箱根駅伝、距離変更でも最重要は5区!? “恒例”監督トークバトルで探りあい

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駒澤、東洋は早稲田の勢いを警戒

全日本2位で勢いに乗る早稲田大は、3強争いに食い込めるか? 【スポーツナビ】

 ここからの質問ではそれぞれ腹の探り合いとなる。「気になる大学は?」という質問に対して、大本命の青山学院大を挙げたのは東海大の両角監督のみ。「この1年間、圧倒的な強さを見せていて、私たちも目標にしてきた。前半から青山を逃さないように、どの大学も惜しみなく選手を起用してほしい」と“青学包囲網”の共闘を呼びかけた。「3強」という答えを出した早稲田大・相楽監督は「青山が強いから(青山学院大と)書きたいけど、青山の情報は勝手に入ってくるので」と、メディア露出が多い青山学院大を特に気にすることなく、東洋大、駒澤大をケアしたいと話した。

 その東洋大と駒澤大はともに早稲田大を挙げ、「全日本の走りを見ていると、箱根もやってきそうで手ごわい。3位以内になるには、早稲田に勝たないといけない」(大八木監督)、「夏合宿で偶然一緒の合宿地になって、選手の顔が良く、今回の早稲田は強いチームだと感じた」(酒井監督)と、“3強”に食い込んできそうな勢いに注意しており、今大会は“3位争い”も1つのポイントになりそうだ。

 青山学院大の原監督は、気になる大学をこれから怖い存在になりそうな東海大と書いた。「監督同士も同世代ですし、1年生が8人並び、高校時代のスーパースターがそろい、もし今回優勝したら4連覇しちゃいますよ。(優勝するには)もう2、3年待って欲しい」と早くもけん制している。

青山学院大の目標は26区間先頭保持

駒澤大の大八木監督ら3人が勝負区間に5区を選択。距離が短くなっても最重要なことに変わりはない 【スポーツナビ】

 そして最も気になる「勝負を分ける区間は?」という質問には、大八木監督、相楽監督、両角監督が「5区」を選択。やはり特殊区間で、最もタイム差がつきやすい「山上り」は、監督として一番注意しているようだ。

 また今大会から区間距離の変更で、5区の距離が短くなり、その分4区が延びることもあり、つなぎの区間と見られていたコースが、難易度が上がるコースになる。その点も含め「4区」を勝負ポイントに挙げたのは東洋大の酒井監督。「5区のための4区という意味合いは強い。5区は心理面が大きく影響する区間で、4区の順位が上がるか下がるかで、5区の走りが変わってくる。5区を加速させるために4区がポイントになる」という分析をしている。

 往路の勝負どころである4区、5区を上げる中、王者・青山学院大は勝負ポイントに「1区」を選択。「現在、2大会の16区間連続で先頭にいる。1区区間賞は難しいハードルですが、仮に1区を取れば、2区以降は優秀な学生がいるから、新記録となる26区間先頭も狙える」と大記録への挑戦を口にした。

箱根ランナーが東京五輪で活躍するために

各校、東京五輪への取り組みは始めており、東洋大・酒井監督は「勝負することを見据えた指導が必要」と話す 【スポーツナビ】

 最後の質問は一般の方から寄せられた1823件の質問の中から1つ選ばれ、「2020年東京五輪を見据えた取り組みは?」という質問。

 各大学の監督から出る言葉には“世界”を意識したものが多く、「夏合宿最初のミーティングで冬のマラソン挑戦をスタートさせるために、質問して自ら手を挙げさせました。正月の後は、40キロ走を数本して、東京マラソンやびわ湖毎日マラソンなどに出場させ、その先には東京五輪がある」(原監督)、「東洋大の考えは、駅伝の3冠と世界で勝負すること。短距離、長距離、競歩でリオ五輪に挑戦し、それは東京五輪に続いている。(五輪に)行くのが目標だと勝負にならない。勝負することを見据えた指導は必要」(酒井監督)、「箱根の優勝も大事だけど、私の考えでは学生の間に五輪や世界陸上に出ることが大事。藤田(敦史)がびわ湖毎日マラソンを走り、世界陸上に出場し6位に入った。指導者も世界を目指して戦わないと」(大八木監督)、「早稲田も『早稲田から世界へ』ということで、リオ五輪には大迫(傑=ナイキ・オレゴン・プロジェクト)も出たし、彼がグラウンドに来てくれた。一番大事なのは意識付けで、『大迫はラストいくつで上がった』とか、自分の練習に天井がないことに気づくことが大事」(相楽監督)、「私個人としてはロンドン五輪に佐藤悠基(日清食品グループ)、リオ五輪に大迫が出て、次の東京では3大会連続で教え子を(輩出したい)と考えている。東海大は体育学部があり、医科学や低酸素トレーニングなどに力を入れてやっている。(1年生の有力選手から)トラックの五輪代表を出したい」(両角監督)と、東京五輪への目標を定めている。

 こうした監督たちの発言に、山梨学院大の上田監督も「(箱根駅伝が)こうした小さな芽を育てる大会であってほしい」と“箱根から世界へ”を大切にしたいとした。

万全の状態で箱根へ

 トークバトルも終了の時間となり、最後はそれぞれの監督が意気込み。
「3週間後には体調を整えて、笑顔でゴールできるように頑張りたい」(両角監督)
「早稲田らしいエントリーメンバー。本番でも早稲田らしく走りたい」(相楽監督)
「選手の体調管理が大変ですが、しっかり整えて、2日、3日と頑張りたい」(大八木監督)
「ここまで攻めの駅伝ができていないので、箱根で攻めの駅伝に期待してください」(酒井監督)
「3冠3連覇が手の届くところにきています。心の底から『ありがとう』と言えるレースをしたい」(原監督)と、本番に向けて万全の状態を整えていくとし、会は終了となった。

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