5冠の池江璃花子、自由形でつかんだ自信 “世界のトップ”狙って意識に変化

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「世界のトップを目指していきたい」

自由形3種目で勝利した池江。写真は100メートル決勝 【奥井隆史】

 大舞台で世界のレベルを体感した池江は、新たな練習に取り組んだ。16年12月末からの3週間、自身初となるメキシコでの高地合宿に参加。練習メニューには「ノーブレス(呼吸をしないで指定の距離を泳ぐ)」を取り入れるなど変化を加えた。特に高地合宿は「苦しいから嫌だ」と村上二美也コーチに漏らすほど気が進まない練習法だったが、結果はすぐについてきた。帰国して間もない1月末の東京都選手権で200メートル自由形の日本新記録(1分56秒33)を更新したのだ。本来バタフライを得意とする池江にも、自由形での自信がついた。

「東京都選手権で自己ベストを出してから、自由形も世界に近づいてきたという感覚がある」

 東京都選手権での日本新記録はあくまでも、「高地合宿から帰ってきたばかりの好調時のもの」。そう気を引き締めつつ、「(自己ベストに近いタイムを)コンスタントに何度も出せるようになったら、そこから一気に記録を上げていきたい」と、さらなるタイム短縮を狙っている。今大会での自由形についても、こう振り返る。
「自由形の全種目で派遣(標準)記録が切れたというのはすごく自信になりました」

 タイムの向上には少しずつ手応えも。しかし、“世界との戦い”という意味ではまだまだこれから。
「自由形に関しては、全然世界で戦えていないのを痛感しています。世界のトップを目指していきたい」
 課題については、「(今大会では)前半は良い泳ぎができた。もう少し体力をつければ世界でも戦えるようになる」と力強く語った。

バタフライで、自由形で、意欲を見せる池江 【奥井隆史】

「今年の目標は世界で一つでもメダルを取ること」

 ブダペストで表彰台に上がる可能性が最も高いのは、池江自身が「世界でのメダルに一番近い」と話すバタフライだ。自由形では、冷静に見れば世界の背中はまだまだ先にある。それでも自由形で得た自信は、目標に向かう16歳にとって大事な大事な収穫のひとつになったのではないだろうか。

(取材・文:澤田和輝/スポーツナビ)

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