主力ローテに異変!? ジャパンCを読む データでは推しづらいキタサンブラック

JRA-VANデータラボ

前走レース別成績(好走例のある前走のみ)

【表5】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走レース別成績。最有力の天皇賞・秋については表6〜8の項で触れるので、ここでは他のレースについて述べたい。2番目に好走例が多いのは凱旋門賞だが、今年は該当馬なし。他に複数の好走例があるのは3歳G1の菊花賞と秋華賞の2レースで、出走頭数が多いのは菊花賞だが、好走率が高いのは秋華賞で、該当馬には注目する価値がある。なお、菊花賞組の好走はいずれも前走2着、秋華賞組の好走はいずれも前走1着という共通点がある。あとは、前走アルゼンチン共和国杯、前走エリザベス女王杯、前走ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフから好走した馬が1頭ずつで、このなかで今年該当馬がいるのはアルゼンチン共和国杯のみ。そして、アルゼンチン共和国杯1着からジャパンCに出走した2頭は、08年9番人気1着のスクリーンヒーロー、11年11番人気4着のトレイルブレイザーと、いずれも人気を大きく上回る着順を収めているだけに侮れない存在となりそうだ。

 なお、今年有力視される1頭であるキタサンブラックの前走京都大賞典組は【0.0.0.9】。ゴールドアクターの前走オールカマー組は、そもそも該当馬が1頭しかいないものの【0.0.0.1】。過去10年、いずれも好走例が見られないのは気になるところである。

前走天皇賞出走馬・前走着順別成績

【表6】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は、前走天皇賞・秋出走馬に限った前走着順別成績。基本的には、天皇賞・秋で5着以内に入った馬の好走率が高く、なかでも3、4着馬がいれば注目してみたいところ。その一方で、天皇賞・秋6着以下から好走した馬も計5頭いる。1〜5着馬に比べると好走率は落ちるが、10着以下から巻き返した馬も2頭おり、天皇賞・秋の着順だけで見限ることはしないほうがいいだろう。

前走天皇賞1〜5着馬の各種データ

【表7】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は、「天皇賞・秋1〜5着馬」に関して「前走人気別成績」と「前走上がり3F順位別成績」を示したものである。前走人気のほうから確認すると、天皇賞・秋で1〜5着に入っても、1〜5番人気だった馬と6番人気以下だった馬では成績に雲泥の差が見られることがわかる。また、上がり順位についても、1〜3位の馬と4位以下だった馬では好走率に大きな差が出ている。ちなみに「天皇賞・秋で1〜5番人気に推され、上がり1〜3位の脚を使って1〜5着」に入っていた場合は【4.2.3.3】と、非常に優秀な成績が残っている。

前走天皇賞6着以下馬の各種データ

【表8】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表8は、「天皇賞・秋6着以下馬」に関して「前走人気別成績」と「前走4角通過順別成績」を示したものである。まず重要なのが、天皇賞・秋6着以下からの巻き返しがあるとすれば、4角を7番手以降で通過していた馬のみということ。つまり、天皇賞・秋で差しが不発に終わった馬にはチャンスがあるが、ある程度前につけて失速してしまった馬はノーチャンスということになる。そして、そのなかでも勝ち切ることができるのは、天皇賞・秋で1〜5番人気に評価されていた馬だけとなっている。

種牡馬別成績

【表9】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表9は種牡馬別成績で、1着馬を出すか複数の好走例がある種牡馬のみ抜粋している。とにかく目立つのがディープインパクトの強さで、好走率、回収率ともに文句なしの数値といえる。なお、スペシャルウィークの好走2回はいずれもブエナビスタ、タニノギムレットの好走2回もいずれもウオッカによるもの。つまり、過去10年で異なる産駒が好走しているのは、前述したディープインパクトにキングカメハメハとジャングルポケットを加えた3種牡馬だけということになる。

結論

 今年のジャパンCは、これまでの最大勢力となっていた前走天皇賞・秋組が登録21頭のうち2頭しかいない。とはいえ、まずはこの組の取捨を考えるのが正攻法だろう。

 その2頭とは、天皇賞・秋2着のリアルスティールと同7着のルージュバック。一般的な評価が高いのはリアルスティールと思われるが、気になるのは天皇賞・秋で7番人気だった点だ。表7の項で確認した通り、秋天1〜5着馬の場合、そこで6番人気以下だとジャパンCでの好走率が大きく下がってしまう。上がり1位を記録した点はプラスで、ディープインパクト産駒ということも考えれば無印にはできないが、過信はしないほうがいいのではないか。

 一方、天皇賞・秋で7着に敗れたルージュバックだが、3番人気かつ4角通過10番手と、表8の項で確認した6着以下から巻き返して勝ち切る条件を満たしている。ジャパンCで強い牝馬ということも加味すると、今年の天皇賞・秋組2頭ではこちらを上位にとる手もある。

 3歳馬では、菊花賞組のディーマジェスティとレインボーライン、秋華賞組のビッシュと計3頭がエントリー。菊花賞組の好走はいずれも2着馬から生まれており、実績では見劣るものの今年2着のレインボーラインを今回は重視してみたい。ビッシュは秋華賞10着という点で過去の好走例からは大きく外れてしまうものの、近年の好走が多いディープインパクト産駒の牝馬であることから無視はできない。

 そして、上位人気が予想されるキタサンブラックとゴールドアクターは、表5の項で述べた通りローテーションの裏付けがない。実力は折り紙付きながら、データ面からは推しづらいところだ。むしろ今回のデータ分析では、アルゼンチン共和国杯1着のシュヴァルグランを重視してみたい。なお、過去10年で外国馬の好走は06年3着のウィジャボードのみ。世界各地でG1を合計7勝したこの名牝でも3着だったことを思えば、そこまでの実績がない今年の外国馬3頭が好走するのは簡単ではないだろう。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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