守備力の福岡第一、桜花学園は総合力のV ウインターカップに見た高校バスケの今
3冠のプレッシャーをはねのけた桜花学園
女子は桜花学園が3冠を達成。選手層の厚さと総合力を見せつけた 【坂本清】
決勝で昨年同様にファウルトラブルに陥りながら、ゲーム最多の25得点をたたき出した桜花学園の主将、馬瓜ステファニーは「去年は消極的になって負けたので、今年は(ファウル数が重なっても)積極的に攻めようと思っていた。昨年は明らかに自分のせいで負けた。今年は、『お前のおかげで勝てた』と言われるくらいに頑張ろうと思っていた」とコート上のインタビューに応えて涙を流した。
一方、僅差で連覇を逃した岐阜女子の主将、藤田歩は「2度負けて、ディフェンスで厳しく当たることをやって来た。追いつくところまではできていたけど、突き放されてからはできなかった」と肩を落としていた。
崩せなかった2強体制
赤穂ひまわり(左端)を擁する昭和学院だったが、2強を崩すことはできず 【写真:加藤誠夫】
ただし、逆に言えば赤穂がいても2強に並ぶことができなかったという現実がある。今季は、3冠すべての決勝が桜花学園と岐阜女子の顔合わせだった。混戦模様だった男子とは対照的に、女子は2チームが突き抜けた存在であることが結果として如実に表れた。
3位となった昭和学院を率いた鈴木親光コーチは、準決勝で岐阜女子に敗れた後で「あのレベルに慣れるのに時間がかかってしまう。両チームは同じ東海地区で何度も対戦して刺激を受け続けている。われわれも関東で切磋琢磨(せっさたくま)して、2チームに食らいついてチャレンジできるように選手を育てたい」と2強との差を認めつつ、追い上げる気概を示した。女子は今後も2強が続くのか、昭和学院や大阪薫英女学院(大阪)、8強で敗れた札幌山の手(北海道)、開志国際(新潟)が2強体制に割って入るのかが注目される。
Bリーグが選手たちの新たな目標に
ほかに、男子では9月に新たなプロリーグ「Bリーグ」が誕生したため、優勝した福岡第一の1年生ルーキー松崎裕樹らが将来の目標としてBリーグ入りを視野に入れていた。リオデジャネイロ五輪で女子が活躍し、男子はBリーグ誕生と、今年話題の豊富だったバスケットボール界。その未来を担っていく世代が、この大会を通じてどのように歩んでいくのか、非常に楽しみだ。