『競馬道、未だ頂きに立てず』 南関東伝説の予想士・吉冨隆安の競馬人生

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予想士の魂、ここにあり

馬柱には吉冨氏のメモがびっしり書き込まれている 【netkeiba.com】

 吉冨が普段、行っていることを簡単に紹介しよう。まずは写真を見てもらいたい。これはプロキオンSの馬柱だ(取材のために特別登録の段階で計算をして貰った)。吉冨は過去7走に渡り馬柱を詳細にチェック。1頭1頭の戦歴を洗い出していく。基本的には1頭1頭の走りをパソコンに記録し、それを馬柱に転記しながら比較検討を行っていく。

「レースによっては1レースの検証時間が2〜3時間に及ぶこともある。だから、どうやったって前日には予想を公開できない。これは歯痒いところだけれども、選び出しているレースはきちんと精査しており、ようやく競馬が投資に耐えうるところまで理論は完成しつつあると思っているよ」

プロキオンS、ベストマッチョを買う奴は……

吉冨氏はプロキオンS出走馬の中で福永騎乗のカフジテイクを有力馬の1頭と見ている(撮影:下野雄規) 【netkeiba.com】

 そこで早速、日曜日に行なわれるプロキオンSの見解を聞いてみることにした。ただ、正確なジャッジはここではできない。取材時は枠順が決まっていないからだ。

「まず断言しよう。ベストマッチョは要らない! どうして人気になりそうなのかもわからない。今回プロキオンSに出走するカフジテイク、ブライトライン、キングズガードといったところは2月に根岸Sを使っている。回避したがエイシンバッケンも同様だ。根岸Sの上位馬がフェブラリーSでも上位にきた。特にエイシンバッケンとカフジテイクの2頭は外をよく追い込んだ。カフジは福永騎手が乗るのもプラスだろう」

 ちなみにフェブラリーSでもっともキツイ競馬をしていたのがケイティブレイブだった。吉冨はもちろん、この内容を見逃さず6月28日の帝王賞で的中につなげる。

ケイティブレイブの帝王賞での激走を吉冨氏は見抜いていた(撮影:高橋正和) 【netkeiba.com】

「JRA勢の中では地味に映ったのかも知れないが、6番人気は馬鹿にされ過ぎだろう。確かに帝王賞は事前の展開と異なったが、フェブラリーSでもっともキツイ競馬をしていた馬が、弱い訳がない。『本日一番』に指定したレースで、手前味噌だけど本線的中だよ」

 吉冨の実走着差理論は最終的にプロキオンSをどのように読み解くのか。

 来週12日には大井でジャパンダートダービーもある。10日からは大井競馬場で場立ちもあり、熱弁をふるっていることだろう。次回はそのジャパンダートダービーの事前展望をお伝えすることにしよう。

■吉冨隆安 プロフィール
1947年鹿児島県生まれ。大井競馬場公認予想「ゲート・イン」主宰。大阪市立大学法学部中退後、様々な職業を経て大阪で起業するも、数年後に上京。一時期、学習塾講師と競馬予想屋を両立させていたこともある。平成元年から「ゲート・イン」の屋号で、大井競馬場で場立ち予想を行なっている。常に「競馬が市民の投資対象たる金融商品なら、僕の予想は商品説明である」のもと、確固たる軸馬を1頭決める「実走着差」理論で、競馬との孤独な戦いを続ける。

「俺も頑張って後10年。予想士としての集大成をお見せしたい」

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