酒井高徳がキャプテンとして心掛けること 惨敗後の試合で見せたマネジメント力

中田徹

チームがまとまっているかの確認が大事

今季はキャプテンマークを巻くことも多い酒井は、この日も指揮官の期待に120%応えた(写真は2月7日のドイツカップ3回戦) 【写真:アフロ】

 前節、バイエルン相手に喫した敗北からの一週間、酒井はキャプテンとしてどのようにチームをマネジメントしたのだろうか?

「間(3月1日)にドイツ杯があったので、実質1週間は開きませんでした。(バイエルン戦は)、脱帽したという言い方が一番いいのかな。みんなと話した時には、『いやいや、普通にあいつらのクオリティーが高すぎた』という感じでしたから。チームがあれだけ機能しなかったら、それだけ失点してしまうというのは、バイエルン相手だとありえること。それを引きずることなくドイツ杯で良い試合ができた。モチベーションを上げたまま、今日を迎えることができました。

 僕は何かを担うというタイプではありません。みんなが思うキャプテンとは、チームに何かが起こった時に何かをするということではないと思うんです。しっかりコミュニケーションを取って、キャプテンとしてチームがまとまっているかをちゃんと確認できているかが一番大事だと思います。いろいろな選手と話しをしたら、みんな同じような考えだった。『まあそうだよね』となって、『じゃあ次の試合はしっかりやろうか』というふうにチームとして切り替えられた。それが、うまくドイツ杯と今日の試合に出ました」

指揮官の期待に120%で応える

「お前はあいつに付け」「お前はもっと前でポジションを取れ」と酒井が仲間を動かしながらチームの微修正を図り、審判の判定に納得いかないと、しっかり釘を刺したりする姿は、キャプテンとしての振る舞いを見せていたと思う。

「どうですかね。ただ叫んでいるだけですけどね(笑)。うちのチームにはそういう役がいないというのは実際にあります。だからこそ、そういう役は買いたいなと思ってやっています。今のところ、チームがそれに反応してくれているというのは良いことだと思います。

(途中からピッチに)入って来た自分を見てもらって、自分が諦めなかったり、頑張ろうという気持ちを出している。それを伝染させる仕草だったり、声かけは大事なところだと思います。そういうところが自分の得意なところと言ったらアレですが、特長でもあるので、それはしっかりできたかなと思いますし、心掛けています」

 試合当日、控えメンバーであることを監督から告げられた時、酒井はこう言われたという。

「お前は分かっていると思うけれど、ベンチでもモデル(模範)となって、しっかりウォーミングアップをやってほしい。入るとしたらボランチか右サイドバックだと思うから、試合展開をしっかりよんでおくように」

 その期待に120%の態度、振る舞い、パフォーマンスで応えたヘルタ戦の酒井だった。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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