ニコ、先を見通す冷静さで初戴冠近づく 今宮純の米国GPインプレッション

F1速報

ロズベルグが発揮した勝負師らしさ

王者へ邁進するロズベルグ。2位ハミルトンに対し26点差を付け、残り3戦を迎える 【XPB Images】

 それを見越してレッドブル陣営は両面作戦で挑んでいった。ダニエル・リカルドにスーパーソフト、マックス・フェルスタッペンにソフトとスタートタイヤを分けた。前衛で切り込む任務をリカルドに託し、後衛から仕掛ける任務は若いフェルスタッペンに。二人のレーシングスタイルからこの逆はないだろう。チーム采配として正しく、現実にスタートで成功する。

 3位グリッドから直進したリカルドが対決するメルセデス勢のインサイドを突き、深いブレーキングの特技でロズベルグに並んだ。「ポイントリーダーは無理はしてこない」、その心理をすくい取り2番手に。この緊迫した場面で引いたロズベルグのリアクションに勝負師らしい勇気があった(いままでは無駄な抵抗をしていたが)。レースの筋を通していくのはこれから、先を見通す冷静さがロズベルグに見てとれた。

 さらに加えると10周目ピットインでミディアムを選択、いつセーフティカーが入っても入らなくても対応可能な策で“ロング・レンジ走行”も可能。1位ハミルトンは11周目にソフトを選択。つまりメルセデスはタイヤ選択も含めて自由に競わせるということ。結果的にバーチャルセーフティカー時の31周目に2台同時ピットイン。1位ハミルトンは独走を続けられ、ロズベルグは2位ポジションをリカルドから奪還する展開に切り替える。

 勝たずとも失わないレース、ロズベルグはしっかり2位18点を追加。こういう勝負師的なゲームを1982年にケケ・ロズベルグは重ね、たった1勝でも2位3回、3位2回、入賞最多10回によってポイントを積み上げ初戴冠。そんな父親ケケに似てきたニコ、春のスペインGP衝突後から13レースずっと入賞中だ。そればかりか昨年ここオースティンで“失冠”してから21戦で12勝を上げ、ハミルトン7勝を超える驚異的な勝率できている。

 ハミルトンが4度目の王者を目指し、無冠のロズベルグも狙う第66代ワールドタイトルの行方。閉幕のときが近くなってきた。

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