予定。今秋のG1戦線における3歳馬の勢い・活躍を考えれば、本馬もかなり有力と考えるのが自然だろう。牝馬も実力的には好走があってもおかしくなさそうだが、過去10年の名牝クラスと比較すると、明らかに落ちる印象はぬぐえない。ミッキークイーンは注目の池江泰寿厩舎だが、果たしてどうか。もう1頭のサトノクロニクルの方が不気味だ。格下だが前走重賞1着の3歳馬。こうしたタイプが過去に穴となっている。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。

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