阪神期待の小野泰己、目標は「まず1勝」 0勝5敗も着実に成長した前半戦

岡本育子

オールスターはテレビで観戦

5月21日のヤクルト戦で1軍デビューを果たしたが、5回途中4失点で降板。しかしその後は安定した投球を披露するなど着実に成長している 【写真は共同】

 フレッシュオールスター明けの翌14日は、午後に選手寮へ戻って休養したという小野。オールスターゲーム2試合はテレビで観戦したそうで、なかでも楽天・則本昂大投手の158キロに「あの大舞台で自己最速を更新するなんて。自分の力以上のものが出せるってすごい!」と感動しきり。

「やっぱり、どのバッターもすごい人ばかりで、あの中で投げられるのはいいなって。1軍のオールスターで投げてみたいと、フレッシュオールスターに出て、より強く感じました」

 つかの間の夏休みも終わり15日からは甲子園での1軍練習に参加して、19日の先発に備えた。広島とは初対決になるが「初めてという気合いは特にありません。自分のピッチングをしっかりして、打者1人1人と対戦することが大事だと思います」と平常心。上にいる唯一のチームが相手だと、プレッシャーをかけられても「首位なので、なんとか抑えられるように。でも気持ちを入れすぎず、自分らしさを出せれば」と、自分の投球が大切と繰り返す。

試合をつくるも援護に恵まれない試合も

 ここまでの成績を見ると、プロ初登板初先発だった5月21日の東京ヤクルト戦(神宮)から、7月7日の巨人戦(甲子園)まで、すべて先発で7試合に投げ0勝5敗という成績。なかでも6月18日、楽天の岸孝之投手と投げ合った交流戦のラストゲーム(甲子園)は、“岸二世”と呼ばれる小野が初めて本家と顔を合わせた試合だった。しかし7回5安打1失点と好投しながら、味方の援護がなく負け投手になっている。次の28日の中日戦(ナゴヤドーム)もしかりで、6回2安打1失点という内容。

 なのに、まだ白星がない。

 プロ1年目の半分が終わり「最初はうまくいかないこともあり、でもいろんな経験をしながら1試合1試合で成長してこられたと思います。課題を見つけて、練習してというのを繰り返してきました」と振り返るルーキー。そして「前半のゲームで経験したことを無駄にせず、後半でしっかり生かせるようにやっていきたい」と言う。
 
「勝てていない中、使ってもらっているので……。それに応えるピッチングをしたいと思います」。だからこそ、後半の目標を問われたら「まず1勝!」と答えるのだ。最後に、後半スタートのマウンドで、首位・広島から1勝を挙げれば大きな自信になる? と聞かれた小野投手は「……勝ちたいです」とだけ答えた。

 小さな声だったが、確かに届いた。

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著者プロフィール

兵庫県加古川市出身。プロ野球ナイター中継や、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって30年以上。ウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それから阪神の2軍を取材するようになり、はや20年を超える。

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