浅野がJYDで「ジャガーの動き」を伝授 食事、体づくりも高校生にアドバイス

平野貴也

栄養フルコース型の食事でバランスよく

ビュッフェスタイルで浅野が自らチョイスしたというバランスの取れたメニュー 【平野貴也】

 次に行われた栄養トークショーでは「栄養のバランスを考えて、たくさん食べるようにしている」と話した浅野が、シュツットガルトのクラブハウスで食べているメニューを写真で紹介。そこに明治スポーツ栄養マーケティング部の案浦さんが、解説を加えた。撮影中にちょっかいを出してきたという隣席のフランス人選手の指が写り込んだ写真に並んでいたのは、ペンネ、魚と肉、サラダと付け合わせ、乳製品のデザート。ビュッフェスタイルで浅野が自らチョイスしたメニューだ。

 案浦さんは「バランスよく食べるテクニックとして、栄養フルコース型の食事がある。5つのポジションをそろえることで必然的にバランスが整う」と話し、主食(米、パン、麺類等)、おかず(肉、魚)、色の濃い野菜、果物、乳製品の組み合わせを推薦。「(浅野のように)自分でそろえられるようになってもらいたい」と高校生にメッセージを送った。

 また、案浦さんは「瞬発力を発揮するエネルギー源は糖質だが、サッカーのように持久力も必要な場合は、貯蔵量の少ない糖質だけでなく、エネルギーに変換するのに時間はかかるが、貯蔵量の多い脂肪酸も必要」と浅野のように短距離で一気に加速する爆発力と試合終盤まで走り切る持久力を両立させるための食事の考え方を説いた。体脂肪をエネルギーに変換しやすくするためには、アミノ酸等のサプリメントが有効だという。

 ほかに、運動後はリカバーするために、おかずや乳製品、プロテインでたんぱく質を摂取する必要があること、運動直後の摂取であれば3時間後と比較して倍以上の効果があり、運動後30分以内の摂取が好ましいことなども案浦さんから説明された。

「練習も試合も意識だけで劇的に変わる」

浅野がイベントを通じて伝えたアドバイスは高校生たちにも響いていたようだ 【平野貴也】

 浅野は「高校時代は、栄養なんて気にするタイプではなく、とにかくたくさん食べる意識だった」と明かし、米を丼に山盛りにして7人兄弟でおかずを取り合ったエピソードを披露したが、プロ入り後は運動の前後にサプリメントも摂取しており、食事に気を遣うようになったという。

 学生から、高校時代にやっておくべきことは何かと質問を受けると「体づくりは先につながると思う。僕は高校時代から意識して、練習後に体幹トレーニングをやって帰っていた」と浅野。プロとは異なるレベルではあったものの、技術の向上だけではなく、アスリート能力を高める工夫にも取り組んでいたことを明かした。

 情報伝播のスピードが高まっている現代は、アマチュアレベルでも、技術や戦術だけでなく、コンディショニングや体づくりの知識もある程度知っていて当然の時代に入ってきている。どちらも知識を得ただけでは身に付かないが、浅野は「練習も試合も意識だけで劇的に変わる」とも練習中に話していた。

 イベントを通して伝えられた、能力に頼らず駆け引きを磨くことや、体づくりのための工夫を実践することは、ユース年代の選手も取り組むべき要素だ。浅野は「僕が高校生のときは、こういう機会はなかったと思う。高校生はもっとガツガツしているかと思ったけれど、おとなしかった。でも、聞く力を持っていることは大事。まず素直にやってみて、自分に合うかどうかを判断するのは後からでいい。行動してみて、自分に置き換えて考える力が大事。そういう意味では、自分が見せたプレーをすぐに実践してくれていたことは、素直にうれしかった」とイベントの感想を述べた。動き方や体の作り方を参考に、意識を変えた選手たちが、次世代の“ジャガー”として飛躍することが期待される。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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