【新日本プロレス】ドームのメインに初めて上がる内藤哲也「オカダには大事な部分が欠けている」

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唯一無二の特別な存在であるケニー・オメガ

唯一無二の存在であるオメガとは、ここまで1勝1敗の戦績。次の3戦目がどうなるか注目だ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

――7月にはG1クライマックスが始まりました。この時、意識していた選手はいましたか?

 いなかったですね。むしろオレは最終日を見ていました。Bブロックから誰が上がってくるのかと。同じAブロックより、Bブロックから誰が上がってくるのか。一体誰が、最終日にオレの前に立つのかと。そういう考えがすぐに浮かんだので、飯伏(幸太)にしろ、棚橋にしろ、あまり意識はなかったですね。
 ただ、1つ挙げるとすれば、別ブロックでしたけど、ケニー・オメガには、昨年のG1の借りを返したいと思っていました。もちろん戦うまでは特別な意識はなかったですけど、ケニー・オメガに関してはリベンジしたいという気持ちがありました。

――それは昨年のG1公式戦の最終日で敗れ優勝決定戦に上がれなかった悔しさが残っていたからですか?

 優勝とか、権利証とか、東京ドームのメインが掛かっていたからではなく、単純にシングルマッチで負けたことに関してですね。それからあの試合、30分引き分けだったら、オレが決勝に上がっていました。なんなら時間稼ぎをすれば、彼の優勝はありえなかったわけです。ただ、時間稼ぎをするのを忘れてしまうぐらい、彼との試合が楽しく、ワクワクしていました。もっと戦っていたいと。それによって負けてしまったわけですが、そういうワクワク感を味わいたいという思いはありました。

――オメガ選手とはこれまでシングルで2戦しか戦っていません。

 そうですね。タッグマッチでもあまり当たったことがないです。
 彼は素晴らしい選手だと思います。同じリングに立っていて、実際、彼と肌を合わせている時間は2試合しかないのですが、すごく楽しかったですし、もっと試合が続けばいいと思ってしまうぐらい、高揚感があるものでした。楽しすぎた結果、スターダストプレスも出してしまいましたから。

――オメガ選手はある意味、ライバルとも言えるような存在?

 いや、ライバルと言えるほど昔から知っているわけでもないし、2回しか戦っていないので。オレが11年間プロレスをやってきた中で、今まで味わったことがない、不思議な存在ですね。年に1回、シングル戦があるかないかですけれども、非常にワクワクします。どういう存在かと言われると、オレ自身もはっきり答えられないですけど、唯一無二の、特別な存在ですね。

――オメガ選手と言えば、もともと飯伏選手とのタッグで、DDT所属選手として新日本に参戦していましたよね。その頃、内藤選手としてはちょうどジュニアからヘビーへ転向した時期だと思います。

 ケニー・オメガに関しては、当時から目がいっていました。オレの視線が自然と向く、気になる選手でした。実際、オレの入場曲「スターダスト」は、その曲を作るに当たって、作曲家の方に、ケニー・オメガが当時使っていた曲を参考にしてほしいと伝えたぐらいです。すごい選手で、いつか戦ってみたいと。ケニーとは1勝1敗で迎える、次の3戦目が非常に楽しみです。

新日本の選手なら自分の思いを「吐き出せよ」

誰でもいいから名乗りを上げろと言ったものの、誰も挑戦を申し込まなかった。そんな新日本の選手たちに「吐き出せよ」と苦言 【写真:SHUHEI YOKOTA】

――G1優勝後はIWGP挑戦権利証を獲得したわけですが、その権利証に関して「誰でも名乗りを上げろ」と挑戦者を募りましたが、結局誰もおらず石井智宏選手との試合のみで権利証を守ることになりました。

 オレ的には名乗りを上げて欲しい選手はいましたけど……。ただ名乗りを上げる選手がいなかったということは、内藤哲也にも、東京ドームのメインにも、IWGPのベルトにも魅力がなかったということかも知れません。なんなら、ヤングライオンでも良かったですよ。誰でもいいと言っているのだから、そういう選手が現れて欲しかったです。
 オレは新日本プロレスが大好きで、新日本プロレスの選手は常にチャンスやすき間さえあれば狙ってくると。そういう新日本プロレスが好きなので、ヤングライオンでも名乗りを上げて欲しかったですね。

――やはり新日本の選手ならもっと貪欲に来て欲しかったと?

 来て欲しいですね。何に気を使っているんですかと。何に気を使っているか分からないし、結局、黙っていたらあなたの思いは誰にも伝わらないんだよと。口に出すべきで、G1の時も散々言いましたが、口に出すことがオレは大事だと思うので、権利証の時には当然、言えない選手はいたかもしれませんが、何を我慢しているのかと。吐き出せよ。これがオレ的な新日本の選手へのメッセージです。

昔からファンだったからこそ、ファンの気持ちが分かる

――4年前、G1を制してIWGPヘビー挑戦権利証を保持しつつも、最後はファン投票で事実上の東京ドーム大会セミ降格。あれから4年がたち、内藤選手はどんな変化を感じていますか?

 一番は、オレの言葉が届くようになりましたね。その結果、お客様の反応が変わりました。
 もともとの内藤哲也と今の内藤哲也はあまり変わらないです。ただ、周りの目を気にしながらプロレスをし、周りの目を気にしながらコメントしていた自分を、ロス・インゴベルナブレスに入って止めた結果、こんなにも言葉が伝わるのかと。びっくりするくらいオレの気持ちが伝わるようになり、プロレスも伝わっているので、お客様の反応に一番の変化を感じますね。

――最近の新日本プロレスは、昔からのファンももちろんですが、お子様や女性のファンも増え、満員の会場の雰囲気も変わってきていると思います。

 そうですね。リングで戦っていても、会場の雰囲気は伝わります。本当にお客様がプロレスを楽しんで見ていただき、試合後も楽しんで帰っていると思います。お客様の表情も違いますよね。楽しみでしょうがないんだなと。それを感じられるので、リングで戦っている選手も楽しいですね。
 オレの一番の強みは、昔から大の新日本プロレスファンだったということです。その頃から後楽園ホールは毎月のように来ていましたし、ファンクラブにも入っていました。前に中邑真輔選手が「内藤は視野が狭い」と。それはプロレスしか見ていないから、選択肢が狭すぎるという話をしていましたが、言われた時は確かにそうかなと思って、ほかも見ようかと思ったこともありました。ですが、何も興味がわかなかったんですよね。でも今となっては、プロレスしか見ていない、視野が狭いことが一番の武器なのかなと。ファンだったのはもう10年以上前ですが、今、会場に来ているお客様の気持ちが分かるというか。何を感じているかが分かります。そういうことを感じられるのが、俺の財産だし、どうすればまた次も見たい、お金を払って会場に来てくれるのかと考えられるのが、俺の一番の財産ですね。

感情移入できないオカダに負けるとは思わない

オカダに足りないものは「感情移入できない」ということ。そうである限り、内藤は負ける要素がないと話す 【写真:SHUHEI YOKOTA】

――もうすぐ18年が始まりますが、東京ドームを含めどんな戦いをしていきたいですか?

 オレは人生を大きく変えてくれたロス・インゴベルナブレスに感謝していますし、そのロス・インゴベルナブレスを日本に持ち帰って、自分で作ったロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを今よりもさらに上昇させたいと。会場中をもっとロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン色に染めたいと思っています。
 ただ、今現在は、2018年のオレがどうなるかはまだ見えないですね。やはり東京ドームで3つ目の夢がかなうからです。この3つの夢をかなえた時に一体、どんなものがオレの中に生まれてくるのか、次の夢が出てくるのか。今のオレには分かりません。それは1.4東京ドームを終えた時に見えてくると思います。

――やはりまずは東京ドームでオカダ選手に勝つことが最初だと。会見ではオカダ選手が「ドームで勝つのは難しい」という話もしていましたが、そのことに関しては?

 勝つ姿しか想像していないです。もちろん、彼は素晴らしい選手であるのは間違いないです。ただ、オレが思うのは、彼にはレスラーにとって一番重要な部分がないと思います。それは、お客様が感情移入できないという部分です。確かに身長も高いし、IWGPを長く巻いてきた実績もあるし、それは素晴らしいとしか言いようがありません。ただ、レスラーとして一番重要な部分が欠けている。その部分でオレの方がオカダを上回っているので、負ける要素がありません。

――それでは最後にドームの試合を楽しみにしているファンの方にメッセージをお願いします。

 会場で観戦予定のお客様、テレビやインターネットを通じて観戦予定のお客様、オレがオカダのすべてを上回り、そして、オカダに勝つその瞬間を、皆様の目で、皆様の耳で、是非確認して下さい。そして東京ドームで、史上最大級の大合唱を一緒にしましょう。
 2018年1月4日 東京ドーム大会まで、トランキーロ!! あっせんなよ。

(取材・文:尾柴広紀/スポーツナビ)

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