- 松山ようこ
- 2017年7月18日(火) 10:40
新人ぽくなかった新人たち

穏やかな監督と先輩たちが、いいムードをつくり上げ、ルーキーのプロ意識をも高めているのだろう。上下関係が厳しいと言われる野球界でも、楽天ではあってないような雰囲気だ。それぞれがやるべき事をそれぞれの信じるやり方で追求し、チームに貢献するのみ、という自立した姿勢が見て取れる。
私見だが、彼らルーキーに共通しているのは、キャンプインから「新人ぽくなかった」こと。チームの雰囲気がどこかおおらかなこともあるだろうが、初めから伸び伸びしていて、屈託なく野球を楽しんでいた。
だからといって、この世界の厳しさを甘く見るようなところは感じられない。2軍を行ったり来たりして指揮官が繰り返す「競争」を実感しつつ、「1軍で野球ができるありがたさ」をはばかることなく語ったのは、同じくルーキー右腕の菅原秀。「(僕の名前を書いた)応援タオルが増えた」とうれしそうに語る菅原は、ここまで高梨の17試合より多い、21試合に登板している。
菅原は、則本や松井にも劣らない投げっぷりの良さで三振を量産。まだまだ少ない登板機会ながら、その奪三振率も則本の11.94に次ぐ10.53で、松井の10.18を超えている。今後がますます楽しみな逸材だ。
抜群のコントロールで耳目を集めた森原については、梨田監督は後半戦も「そりゃあ良かったら使いたい」と再び上がってくることへの期待をのぞかせ、代わった高梨についても「ファームに落としてからしっかりコントロールできるようになったんでね、時々はファームに落としながら調整させながらだね。上にあがってからは安定してるので、いいところで使っていきたい」とさらなる競争を意識づける。
楽天は後半戦、7週連続で6連戦という過酷なスケジュールだ。疲れの溜まりやすい夏の時期でもある。前半戦の首位キープも、梨田監督は「まあまあ」とやんわり遮っては、「あんまり考えることじゃない」と勝ってかぶとの緒を締める。
野球は長いからこそ、より多くのドラマが展開される。これからもレギュラー選手だけでなく、“バランス良く”さまざまな選手がいいムードで一丸となって戦うことだろう。大局を見通す指揮官の下、選手たちは厳しくも楽しくプレーにいそしむ。
「人生は楽しんだ者勝ち」。今季の楽天を見てると、そんなフレーズがふと思い浮かんだ。
(記録は7月12日、前半戦終了時点のもの)