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「国民的打者」李承ヨプの集大成
引退試合で見せた2本のアーチ

セレモニーでは巨人時代の同僚もメッセージ

試合後には花火など多彩な演出のなか「国民的打者」の引退セレモニーが行われ、多くのファンが別れを惜しんだ
試合後には花火など多彩な演出のなか「国民的打者」の引退セレモニーが行われ、多くのファンが別れを惜しんだ【ストライク・ゾーン】

 試合は10対9でサムスンが辛くも逃げ切り。李承ヨプは、自身の背番号36を背負ったナインとハイタッチをして現役ラストゲームを終えた。


 試合後のセレモニーは暗闇の中、スポットライトを浴びる李承ヨプを中心に、花火やプロジェクションマッピングを使用した多彩な演出が施された。また家族や知人のビデオメッセージが大型ビジョンに映し出され、日本からは巨人で共にプレーした高橋由伸監督、阿部慎之助のコメントが花を添えた。セレモニーの最中、止まらぬ涙をぬぐう李承ヨプの姿にスタンドからは「泣かないで!」の声が飛び、言葉に詰まると応援歌の大合唱が自然発生的に起こった。誰もが永久欠番となった36番との別れを惜しんでいた。


 セレモニー後、李承ヨプは記者陣にこれまでの苦悩を口にした。


「(国民的打者という称号は)本当に重かった。有名人として生きることは幸せでもあり不幸でもある。『国民的』という修飾語は誰にでもつくものではないが、それがあることで言動や行動に気をつけた。その言葉があったことが、自分を成長させてくれたのだと思う」


「ゆっくり休んで」。多くの人がそう声をかけた。誰もが李承ヨプに重い十字架を背負わせていることをわかっていた。「これからは2人の息子の父親として、他の父親よりもたくさん学校の送り迎えをしますよ」と笑った李承ヨプ。この日、李承ヨプはユニホームと「国民的」という鎧を脱ぎ、グラウンドを去った。

室井昌也
室井昌也
1972年、東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、2004年から著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』を毎年発行。韓国では2006年からスポーツ朝鮮のコラムニストとして韓国語でコラムを担当し、その他、取材成果や韓国球界とのつながりはメディアや日本の球団などでも反映されている。現在「室井昌也の韓国野球を観に行こう!」(ラジオ日本)に出演中。12月2日には東京でハンファ前コーチの中島輝士氏とトークイベントを行う。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。

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