乾貴士、エイバル3年目は必死に戦う毎日 「降格させてしまうと人生で悔いが残る」

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在籍3年目を迎えたエイバルで成長を続ける乾が胸中を語った 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

 ラ・リーガの2016−17シーズン最終戦、日本代表のMF乾貴士がバルセロナ相手にアウェーのカンプ・ノウで2つのビューティフルゴールを決めたことが、スペイン現地で驚きを持って伝えられた。17−18シーズンでエイバル在籍3年目を迎え、開幕前には軸の1人に挙げられたが、リーガ開幕以降チームは低迷。第11節終了時点で2勝2分け7敗の17位。チームは6得点25失点と、攻守共に不安定な状況が続いた。

 しかし、11月の代表ウイークを挟んで以降、エイバルは今季初の3連勝。乾も3試合で4ゴールに絡み、上向きな状態にある。クラブでも代表でも攻撃にアクセントをつけられる存在として、今またその価値を再評価される乾。全てが順調にいかない中、それでも着実に、“夢の舞台”と表現するリーガで成長を続ける彼が胸中を語った。(インタビューは現地時間11月29日、第12節ベティス戦終了後)

1試合1試合を必死にやっているだけ

システム変更や慣れないポジションのプレーにも、乾は「必死にやっているだけ」 【写真:ムツ・カワモリ/アフロ】

――リーガでのプレーも3シーズン目を迎えました。日々の生活はいかがですか?

 昨年からもまったく変わることなく、いつも通りの生活です。

――それも普段通りに試合に入っていくためには重要なことですよね。

 それはあると思います。みんなで鍋パーティーとか食事をしたりしているので、リラックスは十分できていますね。

――チームメートとのコミュニケーションは問題ない?

 もう(一緒にプレーして)長い選手がたくさんいますし、仲のいい選手もいっぱいいるので、全く問題なくやれています。

――今シーズンはエイバルと日本代表の両立が求められています。ここまでのコンディションはいかがでしょうか?

 シーズンが始まったころは足首が少し痛くて、それを引きずってプレーしていました。最近は足首の状態もいいですし、身体の調子もだんだん良くなってきたので、いい感じだと思っています。

――乾選手が代表帰りで招集外となった第8節のデポルティーボ戦から、ホセ・ルイス・メンディリバル監督は3バックを取り入れています。監督は選手にどんなプレーを求めていたのでしょうか?

「3バックでも4バックでもやることは一緒だ」と言っていました。プレッシャーのかけ方も前からいくのは変わりません。どの状況でどう動くのか、細かい部分はしっかりと説明してくれました。

――選手も納得したうえでフォーメーション変更を受け入れていましたか?

 納得というか、やる以上は自分たちでやらないといけない。他の選手がどう思っていたかは分からないですけれど、自分自身は監督の言うことを信頼している部分が大きいので、監督がこれでいけると思っての判断だと思っていました。負けている状況、何か変えなければいけない状況で、フォーメーションを変えたということですかね。

――それによって乾選手のポジションも、レアル・マドリー戦やレアル・ソシエダ戦ではトップ下でプレーしたりと、定位置だった左サイドとは別のポジションでプレーしています。

 自分としてはいろいろなポジションをやりたい思いがあります。今までずっとサイドしかやれていなかったので、真ん中で動き回れるのは、自分にとって楽しかったです。特にインサイドハーフは、もう29歳なので、これからそういうポジションもやっていきたいと思っていて。これからも自分の中でまだまだサッカー人生は続いていくので、スペインでそういうポジションができるというのは、いい勉強になります。ただ、そういった自分のことだけ考えていても意味はなく、チームに貢献しないといけないので、必死にやっていました。

――エイバルのトップ下ではやりやすさを感じましたか?

 ボールもたくさん来るし、いいタイミングで(パスが)来たり、早いボールが来たりとか。前向いて(ボールを)受けられたり、けっこう自分の特徴を出せたので、すごく楽しかったです。

――乾選手は試合でボールを失う回数が減って、ボールを持つと何かやってくれそうな期待感を感じます。3年目に入り余裕が出てきた部分、リーガでのプレーに慣れや自信を感じる部分はありますか?

 正直、微妙ですね。もう1試合1試合を本当に必死にやっているだけなので、余裕があるのか分からなくて、あまりそういうことは考えていないですね。チームが勝てていない状況が続いていたので。やっと勝てましたけれど、それを続けていかないといけないので、もう必死にやるだけです。

最近の日本代表の悪いところは、簡単なミスをしすぎ

日本代表では「いいつなぎ」ができていないことを課題に挙げた 【写真:アフロ】

――日本代表には今年の6月に招集されてからは、コンスタントにメンバーに選ばれています。乾選手にとって代表チームで過ごす時間はどのようなものでしょうか?

 みんなレベルが高いですし、サッカーはスペインと少し違うところがあるので、違う意味のいい刺激をもらえています。

――普段スペインでプレーしていることが、代表でプレーする際のメリットになっている点はありますか。リーガでのプレッシャーとの違いは?

 特に気にしていないですね。相手が違うし、自分たちのサッカーも一緒ではないので、あまり変わらないです。

――ブラジル戦では、カゼミーロやマルセロといったレアル・マドリーの選手とも対戦しました。リーグ戦との違いを感じましたか?

 違いはそんなにないです。やっぱりうまかったですし、レベルが1つ2つ、もっと上だったかなというくらい見せつけられたので。ベンチからですけれど、特に前半を見ていて、やっぱりすごいなというふうにしか思えなかったです。

――レベルの差というのは、具体的にどのあたりに感じましたか?

 すべて違いましたね。つなぎの部分もそうですし、1つ1つのプレーの質だったり、プレッシャーの早さだったり。いろいろなところで、違いを感じました。

――ベルギー戦を振り返って、試合自体をどう評価していますか?

 ベルギー戦はブラジルと戦った時よりも、前からいって何度か自分たちの思った通りに、ボールを奪えたシーンもありました。なので、あの(ロメル・)ルカクに決められた失点はすごくもったいないなと感じます。あの試合はもしかしたら、勝つことがきたかもしれないので。

 ただやっぱり日本の最近の悪いところというか、簡単なミスをしすぎなので、ボールを奪ったあとの1本目のパス、2本目のパス、そういうところでなかなかいいつなぎができない。そのあたりの技術が低いので、そういうことをやっているとまだまだあのような強いチームには勝てないのかなと思います。

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