秋の東京中距離決戦! 天皇賞・秋を展望 狙うは毎日王冠組か長休明け2頭か
前走レース別成績
【写真4】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
なお、前走が宝塚記念(中17週)より前に行なわれたレース、つまり中18週以上の間隔で出走した馬の成績は【0.1.1.11】となっている。好走した2頭の内訳は、08年2着のダイワスカーレットと11年3着のペルーサ。前者は出走時点でG1を3勝していた名牝で、後者は前年の天皇賞・秋で2着とレース適性をすでに証明していた。この事実から、中18週以上のローテーションを克服するためのハードルはかなり高いと考えなければならないだろう。
前走・毎日王冠出走馬の各種データ
【写真5】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走・宝塚記念出走馬の各種データ
【写真6】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
前走・札幌記念出走馬の各種データ
【写真7】 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
結論
表7の項で確認した通り、前走・札幌記念組の好走条件は1番人気1着のみ。今年注目されるモーリスは、札幌記念で同厩舎のネオリアリズムの逃げ切り勝ちを許して2着に終わっており、この条件を満たすことはできなかった。年度代表馬の実力を見くびるわけにはいかないが、データからは推奨しづらくなったというのが正直なところである。
このレース連覇を目指すラブリーデイは、昨年と同じく京都大賞典からの臨戦となる。ただし、前走京都大賞典組の相性は悪いのは表4の項で述べた通り。過去10年、この組で唯一の好走馬というのが昨年のラブリーデイなのだが、ひとつ年齢を重ねて好走率が大きく下がる6歳になったうえに、昨年1着だった京都大賞典で今年は3着どまりということを考慮しても、昨年以上の評価はできない。同様に相性の悪い前走オールカマー組のサトノノブレスも6歳馬で、こちらもプッシュはしづらい。
以上、今年の天皇賞・秋の出走登録馬15頭に、データからの自信を持って狙える馬は意外なほど少ない。この状況なら、中18週以上の馬を思い切って狙う手もあるかもしれない。プリンスオブウェールズS以来(中18週)となるエイシンヒカリと、安田記念以来(中20週)となるリアルスティールは、いずれも海外G1の勝ち馬で実力は折り紙付き。本来は推奨しづらい2頭ではあるが、毎日王冠組の2頭を除くとデータ的に万全という馬が見当たらない今年なら、チャンスが回ってくる可能性もありそうだ。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。