大学球界に新時代到来の予感!? 日体大が制した神宮大会を振り返る
下級生も順応しやすい組織作り
日体大野球部「体育会イノベーション」と称する改革に取り組み、組織を大きく変えた 【写真提供:日本体育大学硬式野球部】
まず1つ目は、2012年に明治神宮大会で創部7年目ながら優勝を果たし、以降も春秋どちらかではリーグ優勝を続けている桐蔭横浜大だ。
もともと親交のあった齊藤博久監督のもとを訪ねて、練習を見学。各部門の責任者となる部員同士の活発なコミュニケーションを見て、日本体育大でも各部門に部員の幹部を置いた。その中でミーティングをさせたり、首脳陣と幹部が意見交換をするなど権限を与えた。これは体育大学で指導者志望の部員も多いだけに、浸透は早かった。
次に取り入れたのが、「体育会イノベーション」と称する改革だ。これは大学選手権8連覇中の帝京大ラグビー部が行っている取り組みを参考としたもので、それまで下級生が行っていた雑用を上級生が行うようにした。これにより下級生は新しい環境により早く順応でき、上級生は行動で下級生に模範を示した。この成果が、今大会全試合で1年から4年の各学年の選手がスタメンに名を連ね、野手陣のヒーローが日替わりだったことからも、その効果は明白だ。
部内リーグの導入で成績を数値化
下級生もスタメンで活躍した日体大。全試合4番に座った高垣は1年生だった 【写真は共同】
この部内リーグは初戦で慶應義塾大を破る金星を挙げて4強入りした環太平洋大も取り入れており、就任5年目の野村昭彦監督は「頑張れば報われるシステムを作ろうと思ったんです」と説明していた。
各地で力をつける国公立大学
また、今秋は全国大会出場こそなかったが、東京大が東京六大学野球で15年ぶりの勝ち点を獲得し、大阪市立大が全国大会出場まで1勝と迫るなど、各地で国公立大も力をつけてきている。
当然ながら20歳前後の身体的・精神的成長は大きい。大学野球は決して“選ばれた選手”だけで行うものではなく、それぞれの部員が目的意識さえ強く持てば、花が開きやすい環境となってきたと言えるだろう。