楽天・茂木栄五郎が1年目で感じた壁 一流選手を目指し、がむしゃらに
出塁率と長打力が課題と認識
規定打席に到達し、打率2割7分8厘。新人としては及第点の成績を残すも、満足はしていない 【写真=BBM】
規定打席に到達したことはすごくよかったんですけど、打撃を評価していただいて、ショートで使ってもらっていると思うので、もう少し打ちたい気持ちもあります。ベンチから求められているものもそこじゃないかなと感じています。
――一番物足りなさを感じたのは?
出塁率と長打力です。
――出塁率は3割3分でした。
4割近くいかないと厳しいかなと。バンバンとホームランが打てるわけではないので、その中でフォアボールも含め、出塁率を上げていかないといけない。フォアボールを選ぶということはそれだけピッチャーに球数を投げさせているということですから。また、ホームランを打てないにしても、外野の間を抜けたり、外野の頭を越えるような打球を打たなくてはいけない。それだけで外野手もポジショニングが分からなくなったりしますし、ピッチャーも警戒してくれると思うので。相手に考えさせるだけでも、少しは戦力になっているのかなと思えますし、そこももっとレベルアップしなくてはいけないなと思っています。
――三塁打の数はリーグトップタイの7本、ランニングホームランも2本です。それは茂木選手の言う、外野の頭を越えた結果だと思います。
そうなんですが……。ランニングホームラン2本に関してはそのときの運というのがあるので、正直あまり参考にしていないです。特に2本目(9月19日対埼玉西武=西武プリンス)に関してはもう少しでフェンスオーバーしていたので、悔しいところです。
――結果はホームランですが……。
別の見方をしたら、力がなくてホームランにできなかったわけですから。もう少しスイングスピードを上げたり、力をつけて、打撃技術が上がればフェンス越えのホームランになっていたかもしれないので。
――厳しい自己評価ですね。
そういった意味では三塁打も、良いことではあるんですけど、力が足りない証拠でもあります。やっぱり三塁打よりもホームランのほうがチームに貢献できていると思います。ホームランを打つことが一番簡単に流れを変えられる。ホームランバッターでないことはもちろん分かっているんですけど、その中でももう少し長打力は上げていきたいですね。
必死に食らいつき、成長した姿を
「昨季の成績を絶対に超える」と意欲は十分だ 【写真=BBM】
――梨田監督の言葉から期待の大きさをうかがうことができました。ご自身の中で、チーム内での役割をどのように考えていますか。
チームの中心でプレーしたいという気持ちはすごくあるんです。でも正直、まだ力が足りないなと。もちろん使ってもらっているのでそんなことは言えないんですけど、がむしゃらに、“当たって砕けろ精神”でやらないとプロの世界でやっていけないと思っているので、まだチームの中心には……。
――その中で自分がやるべきことというのは、どのように考えていますか。
僕が勝っていることと言ったら若さしかないので、フレッシュに、体が動く限りチームのためにやらなくてはいけないなと思っています。
――シーズン中にはいつも大きな声を出していました。そういったことも自分の役割の一つ。
あとは全力疾走や、次の塁を狙う、果敢に盗塁を試みる。そういった動きの中で足りない部分をカバーしていかなければいけないなと。
――足に自信はあるのでしょうか。
高校生くらいまでは自信を持ってプレーしていたんですけど、大学に入って、上には上がいるなと。ただ、勝てないにしても、同等のレベルくらいまではいきたいと思っているので、そう考えたら、全力疾走や、最後まで抜かずにファーストベースを駆け抜けることをやっていかないと追いつけません。速いというよりは必死に食らいつく気持ちで頑張ってやっています。
――盗塁数は増やしていきたい数字ですね。
もう少し増やしたいですし、増やさなければいけないと思ってます。
――では、これから始まるシーズンの目標を聞かせてください。
プロ野球を引退するまで変わらないことなんですけど、チームの勝利に貢献するという気持ちを優先して常にやっていきたいです。個人的なことに関しては、自分が活躍すれば結果的にチームの勝利につながることになるので、143試合、全試合に出ることですね。フルイニングで出られたら一番いいんですけど、まずは全試合。そのためにはある程度の結果を残していないとムリですし、それだけチームに必要とされているんだなと感じることができるので。また、昨シーズンの自分の成績は絶対に超えたいです。成長した姿を皆さんにお見せしたいなと思って、秋のキャンプからずっと取り組んできているので、その姿を見せられるように頑張りたいです。
――結果を求め過ぎずに、ということですね。
練習でやってきたことをそのまま、試合で発表するという気持ちでやるのが一番いいことだと思います。もうちょっと結果を残せるようになったら、結果も意識してやらなければいけないんですけど、今は自分の持っているものを出すしかないので、まだまだプロの世界でやっていくために、必死にアピールしていきたいです。
(取材・構成=阿部ちはる)