Bリーグ2年目はよりハードでタフに!? 東の激化で勢力図が崩れる17-18シーズン

大島和人

西地区注目は圧巻の補強を見せた琉球

オフに積極的な補強を行った琉球は、西地区でどのような戦いを見せるのか 【(C)B.LEAGUE】

 西地区は三河と名古屋が抜けた一方で、新たに加わった西宮ストークス、島根スサノオマジックがB2からの昇格組。資金力や蓄積で優位にあると言われる旧企業チームもいない。過去の実績を基準に考えると、他地区よりやや小粒ぞろいだ。

 しかし「開幕前の上積み」を見ると西地区こそが最大。特に琉球の補強は圧巻だった。琉球はbjリーグの15−16シーズン王者ということもあり、B1初年度はあまり大きな入れ替えをせず臨んでいたが、今季は本気で勝ちにいく意思を積極的な強化で示している。

 琉球は栃木や日本代表のアシスタントコーチを務めた33歳の佐々宜央氏をHCに抜てき。栃木から古川、SR渋谷からアイラ・ブラウンと日本代表選手を獲得しただけでなく、須田侑太郎、二ノ宮康平、石崎巧といった実力者を手厚く補強した。

 また外国籍選手も全員を入れ替えた。ヒルトン・アームストロングは元NBAで、昨季は千葉の天皇杯制覇に貢献したセンター。彼はスクリーンや守備といった「数字に残りにくい貢献」が光るチームプレイヤーだ。ハッサン・マーティンはまだ21歳の大卒ルーキーだが、アイラを一回り大きくしたような風貌で、パワーと跳躍力が抜群。ヒルトン、アイラにつぐ三番手として使うのがもったいなく思える逸材だ。

 大阪もインサイドの軸にNBAで155試合の出場経験があるグレッグ・スミスを獲得した。もうひとりのセンター、トレント・プレイステッドも派手さこそないがボールを滞りなく動かせる選手で、インサイドの強化により熊谷のようなシューターも生きるだろう。

 滋賀は昨季こそ西地区最下位だったが、ショーン・デニス新HCのもとフルコートのディフェンス、速攻を軸にするアグレッシブなバスケに取り組んでいる。京都も日本代表の永吉を獲得するなど、陣容を整えた。西宮ストークスは昇格組ながら9月上旬のアーリーカップ関西で3位に入るなど決して侮れない存在だ。

世界を見据えた各クラブの取り組み

11月には代表のW杯予選も始まり、Bリーグでの日々の戦いは重要度を増すシーズンとなる 【(C)B.LEAGUE】

 Bリーグ全体に目を移すと、開幕前の取材を通して感じたことが大きく2つある。1つは外国籍選手のレベルが上がっていること。元NBAの選手が増えただけでなく、実際にプレシーズンのプレーを見て「違い」を感じる選手が何人もいた。

 もう1つは今季の抱負として「激しい守備」「速い攻撃」を強調するチームの多さが印象的だった。川崎や三河のような安定感、オフェンス力に強みがあったチームも「守備」「速さ」を新たなテーマとして強調していた。

 11月には2019年のワールドカップに向けたホーム&アウェー方式の予選も始まる。20年の東京五輪で日本が世界と伍する戦いをするためには、日々の戦いから激しさ、速さを磨いていく必要がある。そんな志は各クラブが新たなスタイルを取り組む理由にもなっているのだろう。

 そんな狙いが実現すれば、Bリーグ2季目の戦いは昨年以上に躍動感のある、ハードでタフなものになるはずだ。

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著者プロフィール

1976年に神奈川県で出生し、育ちは埼玉。現在は東京都北区に在住する。早稲田大在学中にテレビ局のリサーチャーとしてスポーツ報道の現場に足を踏み入れ、世界中のスポーツと接する機会を得た。卒業後は損害保険会社、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を開始。取材対象はバスケットボールやサッカー、野球、ラグビー、ハンドボールと幅広い。2021年1月『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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