地元記者が香港国際競走を一刀両断! 今年の日本馬、V可能性はある?
香港マイルも地元馬の牙城は堅固。一発があるとすれば欧州馬?
初の海外GI制覇を目指すサトノアラジンの前に立ちはだかる香港最強マイラー、ヘレンパラゴン。写真は2017年チャンピオンズマイル。(C)森内智也 【netkeiba.com】
その席に座ることになるであろうヘレンパラゴンは、J.ムーア調教師の管理馬のなかで最も高いレートを誇っており、現在、香港最強マイラーではないだろうか。前哨戦であるジョッキークラブマイルでは半馬身差の2着に敗れたが、トップハンデを背負っており、勝ち馬とも5ポンドの斤量差があった。今シーズン3走目となる香港マイルは、ベストの状態で望めるだろう。T.ベリー騎手との相性も良さそうだ。
同厩舎のビューティージェネレーションは、短距離路線にシフトしてから好成績を残すようになった。重賞初制覇となったセレブレーションカップを逃げ切り勝ちで収めたように、いかに自分のペースで走れるかがカギとなるだろう。
昨年の勝ち馬ビューティーオンリーは、今シーズンまったく結果を残せていないが、レース当日、この馬好みの速い馬場になれば、今年も香港の競馬ファンたちに勝利をプレゼントしてくれるかもしれない。
前哨戦を制したシーズンズブルームは、昨シーズン最も成長した5歳馬の1頭だ。この馬の強みは、どんな馬場コンディションにも対応できる点である。J.モレイラ騎手とのコンビになってからは4戦3勝2着1回と安定しており、そういった面でも怖い存在だ。
海外組では、ライトニングスピアに魅力を感じる。ヨーロッパで一貫してマイラーとして使われており、ここでもベストの走りをしてくれるのではないだろうか。
香港カップは日本馬の3連覇が濃厚⁉ ワーザーら対抗勢力との力関係は?
香港遠征も3度目となるネオリアリズムは、春にGIを制した相性のいい舞台で再現を狙う。写真は2017年クイーンエリザベス2世C。(C)森内智也 【netkeiba.com】
まずネオリアリズム。帰国後は調子が戻らず、天皇賞(秋)では大敗を喫したが、海外遠征に定評のある堀宣行厩舎の管理馬であることを考えれば、クイーンエリザベス2世カップの再現は可能で、再びその誇りを取り戻すことは想像に難くない。
ステファノスはこれで4度目の香港遠征。香港の競馬ファンのあいだでも、管理する藤原英昭調教師を知らない者はいないだろう。内枠有利ではあるが、8番ゲートならジャパンCを制したH.ボウマン騎手の手腕のもと、その経験がモノを言うに違いない。
香港勢からはワーザーの名を挙げておきたい。昨年は脚の怪我で出走できなかったが、復帰後もGI勝利を重ね、この香港カップで優勝すれば、香港の主要な2000m戦を完全制覇することになる。これはヴェンジェンスオブレイン以来、史上2頭目の快挙で、そのシーンを目にすることも夢ではないだろう。
ヨーロッパ勢からはポエッツワードの名を挙げたいと思う。今年に入ると重賞戦線に顔を出すようになり、愛チャンピオンSと英チャンピオンSで連続2着と、ヨーロッパの中距離戦線の中心馬に成長した。この馬にも注目したいところだ。
最後に、穴馬として同じヨーロッパ勢からドーヴィル。そして、前哨戦でワーザーと差のない2着に好走したタイムワープの紹介をしておきたい。ここを勝つにはもうワンランク上への成長が必要だと思うが、今回厳しいレースを経験することで将来的に楽しみな1頭となるだろう。
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競馬雑誌「Racing World」ディレクター、ケーブルテレビ「Racing Talk」司会者。香港で最も若いレーシングエディターで、馬主という一面も持つ。毎年、香港競馬のオフシーズンには、オーストラリアの調教師たちとともにクールモアスタッドやニュージーランドのケンブリッジスタッドに赴き、手伝いをしている。