外国人女性ジャーナリストが斬る凱旋門賞 日本馬は侮れない、だがオルフェ級か疑問
ユリシーズ、ウィンターの瞬発力は魅力
もし、A・オブライエン調教師が3歳牝馬のウィンターを参戦させるようならとても魅力的な出走馬になる。この芦毛のガリレオ産駒は今年牝馬のマイル〜中距離路線を席巻した後、レパーズタウン競馬場で行われた前走の愛メイトロンSで同厩舎のハイドランジアに敗れたが、これには多くの敗因があるのだ。
まず、ひとつ目としては調教を休んでいた時期があったことが挙げられる。そしてふたつ目として、今のウィンターには距離が足りなかったと思うからだ。だから、凱旋門賞で2400mに初めて挑むことに非常にワクワクしている。ウィンターはいい切れ味の持ち主で、もし距離がもてば、エネイブルと接戦を演じることができると思う。
今年はやや劣勢気味のフランス勢。巻き返す可能性は?
J・C・ルジェ調教師のブラムトについて言えば、彼は仏2000ギニーと仏ダービーを制した時点では真のスーパースターのように見えた。しかし、復帰戦のGIIギヨームドルナーノ賞で完敗。勝ったエミネントとの差は9馬身もあった。そこから巻き返して凱旋門賞のような大レースを勝つのは非常に困難だ。ルジェ厩舎はシーズン当初ウイルス感染に見舞われ、多くの馬は本調子を取り戻すのに時間がかかった。とても残念なことである。また、仏2000ギニーと仏ダービーで入着した馬を見ると、その後まだ誰もGIを勝てていない。そう考えると、今年のフランスの3歳牡馬はあまり強くはない世代だと思えてくる。どれだけ出走馬を分析してみても、やっぱり本命はエネイブルだ。
【netkeiba.com】
95年にソルボンヌ大学卒業後、レーシングジャーナリスト、コメンテイターとして活躍。現在、フランスを中心とした世界の競馬事情について、地元のパリチュルフ紙やアットザレイシーズなど、さまざまな媒体を通じて発信している。