【新日本プロレス】オカダがタイガーマスクWとの壮絶死闘で勝利 天コジが負傷本間に捧げるIWGPタッグ戴冠

高木裕美

本間の負傷欠場により急きょ天コジが挑戦

負傷した本間に代わりIWGPタッグに挑戦した天コジは“こけし殺法”で3年4カ月ぶりの戴冠 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPタッグ選手権試合では、天山広吉&小島聡の天コジが、矢野通&石井智宏組を破り、実に3年4カ月ぶりに王座返り咲き。当初、タイトル挑戦が予定されていながら負傷欠場となった本間朋晃に、その勝利を捧げた。
 当初、この日は2.21後楽園大会のリマッチとして真壁刀義&本間組の挑戦が予定されていたが、3日の沖縄大会で本間が中心性脊髄損傷の重傷を負い、現在も入院中で、復帰時期未定となったため、急きょ天コジの挑戦が決まった。

天コジのこけし殺法に大「こけし」コール

小島がこけしロケットからのラリアットで矢野を粉砕 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第三世代の永田裕志、中西学もセコンドとして見守る中、小島は石井との火花が散るような激しいエルボー合戦を制すると、強烈なDDTで垂直にマットに突き刺していく。さらに小島は本間がよくやる頭を叩くムーブから小こけしを繰り出すと、場内も大「こけし」コールで応援。天山も石頭を利用したこけしロケットばりの天山ロケットで石井を分断し、孤立した矢野へ合体の天コジカッター。さらに小島もこけしロケットからのラリアットで矢野を粉砕し、3カウントをもぎ取った。

 久しぶりに腰にベルトを取り戻した天コジはガッチリと握手をかわすと、リング上で第三世代4人で勝ち名乗り。今回、ベルト挑戦を逃した本間が復帰できるその時まで、王者としてベルトを守り続ける覚悟を示した。

ヒロムが“恩師”田口を下しジュニアV2

“本気モード”の田口を退けIWGPジュニアV2を達成した高橋ヒロム 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルではIWGPジュニアヘビー級王者・高橋ヒロムが田口隆祐を退け2度目の防衛に成功。試合後、リング上で挑戦者を公募したヒロムに対し、前王者のKUSHIDAが名乗りを上げた。
 田口はかつて、新日本の入門テストで当落ラインのギリギリにいたヒロムのセンスを認め、入門を後押しした、いわば“恩人”。2.11大阪大会でヒロムが初防衛に成功するや、「このベルトと“セイシ”をかけて試合してくれ」と挑戦表明を叩きつけ、約2年ぶりにタイトル戦線へ浮上した。

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ヒロムは田口ばりに尻を突き出したり、腰をグラインドさせたりして挑発してみせると、アンクルを狙いに来る田口を徹底的にブロック。どどんスズスロウン、タグフライフローといった大技も阻止し、反撃の芽を摘むが、必殺のTIME BOMBをオーマイ&ガーアンクルに切り返されて大苦戦。それでも、トラースキック2連発からのラリアット、TIME BOMBで勝負を制した。

KUSHIDAが次期挑戦者に名乗り

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 V2を達成したヒロムは、リング上から「次の挑戦者誰だよ。もっともっとオレに刺激をくれよ」と呼びかけると、そこに姿を現したKUSHIDAが「監督の無念はオレが晴らす」と、タグチジャパンの一員としてリベンジを宣言した。

柴田陥落 ザック・セイバーが鈴木軍に加入

鈴木軍に加入したザック・セイバーJr.が柴田からブリティッシュヘビー級を奪回 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ブリティッシュヘビー級王座戦では、新日本マット初登場となるザック・セイバーJr.が鈴木軍とまさかの結託。柴田勝頼から至宝を奪い返したセイバーは、鈴木軍メンバーと共に雄たけびを上げた。

 かつてはプロレスリング・ノアの留学生としてGHCジュニアタッグ王座を獲得し、WWEのクルーザー級クラシックトーナメントでもベスト4に残るなど、若き実力者であるセイバーは、この日も的確なグラウンドテクニックで観客を魅了する。

突如鈴木軍大将の鈴木みのるが乱入

好勝負が続く中、突如鈴木軍大将の鈴木みのるが乱入 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 だが、10分を超え、試合にもますます熱がこもってきたところで、突如鈴木軍大将の鈴木みのるが乱入。3.11名古屋でのNJC1回戦で柴田と対戦するみのるは、レフェリー不在となったスキに、柴田にゴッチ式パイルドライバーを発射。すかさずセイバーがPKを打ち込んで、柴田も観客も不本意な形での王座移動となった。

 好勝負に水を差された観客が鈴木軍への怒りを増幅させる中、みのるはセイバーを新メンバーとして紹介。セイバーも渡された鈴木軍Tシャツを着込み、メンバーと共に記念撮影に収まって軍団入りをアピール。一方、身も心もズタズタにされた柴田はセコンドに肩を担がれて退場。3.11名古屋での柴田みのるの1回戦は、タダでは済まないことになりそうだ。

ジュニアタッグ王座が鈴木軍に流出

鈴木軍の金丸義信&タイチ組が六本木ヴァイスから王座を奪取 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPジュニアタッグ選手権試合では、鈴木軍ジュニアの金丸義信&タイチ組がロッキー・ロメロ&バレッタの六本木ヴァイスから王座を奪取。試合後は邪道、外道が駆けつけ、両軍がにらみ合った。
 鈴木軍ジュニアはセコンドのエル・デスペラード、さらにはディーバの阿部未歩さんを試合に介入させ、2対4の状況を作り出す。10分過ぎ、六本木ヴァイスが必殺のストロングゼロを狙おうとしたところ、デスペラードがまたしても阻止。さらにタイチがベルトで2人を殴打し、合体技のハイボールWで逆転勝利した。
 試合後、なおも暴行を続ける新王者組の元にCHAOSの邪道、外道が駆けつけ、六本木ヴァイスを救出。新たな抗争の火種が生まれた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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