J1に6人、韓国人GKが増えた理由 記者に聞いた日本の魅力とKリーグの事情

キム・ミョンウ

「代表クラス」のGKが6人在籍

韓国代表の正GKキム・スンギュらがJリーグで活躍する理由とは? 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 今年のJリーグ移籍市場で、これだけ韓国人GKが大きく話題になったのは初めてかもしれない。

 今季J1でプレーする韓国人GKは、18チーム中6人もいる。川崎フロンターレのチョン・ソンリョン、ヴィッセル神戸のキム・スンギュ、鹿島アントラーズのクォン・スンテ、そして今季J1に昇格したセレッソ大阪のキム・ジンヒョンとアン・ジュンス、コンサドーレ札幌のク・ソンユンがそうだ。

 名前を聞いただけでは、あまりピンと来ない人が多いかもしれないが、韓国の立場からすればちょっとした「事件」に映るかもしれない。

 というのも、彼らはすでに韓国内で「代表クラス」のGKとして認められたプレーヤーだからだ。現韓国代表の正GKが神戸のキム・スンギュであり、そしてそのポジションを争っているのが川崎のチョン・ソンリョン。さらにC大阪のキム・ジンヒョンも代表メンバーに名を連ねている。昨年のリオデジャネイロ五輪でベスト8入りした当時の韓国代表GKが札幌のク・ソンユンだ。

 さらに、鹿島のクォン・スンテも、前所属の全北現代では不動のGKに君臨し、昨季はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇に貢献。2014年から3年連続でKリーグ・クラシック(1部)ベスト11を受賞したほか、ワールドカップ(W杯)ロシア大会・アジア最終予選のメンバー入りを果たしている。

韓国人GKを求める2つの理由

09年からC大阪でプレーするキム・ジンヒョン(左)の活躍は、韓国人GKに興味を持つきっかけとなった 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】

 なぜ、いま韓国人GKがJリーグに大挙、押し寄せているのか――。中央日報のサッカー担当デスク(スポーツ部次長)のソン・ジフン氏がその事情に詳しい。

「韓国人GK移籍ラッシュのきっかけは、C大阪のスカウトが、大学時代のキム・ジンヒョンに約2年間、接触していたことが大きいでしょう。私が彼に聞いた話では、『セレッソがとても熱心に自分のことを見にきてくれていた』と言います。

 そのあともC大阪は、韓国人GK探しに熱心で、現在C大阪のトップチームにいるアン・ジュンスという選手を獲得しています。彼も15年のU−17W杯チリ大会の代表GKとして活躍し、昨年もU−19韓国代表に選ばれています。彼も将来の韓国代表GK候補に間違いありません。

 つまり、09年からC大阪でプレーするキム・ジンヒョンがJリーグで成功を収めたことで、Jリーグの他クラブも韓国人GKに関心を持ち始めたのだと思います」

 確かに、キム・ジンヒョンのあとに続くように韓国人GKがJリーグに移籍しているが、そうした流れがあるのは間違いないようだ。さらにソン氏は、Jリーグが韓国人GKを求める理由は大きく2つあると話す。一つは選手の体格の問題だ。

「J1にいる韓国人GKの平均身長は190センチ近くあります。やはり体格のいいGKが魅力的に映り、試合でも有利であるのは明白でしょう」

 もう一つは「韓国のGKはビルドアップに優れている」という。

「Kリーグでもよく見られる光景なのですが、うしろから選手に檄(げき)を飛ばしながらチームの士気を上げたり、ディフェンスラインをコントロールするような指示がよく聞こえてきます。試合中も強いリーダーシップが発揮されているのだと思います」

 また、ソン氏は川崎のチョン・ソンリョンからこんな話を聞いたという。

「日本はとても住みやすいので、すぐに慣れました。それに試合で後ろから選手に指示を送ると、戦術の理解力がすごく高い。だからこそ、私もスムーズにプレーができています」

 韓国から日本は距離も近くて時差もない。チームへ溶け込むスピードも早いとなれば、韓国人GKが重宝されてもおかしくはない。もちろん、チームが勝つために必要な能力の高さを備えているからというのが、韓国人GK獲得の一番の理由である。

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著者プロフィール

キム・ミョンウ

1977年、大阪府生まれの在日コリアン3世。フリーライター。朝鮮大学校外国語学部卒。朝鮮新報社記者時代に幅広い分野のスポーツ取材をこなす。その後、ライターとして活動を開始し、主に韓国、北朝鮮のサッカー、コリアン選手らを取材。南アフリカW杯前には平壌に入り、代表チームや関係者らを取材した。2011年からゴルフ取材も開始。イ・ボミら韓国人選手と親交があり、韓国ゴルフ事情に精通している。

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