阪神・秋山が語るブレークの理由 「投球フォームに迷いがなくなった」

週刊ベースボールONLINE

欲を出さずに目の前のアウトを一つずつ

「緩急をうまく使い、後半戦へ一味違ったピッチングを見せたい」と語った秋山 【写真:BBM】

――成績を残し、安定した投球が続いたことで、火曜日の先発を任せられるようになりました。

 今までと変わらない気持ちで投げようと思っています。でもやはり、6連戦の頭ということで一つでも多くアウトを取りたいな、と思いますし、より1イニングでも長く投げようというイメージができました。ただそこは、欲を出さないことを心掛けています。先を見ず、目の前のアウトを一つひとつ積み重ねていけたら、と。

――ちなみに、交流戦初戦の千葉ロッテ戦で苦戦しました(5月30日、5回7失点=ZOZOマリン)。

 パ・リーグの打者はすごくバットを振ってくるなあ、と感じました。それ以上に初めての球場で、すごく風が吹いて、マウンドが軟らかく、思うようなコントロールができないような条件が重なって、相手打者には向かっていけなかったです。

――それでも試合には勝ちましたし、勝利投手にもなりました。

 奇跡的ですよね(笑)。打者にも本当に助けてもらいました。しかもイニングも5回までは投げさせてもらいました。本当に勝ち星をもらったらいけないような試合でした。この試合で感じたことは、こういう状況の中でも打者の皆さんに「秋山に勝たせてやりたい」と思ってもらえるような投手になりたいな、と。そのためには日々の取り組み方もしっかりしていきたいと思いました。

――この試合で、すごくそういう部分を感じた?

 そうです。次は絶対に恩返しをしたい。そのためにも次の登板までにしっかりと取り組まなければ、という思いになりました。勝ち負けは自分でコントロールできないです。だからこそ、日ごろの取り組みが大事だと考えています。

――その後、6月27日の中日戦までの3試合も自責点2ずつで6回以上を投げ、クオリティースタートを達成していますね。

 特にオリックス戦(6月6日=京セラドーム)は初回に2点を取られて、ヒットをたくさん打たれましたが、そこから粘れたので、気持ちは切らさずにと思っていました。さらに、その次のイニングですぐに逆転してもらったので、しっかり抑えようと。その気持ちがあったので8回(2失点で勝ち投手)まで投げることができました。

――しかし、火曜日の先発だと相手のエースとの投げ合いになります。

 もちろん、自分に勝ちを付けたいですが、それよりも試合をつくって、イニングを消化して中継ぎの人たちの負担を軽くしたいです。それに僕の対戦相手は打者なので、相手投手のことは気にしていません。

――それがいい成績につながっているんですね。

 今年は味方打線に早いイニングで点を取ってもらっていることで、要所をしっかり抑えられています。それが長いイニングを投げられていることにもつながっています。それと、試合の中でしっかりと流れを見ていくと、ここは気をつけないと危ないぞ、というイニングがありますよね。その場面では最大の集中で投げています!

――チームは現在セ・リーグ2位につけています。この流れを続けていきたいですね。

 交流戦で、バットの振りの強いパ・リーグの打者を相手に真っすぐが通用したので、これを自信としてセの打者に対しても、真っすぐを軸にドンドン攻めていきたいですね。ここまではカーブをあまり使ってこなかったので、緩急もうまく使っていきたいです。それと6月13日の埼玉西武戦(甲子園)でフォークが良かったんです。これまではうまくコントロールできなかった球種だったのですが、使えるメドが立ったので、これからどんどん使っていきたいです。それにより、後半戦に向けて一味違う投球ができるかな、と思っています。

〈取材・構成=椎屋博幸 写真=早浪章弘(インタビュー)、BBM〉

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