同じサウスポーでも性格は正反対!? 楽天・松井裕とルーキー高梨が語り合う

週刊ベースボールONLINE

意外ときちょうめんな松井

早くも20セーブ以上を挙げている松井。クローザーとして「優勝の瞬間にマウンドを踏んでいたい」と意気込みを語る 【写真=BBM】

──同じ左利きとして、どこか共通点はあるのでしょうか。

松井 高梨さんは汚いっす。

高梨 いやいや、それ、左利きは関係ないでしょ(笑)。

松井 左利きの話題はあんまりないので。高梨さんはとにかく汚い!

──汚いというのは性格が?

松井 違います。財布の中が汚い(笑)。チャックが閉まらない。

高梨 いやいや、閉まるって!

──お金がいっぱい入っていて?

松井 違います。レシートとかいろいろ入っていてグチャグチャです。

高梨 なんか、財布の中身を整理するタイミングが分からないんだよね。部屋も昨日、松井に見られて……。

松井 高梨さんの(寮の)部屋のドアがたまたま開いていて。もう、部屋の中がマジでゴミ屋敷なんです!

高梨 いや、あれは片付けている途中だったんだよ(苦笑)。

松井 絶対にウソ! クリーニングのタグが付いた服も、丸めて放置されていましたから。

高梨 もう一度、自分で洗ったよ。

松井 ちょうど交流戦後の休養期間だったんですけど、夜中の11時半くらいから掃除しました、僕と菅原(秀)さんで(笑)。

──部屋の主は?

高梨 僕は役立たずということで、「いるものといらないものだけ整理しといて」と2人に言われて。片付けてくれるところを眺めているだけでした。超きれいになりました(笑)! 松井の部屋は整理整頓されていて、きれいだよね。意外ときちょうめん。

松井 きちょうめんですね。だから、これからも抜き打ちでチェックします。でも高梨さん、部屋が汚いくせに、マウンドに上がると、けっこう緻密にコーナー突いてくるんですよ。

高梨 緻密に攻めているつもりはないんだけどね。マウンドでは強気に攻める気持ちが大事だから。

松井 相当な量のゴミが出ましたよ。

高梨 そこ引っ張るねえ(苦笑)。ゴミの話しか出ていないですけど、大丈夫ですか(笑)。

──左利きの話が思わぬ方向に……。それでは、プライベートについて少しだけ。高梨選手は哲学書などを読んでいるとお聞きしたのですが。

松井 あった、あった! 変わりモノの本が部屋にいっぱいあった!

高梨 大学時代に、イップスというか、ホームベースまで球が届かなくなってしまったことがあって。そのとき、技術の前に、自分の思考を掘り下げなきゃダメだなと。いろいろ読んだんですけど、言わんとしていることは一緒でした。「結果よりも過程が大事」だと……。

──松井選手がまったく興味を示していませんが(苦笑)。

高梨 彼はこういうジャンルはいらない“人種”なんですよ。

松井 はい、いらないです(笑)。性格は正反対ですよね?

高梨 でも、松井は頭いいよね。学年でいえば大学4年生の年代だけど。野球の話になったりしても、先にプロ野球の世界に飛び込んだこともあって、考え方がしっかりしている。

松井 甲子園から帰る新幹線が隣の席で、いろいろ話しましたね。

高梨 一見するとはっちゃけているようでいて、でも、その裏には彼なりの考えがあって……。

松井 なにそれ、(キャラを)つくっているみたいじゃないすか(笑)。

高梨 あと、僕はあまりテレビを見ないのでよく分からないけど、松井は乃木坂46が好きだよね。「この子がかわいいんですよ」と言ってくるので見たら、確かにかわいかった(笑)。で、僕がipodを聞いていたら、たまたま乃木坂46の曲が流れてきたんです。それを松井に見られて「やめてよ、聞くの!」って。どれだけ独占欲強いんだと(笑)。

最後まで一緒に1軍で戦いたい

「中継ぎとして形になるものを残したい」。高梨はチームへの貢献を誓っている 【写真=BBM】

──そろそろ野球の話に戻りますが、ブルペンという場所はどんな雰囲気なんでしょうか。

松井 みんなバラバラですよね。自由人ばっかりだから(笑)。

高梨 僕は去年までのサンプルがないからなんとも言えないですけど、試合までの入り方を自由にさせてくれます。ストレッチをしている人がいれば、走っている人もいて。

──試合までの調整法として、情報を共有したりするものですか。

松井 そこまではないですよね。高梨さんを見ていても「これがしたいんだな」という意図を感じますし。

──救援の難しさを感じることは。

高梨 僕はまだ競った試合ではあまり投げさせてもらっていないので、よく分からないですね。負けが付いていないので。僕にとっての“プロの壁”は、まだ一つくらいしか来ていないと思います。

松井 そんな話を前に飯を食いながらしましたよね。心の持ちようというか。僕から見たら高梨さんはまだ怖いもの知らず。極端な言い方ですけど、自分のせいで試合を落とすという経験をしていないので。それがどんなに怖いものか……。全員でやっている野球の試合を、自分一人が壊してしまう。それで翌日、同じ気持ちでマウンドに上がることがいかに難しいか。その中でどんなボールを投げられるか。どんな結果が出るのか。そのあたりが次の壁になってくると思いますね。

高梨 松井は何万人もの観衆の前で最後に投げて、打たれたら戦犯になってしまう。そんな重圧の中で投げているのは本当にすごい。

──チームが優勝争いをしているわけですから、今後、救援投手の役割も高まってきます。最後に意気込みをお聞かせください。

高梨 僕はまだホールドが付いていないので。初勝利は挙げましたけど、中継ぎ投手としてプロに入ったからには、まずは形になるものを残したい。それがホールド。首脳陣、チームメートの信頼を得て、そういう場面で投げさせてもらえるようになりたいです。

松井 僕はやはり、優勝の瞬間にマウンドを踏んでいたい。あとは呼ばれたところでゼロに抑えること。それだけです。高梨さんは、50試合以上は投げてほしい。最後まで1軍で一緒に戦いたいですね。

(取材・構成=富田庸)

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