やのあんな&松元絵里花、笑顔の42.195km完走! 頑張った4カ月の特訓、目標タイム大幅更新!!

スポーツナビDo

絵里花ちゃん、前半10kmはサブ4ペースも……

前半16km付近、快調なペースで飛ばしていく絵里花ちゃん 【スポーツナビDo】

 今回、取材班は16km付近、20km付近の2箇所で2人を待ち構えていました。2人の様子はアプリの通過タイムと位置予測情報で確認します。レーススタートから30分後、そろそろ5km地点に近づいてきたかな?なんて思いながらアプリを見ると、絵里花ちゃんはすでに通過。タイムはなんと27分54秒! え? ちょっと速いような……と思っていたら、次の5kmも27分23秒。さらにタイムを上げてきました。

「目標は4時間台です」と言っていたのに、これはもはやサブ4ペース。ひょっとして、初めてのフルマラソンで気分が高まっちゃってオーバーペースになっているのでは……。

「実は、サブ4をクリアできるかどうか、行けるところまで行ってみよう!って思ってもいたんです。でも無理して飛ばしていたわけではなく、一番気持ちいいペースで走っていました」
 おしとやかな見た目からは想像もつかないほどの強気勝負で前半から快調なラップを刻んだ絵里花ちゃん。これはすごいタイムが出ちゃうのでは……と期待がふくらむ一方で、取材班には一抹の不安もよぎります。と言うのも、実は絵里花ちゃんから前日にこんな話を聞いていたからです。

「この1週間ほどすごく体調が悪くて、ご飯もあまり食べられなかったし、全然練習ができませんでした。まともに走るのも1週間ぶりくらいなんです」

 そんな状態での出走だったのに、入りの10kmがこのペース。むしろ心配に思う気持ちが多いまま迎えた15km。ここで5kmのラップが30分32秒に落ちてしまいました。それでも当初の目標4時間台に照らし合わせると良すぎるくらいのペース。16km地点を通過していく絵里花ちゃんは元気そのものでした。絵里花ちゃん、このペースで頑張れ!

あんなちゃん、安定の5km35分ペース

あんなちゃんは安定したペースでラップを刻んでいきます 【スポーツナビDo】

 一方、あんなちゃんも大会1週間ほど前に体調を崩してしまったそう。それでもここ2、3日で回復し、本番のレースはきっちりと5kmごとに35分台のラップを刻んでいきます。あまりにもペースが安定しているので、アプリか何かで計りながら走っているのかと思いきや、あんなちゃんも“感覚第一”で走っていたとのことでした。
「昨日まではタイムのことばっかり気にしていたんですが、(Nike+ Run Clubコーチの)MIDORIさんから『タイムよりも気持ちのいいペースを優先して』とアドバイスをいただいたんです。その通り、タイムを気にしないで自分が気持ちいいペースで走っていました。無理もせず、緩みもせず、ずっと気持ちよく走っていたら、このペースになっていました」(あんなちゃん)

 事前に掲げていた目標タイムは5時間30分台。このペースを続ければ楽々とクリアできそうですし、16km地点では持ち前の笑顔を振りまいてくれました。あんなちゃんもこの調子で行こう!

立ちはだかる30kmの壁……ピンチの2人を救ったのは

20km過ぎ、このあたりからペースが落ち始めた絵里花ちゃんですが、その表情はまだまだ元気です 【スポーツナビDo】

 ハーフの20kmを通過して迎える後半戦。絵里花ちゃんは15km〜20kmの5kmが33分22秒、次の5kmが33分27秒、次の5kmが34分54秒と、ほんの少しずつですが、ペースが落ちていました。

「10kmを過ぎたあたりからだんだんとつらくなってきて……。でも、まずはハーフまでは絶対に歩かないと決めていました」

同じく20km過ぎのあんなちゃん、こちらは依然としてペースが安定しており、カメラを見つけてこのポーズ! 【スポーツナビDo】

 やはり直前の体調不良の影響は大きかった絵里花ちゃん。しかも「30km手前で足の裏からヒザまで両足同時に痛くなって……こんな痛みは初めてでした」と、練習では経験しなかった足の痛みも襲い始めたのです。加えて初マラソンにとっての30km付近は“鬼門”と呼ばれるくらいにつらく苦しいポイント、さらに名古屋ウィメンズマラソンのコースはここで上り坂と、苦難の連続です。30km〜35kmのラップはついに41分24秒まで落ち込んでしまいました。

 ペースが落ちたのは絵里花ちゃんだけではありません。あれだけ正確に5km35分台のラップを刻み続けてきたあんなちゃんも、25km〜30kmの5kmが40分17秒とガクンとペースダウン。「ヒザが痛くて何度も転びそうになった」と、もともとヒザの痛みを抱えていたうえに、30kmから先は経験がない未知の領域。痛みと不安、過酷な上り坂と、あんなちゃんにも初マラソンの壁が大きく立ちはだかりました。
 しかし、この一番つらいときに、2人の目の前に“救世主”が現れたのです。

「給食所に『きのこの山』があったんです! 私、小さいころからきのこの山が本当に大好きで、一気にパワーが出ました(笑)。そこからは給水よりも給食所ばかり見て、きのこの山を探しちゃいました」

 なんだか冗談のような話ですけど、大マジメに語る絵里花ちゃん。確かに、きのこの山を食べた後の5kmのラップ(35km〜40km)は35分33秒と、6分近くも縮めています。恐るべし、きのこの山!

 そして、あんなちゃんは絵里花ちゃんよりもさらにすごい。40分台に落ち込んだ5kmごとのラップが、32分21秒(30km〜35km)、30分47秒(35km〜40km)と劇的にスピードアップしたのです。いったい、あんなちゃんに何が起きた?

「32〜3kmぐらいの地点でファンの方が応援に来てくれていたんです、『やのあんな』って書いたボードを持って。一番苦しいときだったから本当に嬉しくて、立ち止まってお話もしちゃいました。そこからはヒザの痛みが飛んでいきました(笑)。せっかく応援に来ていただいたからにはいいタイムを見せたい、5時間を切りたい!って」

 アドレナリンが出て速く走れました、と笑顔が戻ったあんなちゃん。それにしてもこのタイムの短縮は驚くばかり。「応援ってこんなにも力になるんですね!」とあんなちゃん自身もビックリしていましたが、応援、声援のパワーは本当に無限大ですね。32km付近で応援してくれたあんなちゃんファンの方、グッドジョブです!

笑顔、笑顔のゴール!

【スポーツナビDo】

 午前9時10分のスタートから4時間半が経過した午後1時40分過ぎ。ついにナゴヤドームに2人が戻ってきました。最初に笑顔でゴールテープを切ったのは絵里花ちゃん。中盤以降は苦しい戦いになりましたが、目標をクリアする4時間38分21秒でフィニッシュ!

絵里花ちゃんが帰ってきました! 4時間38分21秒でゴール!! 【スポーツナビDo】

【スポーツナビDo】

「残り2kmがすごく長く感じました。でも、ゴールが近づくにつれて、早くゴールしたいのに『あぁ、もう終わっちゃうんだ……』って、これまで練習してきたこととかを思い出して、寂しい感じもしました。ゴールした瞬間はもちろん達成感はあったんですけど、できれば4時間半を切りたかったです。練習の成果が10kmまでしか出せなくて、反省点がいっぱい。欲が出てるのかな?」(絵里花)

 それから15分後、あんなちゃんも笑顔のゴールイン! 終盤に見せた驚異のラストスパートでタイムをグングン縮め、なんと5時間半の目標を大幅に更新する4時間53分24秒でのフィニッシュとなりました。

15分後にあんなちゃんもゴール!! 目標を大幅に更新する4時間53分24秒でのフィニッシュでした 【スポーツナビDo】

「達成感もそうなんですが、なんて言ったらいいんだろう……多幸感がすごいですね! なんだかフェスみたいです(笑)。みんな同じゴールを目指している、みんないっしょに頑張っているんだって思うと、なんだか幸せな気持ちになりましたし、そんなみんなと触れ合うことができて本当に楽しかったです! 最後は歌いながらゴールしていました(笑)」(あんな)

成長と自信と――ランは本当に幸せなスポーツ

この4カ月間での2人の成長には驚かされるばかりでした 【スポーツナビDo】

 名古屋ウィメンズマラソンへ向けて練習を開始した昨年11月当時は、あんなちゃん、絵里花ちゃんともにフルマラソンの経験はなく、絵里花ちゃんはハーフ、あんなちゃんに至っては10kmがそれまでのラン最長距離でした。それが4カ月経った今、2人ともに無事に42.195kmを完走。しかも、4時間台でのゴールですから、あんなちゃん、絵里花ちゃんのランを通じた成長には驚かされるばかりですね。

完走賞のティファニーのネックレスをもらってニッコリ 【スポーツナビDo】

「何年も前のランニングを始める前は、あまりランが好きじゃなかったんです。でも、ちょっとずつ練習して、少しずつでも成長を実感できるのが楽しくて……。ランって頑張った分だけタイムとか距離が伸びるじゃないですか。それが目に見えて分かるのがすごく嬉しい。最初は5kmもきつかったのに、まさか42.195kmを走れるなんて思ってなかったですし、5時間ずーっと楽しいなんて、ランは本当に幸せなスポーツだと思います。もちろん、これからもランを続けていきたい。歌のトレーニングのために始めたランニングでしたけど、歌だけのためじゃなくて、ランはたくさんの力になります」(あんな)

「実はここ半年くらい、自分の中では仕事とかもうまくいっている感じがしなかったんです。でも、自分をどう変えていったらいいのか分からない……そんなときに挑戦したマラソンだったので、ここで走ることをやめたら自分に負けちゃう、負けたらこれから先の仕事もダメになると思っていました。だから、自分に負けるのはすごく悔しいし、絶対に負けたくなかった。マラソンを通じて自分を変えたい、自信がほしかったんです。今回こうして完走できて、自信を持って『フルマラソンを完走できました!』って言えますし、その自信はきっと表にも出てくると思います。マラソンって誰でも自信を持てるスポーツなんだと思います。これからもワークアウトや気分転換で走り続けたい。ぜひ、みなさんにもランニングをしてほしいなと思います」(絵里花)
 成長と自信をもらった初めてのフルマラソン。2人の言葉通り、4カ月前とはまったく違うあんなちゃん、絵里花ちゃんがそこにいます。“キラキラ”感を増した2人はきっと、仕事もプライベートも全部含めてこれからの人生を楽しく、ランとともにエンジョイしていくことでしょう。ランは2人の人生に確かな彩りをもたらしました。

次はハワイ・ホノルルマラソン挑戦?

 ちなみに、2人には新しい目標ができたそう。それは……

「次はハワイで走りたい! ね、絵里花ちゃん!」(あんな)

「はい! ハワイではハーフを走ったので、次はフルマラソンを走りたいです!」(絵里花)

 次はマラソン愛好家憧れの地ハワイ・ホノルルマラソン完走を目指し、大好きなNRCでの再会を約束したあんなちゃん、絵里花ちゃんでした。この4カ月、本当にお疲れ様でした。そしてフルマラソン完走、本当におめでとうございました!

プロフィール

やのあんな
1991年10月31日生まれ、神奈川県出身。
原宿でのスカウトをきっかけに読者モデルとして活動を始める。『mer』『Soup.』等の雑誌に出演しながら、2013年8月にkz(livetune)プロデュース楽曲「Shape My Story」でアーティストデビュー。2015年3月に「カワエロ」をキーワードに魅せた自身初の写真集を発売。2015年10月にkzとの新生ライブユニット「livetune+」を結成、2016年5月11日に1st EP『Sweet Clapper』をリリース。
松元絵里花
1995年12月14日生まれ。福岡県出身。
18歳で福岡から上京し、すぐにRay専属モデルに。東京ガールズコレクション、ガールズアワードなどショーに出演。翌年には、フジテレビめざましテレビ「イマドキ」レギュラー、2016年三愛水着楽園イメージガールに選ばれる。
(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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著者プロフィール

習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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