主力ローテに異変!? ジャパンCを読む データでは推しづらいキタサンブラック
前走レース別成績(好走例のある前走のみ)
【表5】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
なお、今年有力視される1頭であるキタサンブラックの前走京都大賞典組は【0.0.0.9】。ゴールドアクターの前走オールカマー組は、そもそも該当馬が1頭しかいないものの【0.0.0.1】。過去10年、いずれも好走例が見られないのは気になるところである。
前走天皇賞出走馬・前走着順別成績
【表6】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走天皇賞1〜5着馬の各種データ
【表7】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走天皇賞6着以下馬の各種データ
【表8】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
種牡馬別成績
【表9】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
結論
その2頭とは、天皇賞・秋2着のリアルスティールと同7着のルージュバック。一般的な評価が高いのはリアルスティールと思われるが、気になるのは天皇賞・秋で7番人気だった点だ。表7の項で確認した通り、秋天1〜5着馬の場合、そこで6番人気以下だとジャパンCでの好走率が大きく下がってしまう。上がり1位を記録した点はプラスで、ディープインパクト産駒ということも考えれば無印にはできないが、過信はしないほうがいいのではないか。
一方、天皇賞・秋で7着に敗れたルージュバックだが、3番人気かつ4角通過10番手と、表8の項で確認した6着以下から巻き返して勝ち切る条件を満たしている。ジャパンCで強い牝馬ということも加味すると、今年の天皇賞・秋組2頭ではこちらを上位にとる手もある。
3歳馬では、菊花賞組のディーマジェスティとレインボーライン、秋華賞組のビッシュと計3頭がエントリー。菊花賞組の好走はいずれも2着馬から生まれており、実績では見劣るものの今年2着のレインボーラインを今回は重視してみたい。ビッシュは秋華賞10着という点で過去の好走例からは大きく外れてしまうものの、近年の好走が多いディープインパクト産駒の牝馬であることから無視はできない。
そして、上位人気が予想されるキタサンブラックとゴールドアクターは、表5の項で述べた通りローテーションの裏付けがない。実力は折り紙付きながら、データ面からは推しづらいところだ。むしろ今回のデータ分析では、アルゼンチン共和国杯1着のシュヴァルグランを重視してみたい。なお、過去10年で外国馬の好走は06年3着のウィジャボードのみ。世界各地でG1を合計7勝したこの名牝でも3着だったことを思えば、そこまでの実績がない今年の外国馬3頭が好走するのは簡単ではないだろう。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。